近年、中学受験の世界において「英語入試」が急速に注目を集めています。従来の国語・算数・理科・社会に加え、英語を試験科目として導入する中学校が増加しており、首都圏では英語入試を実施する学校が約140校に達しています。
この背景には、2020年度から小学校5・6年生で英語が教科化され、評価対象となったことが大きく影響しています。小学校での英語教育の充実により、児童の英語力が向上し、それを評価する形で中学校も英語入試を導入する動きが広がっています。また、大学入試改革で英語の4技能(読む・聞く・書く・話す)が重視されるようになったことも、中学受験における英語入試の増加に拍車をかけました。
この記事では、英語入試を導入している中学校の特徴や、英語入試のメリット・デメリット、効果的な対策法について詳しく解説します。英語入試の最新動向を把握し、適切な準備を進めることで、お子さまの可能性を広げる一助となれば幸いです。
英語入試を導入している主な中学校とその概要
はじめに、英語入試の概要や実施校、最近の動向など、基本的な内容についてわかりやすく解説します。
「英語入試型」とは?
中学受験における英語入試は、多様な形式で実施されています。主なパターンとしては、国語・算数・英語の3科目から2科目を選択する「選択制」、英語を必須科目とする「必須型」、英検®などの資格を得点に加算する「加点方式」があります。また、英語の試験内容もリスニングやスピーキングを含むものから、英語に関する保有資格の提出による評価までさまざまです。これらの形式は学校ごとに異なるため、志望校の入試要項を確認し、適切な対策を講じることが重要です。
英語入試を実施している首都圏・関西圏の代表的な私立中学
2024年度のデータによると、首都圏では142校、関西圏では70校の私立中学校が英語入試を導入しています。首都圏では、広尾学園、三田国際科学学園、頴明館、開智日本橋学園などが代表的な学校です。関西圏では、大阪薫英女学院、金蘭会、武庫川女子大学附属、京都光華、立命館守山などが英語入試を実施しています。これらの学校では、英語力を重視した教育を行っており、グローバルな視野を持つ生徒の育成を目指しています。
国立・公立中高一貫校の動き
国立・公立中高一貫校でも、英語入試の導入が進んでいます。例えば、東京学芸大学附属国際中等教育学校では、英語を含む入試を実施しています。また、筑波大学附属中学校では、報告書点に英語を加え、評価の対象としています。さらに、埼玉県の大宮国際中等教育学校では、適性検査に英語を取り入れています。これらの動きは、小学校での英語教科化やグローバル人材の育成を背景に、今後も広がる可能性があります。
英語入試のメリットと注意点
英語入試にはメリットもある一方で注意しなければならないポイントもあります。以下で詳しくご紹介します。
英語が得意なお子さまにとってのアドバンテージ
英語が得意なお子さまにとって、英語入試は大きなアドバンテージとなります。多くの私立中学校では、英検®の取得により試験の免除や得点加算などの優遇措置を設けており、英語力を活かして入試を有利に進めることが可能です。特に、グローバル教育を重視する学校では、英語力が評価されやすく、志望校の選択肢が広がります。英語を得意とするお子さまは、その強みを最大限に活かすことで、合格の可能性を高めることができます。
他の科目とバランスを取る必要性
英語入試を導入する学校が増える中、英語に力を入れることは重要ですが、他の科目とのバランスも考慮する必要があります。特に、国語や算数などの基礎科目は、多くの学校で引き続き重視されています。英語に偏った学習計画では、他の科目の成績が伸び悩む可能性があるため、全体的な学習バランスを意識した計画を立てることが重要です。志望校の入試科目や配点を確認し、効果的な学習戦略を練ることが求められます。
一般入試との併願・併用の可能性
英語入試は、一般入試と併願・併用することが可能な場合が多く、お子さまにとって柔軟な選択肢となります。例えば、英語入試で早期に合格を得ることで、一般入試ではより難易度の高い学校に挑戦するなど、戦略的な受験が可能です。また、英語入試を導入している学校でも、国語や算数などの科目と組み合わせた入試形式が一般的であり、英語力を活かしつつも、他の科目の学力も評価されます。このように、英語入試と一般入試を併用することで、受験の幅が広がり、合格のチャンスを増やすことができます。
英語入試の出題傾向と難易度
英語入試ではどのような問題が出題されるのか、難易度はどの程度か、わかりやすくご紹介します。
リスニング、スピーキング、読解、文法問題の出題例
中学受験の英語入試では、リスニング、スピーキング、読解、文法といった多様な問題が出題されます。リスニングは英検®2級程度の難易度で、日常会話や短い文章の理解が求められます。スピーキングでは、簡単な自己紹介や質問への応答が課されることがあります。読解問題は、短文や対話文の内容把握が中心で、文法問題では基本的な時制や助動詞の使い方が問われます。これらの問題は、英語の4技能をバランスよく評価することを目的としています。
英検®やTOEFL Juniorとの関連性
英語入試では、英検®やTOEFL Juniorのスコアが評価基準として活用されることがあります。例えば、英検®3級以上を取得していると、英語試験が免除されたり、得点加算の対象となる学校があります。また、TOEFL Juniorのスコアを提出することで、英語力を証明できる場合もあります。これらの資格は、お子さまの英語力を客観的に示す指標として、多くの学校で重視されています。
英語入試に向けた学習・準備のポイント
英語入試に挑戦しようと考えている保護者様、お子さまはどのような準備を行えばよいのか、具体的にご紹介します。
小学生からできる英語学習の方法
小学生が英語入試に備えるためには、日常的に英語に触れる環境を作ることが重要です。英語の絵本を読む、英語の歌を聞く、英語で簡単な会話をするなど、楽しみながら英語に親しむことが効果的です。また、英語のアニメや映画を視聴することで、リスニング力を自然に養うことができます。これらの取り組みを通じて、英語への興味を深め、基礎的な語彙や表現を身につけることができます。
英検®対策と英語入試対策の違い
英検®対策は、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの4技能をバランスよく伸ばすことを目的としています。一方、英語入試対策では、志望校の出題傾向に合わせた学習が求められます。例えば、ある学校ではリスニングとスピーキングが重視される一方、別の学校では読解や文法問題が中心となる場合があります。そのため、英検®対策と並行して、志望校の入試形式に合わせた対策を行うことが重要です。
個別指導の活用
英語入試に向けた学習では、個別指導の活用が効果的です。個別指導では、お子さま一人ひとりの英語力や志望校の出題傾向に合わせたカリキュラムを組むことができます。また、英語の4技能をバランスよく伸ばすための指導や、英検®対策、模擬面接など、実践的なサポートを受けることができます。特に、英語に自信がないお子さまや、特定のスキルを強化したい場合には、個別指導の利用を検討すると良いでしょう。
英語入試対策のスケジュール
英語入試にチャレンジしようと考えた際に、どのようなスケジュールで対策を進めればいいのか、低学年、高学年それぞれのパターンについてご紹介します。
低学年から始める場合の学習ステップ
小学校低学年から英語学習を始める場合、まずは英語に親しむことが重要です。英語の絵本を読む、英語の歌を聞く、英語で簡単な会話をするなど、楽しみながら英語に触れる環境を作りましょう。子ども向け英会話教室に通って、英語に触れる機会を持つのもおすすめです。
この段階では、英語を「勉強」として捉えるのではなく、自然な言語体験として取り入れることが効果的です。また、英語のアニメや映画を視聴することで、リスニング力を自然に養うことができます。これらの取り組みを通じて、英語への興味を深め、基礎的な語彙や表現を身につけることができます。
小5・小6での集中対策プラン
小学校5・6年生になると、英語入試に向けた本格的な対策が必要になります。まずは、英検®などの資格取得を目指し、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの4技能をバランスよく伸ばすことが求められます。また、志望校の入試傾向を分析し、過去問や模擬試験を活用して実践力を養うことが重要です。特に、英語を含む入試を実施している学校では、英語力が合否に大きく影響するため、計画的な学習スケジュールを立て、効率的に学習を進めることが求められます。
模試・英検®など活用した進捗管理
英語入試対策では、模擬試験や英検などの資格試験を活用して、学習の進捗を客観的に把握することが重要です。定期的に模試を受験することで、自分の弱点や課題を明確にし、効果的な学習計画を立てることができます。また、英検®の取得は、英語力の証明として多くの中学校で評価されており、英語入試において有利に働くことがあります。これらの試験を活用して、学習のモチベーションを維持し、目標達成に向けた取り組みを継続することが大切です。
英語入試を活用する戦略:家庭ごとの判断ポイント
英語入試で受験すべきか悩んだ際に、どのような点に注意して判断すればよいのか、ご紹介します。
英語で差をつける受験戦略
英語が得意なお子さまにとって、英語入試は大きなアドバンテージとなります。多くの私立中学校では、英検®の取得により試験の免除や得点加算などの優遇措置を設けており、英語力を活かして入試を有利に進めることが可能です。特に、グローバル教育を重視する学校では、英語力が評価されやすく、志望校の選択肢が広がります。英語を得意とするお子さまは、その強みを最大限に活かすことで、合格の可能性を高めることができます。
他の科目とのバランスをどう取るか
英語入試を導入する学校が増える中、英語に力を入れることは重要ですが、他の科目とのバランスも考慮する必要があります。特に、国語や算数などの基礎科目は、多くの学校で引き続き重視されています。英語に偏った学習計画では、他の科目の成績が伸び悩む可能性があるため、全体的な学習バランスを意識した計画を立てることが重要です。志望校の入試科目や配点を確認し、効果的な学習戦略を練ることが求められます。
受験校選びの幅を広げるために
英語入試を活用することで、受験校の選択肢を広げることが可能です。英語を重視する学校や、英語入試を導入している学校を志望校に加えることで、お子さまの得意分野を活かした受験戦略を立てることができます。また、英語入試を実施している学校では、グローバル教育や英語教育に力を入れている場合が多く、将来的な進路選択にも有利に働くことがあります。受験校選びの際には、英語入試の有無や学校の教育方針を確認し、お子さまに最適な学校を選択することが重要です。
まとめ
英語入試は、英語が得意なお子さまにとって大きな「武器」となり得る新しい中学受験の選択肢です。入試方式や出題傾向は学校によって異なるため、早めの情報収集と計画的な対策が合格へのカギとなります。英語力を活かしつつ、他の科目とのバランスや志望校の方針も踏まえて、お子さまに合った受験スタイルを見つけることが何より大切です。
「トライ」では、お子さま一人ひとりに合わせた個別指導で、英語入試対策から一般入試まで幅広くサポートしています。未来の可能性を広げる第一歩として、ぜひご相談ください。