高輪中学は1885年に京都で創立され、1901年に現在の東京都港区高輪に移転した中高一貫の男子校です。1947年に戦後の学制改革に伴って新制高輪中学校となり、1970年に一旦、中学募集を停止するも、1989年から募集を再開して今に至ります。今回は、高輪中学とはどのような学校なのか、偏差値はどれぐらいなのか、また合格するためにはどのような対策をとれば良いかなどについて詳しくご紹介します。
高輪中学の基本情報
教育方針は「高く・大きく・豊かに・深く」
高輪中学では、下記の4つを教育方針に掲げています。
- 学習意欲の高揚と学力の向上
- 能力・適性・進路に応じた的確な進路指導
- 規律・公衆道徳の尊重と実践する習慣の養成
- 個別面談等を通して、それに対応する生徒指導
校訓は「自主堅正」で、厳しい現実の困難を乗り越えて絶えず人格向上に努力する精神を持った青年になってほしい、という願いが込められています。
さまざまな体験学習と種類豊富な部活動・同好会
高輪中学の一つの特徴として、体験学習でさまざまなことを経験して人間的に大きく成長していくために、中学1年生、2年生、3年生、高校2年生は学年全員での宿泊行事があります。ニュージーランド・アメリカでの語学研修プログラムも希望制で用意されており、現地で生きた英語に触れ、語学力を伸ばすことができます。
また、高輪中学には11の運動部と16の文化部、10の同好会があり、多くの生徒が部活動に参加しています。中にはマジック部やダーツ部などユニークな部活動もあり、生徒たちは自分が夢中になれるものを見つけることができます。
やる気を引き出すクラス編成や補修・講習プログラム
高輪中学では中学3年生から、前学年の成績から選抜クラスを2クラス(80名程度)設置します。選抜クラスでは理解や応用力を深めるために、問題演習を多く取り入れた授業が展開されます。また、選抜クラスと一般クラスのクラス替えは毎年行われるため、日々の努力が欠かせず、勉学に向かう姿勢を高めることができます。
さらに、理解の遅れている生徒や、小テスト・定期考査の成績不振者を対象に、指名補習を実施しています。また、中学・高校ともに実力養成を目的とした講習を放課後に実施しています。希望制の夏期講習や冬期講習も無料で行われ、中学生においてはほぼ全員が参加しています。
資格検定受検を奨励している
高輪中学は、漢字検定、英語検定、数学検定の3級全員合格を基本とし、準2級合格を目指しています。また、英語ではグローバル化に対応して、中学3年でGTEC® for STUDENTS(Basic)、高校1・2年でGTEC® for STUDENTS(Advanced)を全員が受検します。
加えて、高校3年では受験する大学に合わせて必要な検定を受けるように指導しています。
高輪中学の偏差値や難易度、進学実績は?
偏差値も倍率も高い
首都圏模試センターによると、高輪中学の偏差値は64から71です。中学受験をする人の上位2割ほどを指す数値のため、基礎の理解がしっかりできていて応用も効いたり、独特な問題に対応できたりする力が必要でしょう。近年は、A日程の募集人数70人に対して300人近い受験者がおり倍率は2.8、B日程では受験者数が450人近くとなり倍率も3.2と跳ね上がっています。
安定した国公立・難関私大の合格実績
高輪中学からは、東京大学、京都大学、一橋大学、東京科学大学(旧 東京工業大学)などの国公立大学をはじめ、慶應義塾大学や早稲田大学、明治大学など難関と言われる私立大学への現役合格者を多数輩出しています。生徒一人ひとりが希望する大学へ進めるよう、高輪中学で豊富なデータとノウハウを活かした、以下のようなきめ細かい指導が行われています。
- 学校単位で定期的に受ける外部模試
外部模試を活用して、事前に目標や計画を立ててから受験し、結果を振り返り、復習や弱点の克服につなげる学習サイクルを構築しています。中学ではベネッセの学力推移調査を年に3回(英語、数学、国語)、理科・社会の校内実力考査を1回実施しています。
- 自習室としても活用できる進路閲覧室
高輪中学には進路閲覧室があり、およそ1,200冊の赤本や青本などの問題集や参考書が揃っています。パソコンを用いてインターネットに接続し、入試情報やオープンキャンパスなどの大学情報を調べることも可能です。個別に仕切られた机があり、自習室として利用している生徒も多くいます。
- 夏と冬に行われる無料の講習プログラム
夏期講習と冬期講習を行い、学力の向上や定着を図っています。夏期講習は中学生から高校2年生までは5年間、冬期講習は中学生の場合2日間実施されます。いずれも希望制で多くの生徒が受講しており、授業では扱えなかった発展的な問題にも触れられます。
高輪中学の入試情報
高輪中学の入試は国語と算数がそれぞれ100点満点、理科と社会がそれぞれ60点満点の合計320点満点になっています。合格のためにはおよそ62%の200点を取る必要があります。ここからは、各科目でどのような出題傾向があるのかをご紹介します。
算数は「図形」と「速さの計算」が頻出
高輪中学の算数の入試問題は大問5問で、配点は100点です。大問1、2は計算問題、3~5は応用問題の構成となっています。難問奇問の出題はあまりなく、基本的な事項に重点が置かれているのが特徴です。計算では小数・分数の四則計算、逆算がよく出題されます。応用問題では「図形」や「速さ」の分野から頻出され、「図形」では比を使って立体の切断面の面積を求める問題や、立体の回転など少し難度の高い問題が出されます。「速さ」では、グラフを用いた問題が頻出となっています。
入試の3回の日程で出題される分野は比較的同じですが、A日程ではあまり見ない問題がB・C日程で出題されることがあるので、気をつけて対策しましょう。
国語は読解力が試されるオーソドックスな試験
高輪中学の国語の入試問題は大問4問で、配点は100点です。漢字と語句などが1問ずつで長文読解2問という構成です。長文は物語文から1問、説明文から1問の出題になっています。説明文は、社会的関心の高いテーマを扱ったものや、筆者独自の考えが独自の切り口で述べられるようなもの、人生論的なものが多い傾向にあります。文章が長く、記述式の問題も出されるのが特徴です。日ごろから論理的な読解力を伸ばしておく必要があるでしょう。
理科は問題を解く時間配分に注意が必要
高輪中学の理科の入試は大問4問で、配点は60点で、物理、化学、生物、地学の各分野からまんべんなく出題されています。試験時間30分のなかで小問数は20から30問と比較的多いため、時間配分には注意が必要です。問題の形式は選択肢や語句記入が多めですが、計算問題や記述も出題されます。
また「2つ選べ」「すべて選べ」「あてはまらないものを選べ」と条件づけられている場合もあるので、問題文をよく読む癖をつけておきましょう。基本的なレベルの知識だけではすぐに解けないような問題を出題して、受験生の力を試す傾向もあります。
社会は地理・歴史・政治の全分野から総合問題が出題される
高輪中学の社会の入試問題は大問3問で、配点は60点です。ほぼ毎年、歴史や社会、地理といった各分野からまんべんなく出題されています。出題範囲に偏りはありませんが、世界と関連づけた問題が頻出されるのが高輪中学の特徴です。例えば地理分野では「世界との結びつき」や「世界地理」といった世界に関する知識が問われています。歴史分野では「外交史」「講和条約」、政治分野では「国際連合」や「環境問題」などが出題されます。問題の形式は、選択式や語句記入が多めです。
高輪中学に合格するために必要な対策
算数は毎日の訓練で計算力を高める
高輪中学の算数の入試問題では基本問題が重視されるため、とにかく毎日の訓練で計算力をつけることが重要です。さらに規則性や場合の数など、応用小問の頻出分野はコツコツ取り組んで実践力を養っていきましょう。図形やグラフを使った問題も目立つため、過去問や類似問題に数多く取り組むことで考え方を身につけておくと良いでしょう。途中式を記入する部分もあり、高い部分点をもらえることもあるため、日頃から途中式の書き方を確認しておきましょう。正解できなくても諦めずに、本番で部分点がもらえるように練習しておくことが大切です。
国語は基礎的な出題だからこそ知識問題で差をつける
高輪中学の国語の入試問題では、主に読解力が試されます。そのため指示語や段落構成を意識して説明文を読む練習や、小説では心情変化を表す語句に気づけるようにしましょう。基本的な知識を問う出題も多く、漢字の読み書きや言葉の知識、慣用句は押さえておきたいです。知識問題ではあまり難しい問題は出題されないため、ここでミスをしてしまうと他の受験生との差が開いてしまいます。基本的な漢字の読み書きや言葉の知識は、問題集などを使って対策しておきましょう。
理科は毎年傾向がほぼ同じなので過去問で対策する
高輪中学の理科の入試問題では、生物分野の動植物、物理分野の気体の性質が頻出です。特徴的で毎年傾向がはっきりしているので、過去問を見て必要な知識をしっかりとつけておきましょう。応用的な問題はほぼ出ないため、まずは基礎知識を確実に身につけておくことが大切です。その上で応用問題に取り組み、応用問題のパターンを知っておくと強みになるでしょう。また、環境問題と身近な日常に見られる自然現象に関する問題が頻出されているので、日ごろからニュースで確認しておくと良いです。
社会は世界のニュースにも視野を広げる
高輪中学の社会の入試問題は地理、歴史、政治それぞれ20点配点で、幅広い知識を問う問題が出題されるため全分野を対策しておく必要があります。地図問題が頻出のため、各都市の位置を確認しておきましょう。歴史分野では他校に比べて文学史がよく出題されるため、作品名と時代背景をセットで覚えておくと良いでしょう。重要事項については漢字で書けるようにしておくことが大切です。政治分野では、憲法や条約の穴埋め問題が多いため、過去問対策が効果的です。理科同様に、環境問題や時事問題も出題されるので、国内だけでなく世界各国のニュースも確認しておきましょう。
まとめ
高輪中学の特徴と現在の偏差値、勉強の対策法などについてご紹介しました。高輪中学の入試問題は、ご紹介したように他校にはない特徴が散りばめられています。どのように勉強したら良いかわからない、どの項目を重点的に学習すれば良いかわからないとお子さまが悩んでいる場合は、個別学習を検討してみてはいかがでしょうか。
トライの個別指導では、お子さまそれぞれの学習ペースや特性に合わせた学習プランをご提案します。詳しくご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。