東京都杉並区にある佼成学園中学校は、「男子が大きく成長する学校」をスローガンに1954年に設立された男子校です。中高一貫の6年間の教育プログラムを通して、世界に通用する学力と人間性を養うことを目標に掲げています。今回は、佼成学園中学校とはどのような学校か、偏差値はどれくらいなのかなどを詳しく解説し、合格の難易度や対策についてご紹介します。
佼成学園の基本情報
中高一貫教育による6年間の独自カリキュラム
佼成学園では、男子校ならではの学習や部活動に集中できる環境の中、中高一貫教育のメリットを活かした独自のカリキュラムが注目されています。
中学・高校の6年間は、自分の将来を見据え、必要な学力を身につけていくための期間です。習熟度別のクラス編成や、発達段階に応じた目標を取り入れた指導によって成長することができるでしょう。
各学年に「学びのスローガン」があり、中学1年生では「学ぶ自分を好きになる」、2年生では「学びの習慣を身につける」、3年生では「勉強は自分の未来のために」を掲げて勉学に励んでいます。
学校全体で生徒の成長をサポートする
1954年に庭野日敬名誉学園長が設立した佼成学園は、「自らの価値を知ること」「周囲の人々に感謝すること」「思いやりの心を表すことの大切さ」を建学の精神の基盤にしている中学校です。
高い学力に偏るのではなく、情操豊かで健全な心と体を育み、円満な人格形成をすることを願いとしています。社会に羽ばたいたときに必要となる学力や知識の習得はもちろん、社会性や仲間とのコミュニケーションも会得できる学校だとも言えるでしょう。担当教員だけでなく、職員や卒業生を含めた“学校全体で”一人ひとりの成長をサポートしてくれます。
生徒自身をじっくりと磨き上げる3つのコース
佼成学園中学校は、きめ細やかな3つのコース編成で自分自身をじっくりと磨き上げることができます。
「グローバルコース」では、真のグローバルリーダーに必要な国際的素養を養い、海外の大学などへの進学を目指します。「アドバンストクラス」では難関国公立大学(旧帝大)、早稲田大学、慶應義塾大学、東京理科大学、上智大学、ICUなどへの現役合格を目指し、「マスタリークラス」では国公立大学、難関私立大学などへの現役合格を目指します。
英語の力をさらに磨けるグローバルコース
なかでも佼成学園ならではと言えるのが「グローバルコース」です。グローバルコースは、異文化に触れて多様な価値観を学ぶ学習内容で、広い視野を持つグローバルな人材育成を目標にしています。実践的な英語力を育むだけでなく、さまざまな場所で現地の人々と交流し、日本とは異なる文化に触れる体験をすることができます。高校卒業までに英検準1級取得を目指し、卒業後の進路は海外の大学や国内のスーパーグローバル大学への進学を目指します。
具体的には、中学1年生でモンゴル異文化体験、中学2年生でフィリピン(希望者対象)、中学3年生でタイ、フィリピン(希望者対象)、ニュージーランド(希望者対象)などのプログラムが用意されています。
ICT教育/英語教育/探究プログラムに注力
佼成学園では知識と人間力を磨くために、ICT教育、英語教育、探究プログラムに力を入れています。
「ICT教育」では一人一台の情報端末を活用して、復習や調べ学習の効率化、成績の見える化など、従来の教育と比べて深い学びを実現しています。「英語教育」では海外で活躍できる力をつけるため、ネイティブ教員による授業でさらに実践的な英語を学びます。「探究プログラム」は自ら課題を見つけて解決していく中で、思考力と判断力、表現力を養い、価値を生み出す人間へと育てていきます。
佼成学園の偏差値と難易度はどれくらい?
佼成学園の偏差値と倍率について
首都圏最大規模の公開テスト「首都圏模試センター」によると、佼成学園の偏差値は近年55~66を推移しています。数年前に比べて中学入試の出願者数が2倍以上になるなど、人気が顕著に表れている学校なので、偏差値が乱高下する傾向にあります。
直近の倍率は、第1回一般・グローバル入試4科で2.7倍、第2回一般入試2科で10.2倍、4科で4.1倍、第3回一般入試2科で17.0倍でした。
佼成学園の入試情報
佼成学園の中学入試には、第1~3回の一般入試に加え、グローバル入試、グローバル特別奨学生入試、第1・2回特別奨学生入試、Super English入試があります。
各回で受験者数が増えて実質倍率も上がっている傾向にあり、2010年代は得点を60%取れれば合格圏内と言われていましたが、近年ではその数字が65~75%へと上がっています。
一般入試とグローバル入試は算数と国語の2科、または、算数と国語、理科、社会の4科から選択できます。試験時間は、算数と国語が各50分、社会と理科が各25分です。
佼成学園の大学合格実績
佼成学園では、早稲田大学や慶應義塾大学など、さまざまな難関大学への合格者を数多く輩出しています。特に近年は、東京大学をはじめとする難関国公立大学、難関私立大学、GMARCHの合格者が多くなっています。入学時の成績がそれほど高くなかった生徒さんも難関大学に挑めるレベルにまで到達していることが、合格実績からも読み取れるのではないでしょうか。
その背景には、難関大学に合格した卒業生が親身になって学習をサポートしてくれるチューター制度があります。自習室には卒業生が常駐しており、勉強と学園生活をフォローしてくれます。また、自習室は朝7時から夜8時まで開放されているので、部活動後にも勉学に取り組める環境が整っています。
科目別に見る、佼成学園の入試問題の傾向
佼成学園の入試問題はどの科目も標準的な問題内容となっているので、基礎知識を正しく定着させておくことが大切です。まれに難度の高い問題が出されることもありますが、その問題はあまり合否に関係しないと考えて良いでしょう。重要用語は漢字でも書けるようにしておくことや、ケアレスミスをしないように演習を積んでおくことも大切です。ここでは科目別に、どのような問題が出題されるかを具体的にご紹介します。
算数
佼成学園の算数の試験時間は50分で、100点満点です。大問が5題出されるパターンがほとんどで、計算問題1題、応用小問集合1題、応用問題3題という構成になっています。規則性や速さ、平面図形・立体図形の問題が頻出されます。特に平面図形・立体図形は毎年必出と言えるほどの頻出単元です。よく練られた問題が多く、難易度の高い応用問題が出題されることもあります。
国語
佼成学園の国語の試験時間は50分で、100点満点です。大問が4題出されるパターンがほとんどです。説明文では自分の意見を記述する問題が頻出されています。一方、物語文では、心情を問う問題が多く出題されます。知識問題は漢字の読み書きのほか、慣用句やことわざ、文法など基本的なものが出題されます。
理科
佼成学園の理科の試験時間は25分で、50点満点です。大問が5題出されるパターンがほとんどで、例年、各分野からバランスよく出題されます。中でも実験や観察を重視した問題がたびたび出され、条件や手順を整理しながら問題を読み進めていく力が必要です。問題そのものは全体的に基本的な内容のものばかりですが、量が多いので時間配分にも注意しましょう。
社会
佼成学園の社会の試験時間は25分で、50点満点です。大問3題での構成が多く、理科と同様、各分野からバランスよく出題される傾向にあります。歴史は、各時代の重要な事柄を、年表などを用いて幅広く問うものが多く出題されています。政治分野は基本的なことだけでなく、時事問題もよく出題されています。
科目別に見る、佼成学園合格のために必要な対策
算数は、計算力の定着がカギ
佼成学園の算数の入試問題を攻略するには、日々演習を積んで確かな計算力をつけておくことが大切です。また規則性などの問題では、条件を整理して書き出すと解答のヒントがつかめることもあるため、余白を効果的に使うと良いでしょう。頻出分野である図形問題は、面積を求める問題を中心に、比の考え方を用いて解けるようにしておく必要があります。後半には、難易度の高い問題がたびたび出題される傾向にあります。過去問を繰り返し解いて、出題傾向や時間配分に慣れておくことが大切です。
国語は、要約する力をつけることがポイント
佼成学園の国語の入試では記述問題が出される傾向にあるため、普段から物事や文章を自分の言葉で要約する練習をしておくことが大切です。また、読解問題の中でも、熟語の意味などを問われる知識問題が出題されるので、普段からわからない言葉はそのままにせず、きちんと辞書などで意味を調べる習慣をつけておきましょう。
理科は、暗記だけに頼らない
佼成学園の理科の入試問題では、物理・化学・生物・地学の各分野からバランスよく出題される傾向にあります。すべての分野を偏りなく学び、まずは基礎知識を幅広く身につけておきましょう。特に、実験、観察をもとにした出題が多く出されます。また、思考力を問う問題も頻出のため、用語の暗記に頼ることなく、本質から理解しておくことが大切です。漢字指定の設問もあるため、正確な表記を覚えておくほか、作図力や計算力も求められるので、演習を通じて実践的な力を磨いておきましょう。
社会は時間配分に気をつける
佼成学園の社会の入試問題は、基本的な問題がほとんどです。全体的に、とある事象について関連づけて出題される形式が多々あるため、部分的に暗記するのではなく、知識をつなげて理解する力が求められます。地理では、地形図を用いた問題がよく出題されるため、地図記号や縮尺など基礎知識の定着が重要です。問題量は決して少なくないため、時間配分に気をつけ、焦らず着実に解いていく力も試されます。
まとめ
佼成学園の偏差値や入試情報、合格をつかむための対策法などについてご紹介しました。佼成学園は、進学への意欲が高く、学習に前向きな生徒には熱心に指導してくれるので、お子さまの特性によっては、入学後に大きく成績を上げることができるでしょう。指定校推薦の数も豊富なため、狙っている大学に進学しやすいのも特徴です。
佼成学園への受験対策で、成績の伸び悩みや苦手分野に不安がある場合は、個別指導という選択肢はいかがでしょうか。正しい努力が、苦手分野の克服、成績アップ、自信につながっていきます。トライは1対1の個別指導でお子さま一人ひとりに合わせた学習サポートが可能です。ご興味をお持ちの方はぜひお気軽にお問い合わせください。