総合型選抜は、従来の学力試験だけでは評価しきれない受験生の多様な資質や人間性を、多角的に見極める入試方式として注目を集めています。特に医学部の総合型選抜では、学力に加えて将来の目標、課外活動での実績、コミュニケーション能力なども重視され、「医師としてふさわしい人物か」が問われるのが大きな特徴です。
私立大学医学部の総合型選抜では、出願条件や審査基準が大学ごとに異なっているため、学校推薦型選抜や一般選抜との違いがわかりにくいという声もあります。さらに、入学後の学納金や寄付金についても、事前に把握しておくことが大切です。
本記事では、関東エリアの私立大学医学部における総合型選抜の特徴やメリット、実施している大学の情報を整理し、志望校選びのポイントをわかりやすく解説します。
関東の私立大学医学部を目指す受験生は、ぜひ参考にしてみてください。
【私立大学】医学部の総合型選抜とは?
医学部の総合型選抜は、学力試験だけでなく、受験生の人間性や将来の展望、課外活動の実績など、多面的な評価を重視する入試方式です。
ここからは、関東エリアの私立大学医学部における総合型選抜の特徴を見ていきましょう。
関東エリアの私立大学医学部における総合型選抜の特徴
私立大学医学部が実施する総合型選抜(旧AO入試)は、学力試験だけでなく、受験生の人間性や将来の展望、課外活動の実績など、多面的な評価を重視する入試方式です。医師として必要な資質や志、コミュニケーション能力、社会貢献意識なども評価の対象となります。
主な特徴は、以下のとおりです。
- 志望理由書や自己推薦書の提出が必要
- 課題論文やレポートの提出を求められる場合がある
- 個別面接やグループディスカッションなど多様な面接形式を実施
- 探究活動や課外活動での実績も評価対象
- 高校での学業成績(評定平均)も重視されることが多い
また、一般選抜以外の方式で入学する場合、学納金や寄付金についても注意が必要です。明文化されていないものの、通常よりも金銭的な負担が大きくなるケースがあるため、事前に心構えをしておくことが大切です。
【私立大学】関東エリアの医学部総合型選抜を受験するメリット
ここからは、以下の観点から私立大学の総合型選抜における5つのメリットを解説します。
- 多面的な評価で個性をアピールできる
- 医師としての資質や将来性も含めて評価してもらえる
- 早期に進路を決められる可能性がある
- 志望校への熱意や相性の良さが伝わりやすい
- 自己表現力の向上につながる
多面的な評価で個性をアピールできる
総合型選抜では、成績や学力だけでなく、生徒会活動、ボランティア、スポーツ、芸術など、これまでのさまざまな取り組みが評価対象になります。自分が頑張ってきた分野や、取り組んできた経験を「志望理由書」や「面接」の場で伝えることで、学力だけでは表現しきれない自分らしさや価値観をアピールすることができます。
「学力はあるけれど、それだけでは伝わらない強みがある」という受験生にとっては、自分を総合的に評価してもらえることが魅力です。
医師としての資質や将来性も含めて評価してもらえる
総合型選抜では、「なぜ医師を目指すのか」「どんな医師になりたいのか」といった将来のビジョンが重視されます。一般選抜では評価されにくい、志や思い、コミュニケーション力といった部分も大切な判断材料になります。
特に、学力だけでなくスポーツや課外活動でも実績を残してきた方にとっては、その強みをアピールできる絶好のチャンスです。
ただし、医学部に入学すると、課外活動の内容によっては、学業の両立は非常に難しくなる場合があるため、これまでの経験を将来どのように医師として活かしていくのかしっかり考え、自分の言葉で説明できるようにしておくことが大切です。
早期に進路を決められる可能性がある
総合型選抜は、一般選抜よりも早い時期に出願・選考が行われます。合格が決まれば、冬を迎える前に進路が確定することもあります。
これにより、高校生活の後半を、入試のプレッシャーから解放された、より充実した時間として過ごすことができるでしょう。
また、進路が早く決まることで、残りの高校生活を有意義に過ごすことができます。たとえば、大学入学までの時間を使って大学で学ぶ専門分野の予習をしたり、英語や情報系の資格取得に挑戦したりと、余裕を持って将来に向けた準備を進めることができます。
志望校への熱意や相性が伝わりやすい
総合型選抜では、志望理由書や面接を通じて、「なぜその大学を志望するのか」「自分が大学でどのように学び、将来どんな医師になりたいのか」など、自分の考えや思いをしっかり伝えることが求められます。
また、「その大学でなければならない理由」や、「自分が大学にどう貢献できるか」といった視点も評価されるため、受験生の熱意や適性がより明確に伝わりやすい仕組みになっています。医学部の場合、大学によって得意な診療科が明確にある場合もあるので、特に大学入学前から希望の診療科が決まっている人には大きなアピールポイントになるでしょう。
一般選抜に比べて、大学側と受験生が「お互いにマッチしているかどうか」を重視する傾向が強いため、入学後のミスマッチが起こりにくいでしょう。
自己表現力の向上につながる
総合型選抜では、志望理由書や自己推薦書の作成、面接対策などに時間をかけて取り組む必要があります。これらの準備を通じて、自分の過去の経験を振り返りながら「なぜ医師を目指すのか」「どんな強みがあるのか」など、自分の考えを言葉にして整理する力がついていきます。
面接で自分をアピールすることが苦手な人にとっても、事前の準備や練習を重ねることで、少しずつ自信がつき、話し方や姿勢も変わっていくはずです。
なお、総合型選抜の合格を逃した場合でも、一般選抜において課される小論文や面接において、総合型選抜での準備経験が大きなアドバンテージになり、自己表現力や論理的思考力の面で向上に繋がることも大きなメリットと言えるでしょう。
【私立大学】関東エリアで総合型選抜を実施している医学部
現在、関東エリアの私立大学で総合型選抜を実施している医学部は、以下の7校です。
- 自治医科大学(栃木県)
- 獨協医科大学(栃木県)
- 帝京大学(東京都)
- 東海大学(神奈川県)
- 東邦大学(東京都)
- 順天堂大学(東京都)
- 日本医科大学(東京都)
ここからは、それぞれの大学の選抜内容や特徴を詳しく解説していきます。
自治医科大学
項目 | 内容 |
---|---|
選考内容 | ・書類審査(調査書、活動等報告書など)、面接、適性検査 |
共通テスト | ・不要 |
募集人数 |
・富山県:1名 ・山梨県:2名 ・山口県:2名 ・佐賀県:2名 |
評定平均 | ・評定平均の要件なし |
併願 | ・不可 |
実施日程 | ・10月中旬 |
主な特徴 | ・2026年度入試(2025年実施)より導入される(※詳細は公式にて要確認) ・富山県、山梨県、山口県、佐賀県を出願地とする受験生が対象 ・適性検査は、数学・英語の試験が行われる |
※参照:[医学部]令和8年度入試からの年内入試導入について
獨協医科大学
項目 | 内容 |
---|---|
選考内容 | ・第1次試験:書類審査、適性試験、小論文 ・第2次試験:面接試験、プレゼンテーション |
共通テスト | ・不要 |
募集人数 | ・3名以内 |
評定平均 | ・評定平均の要件なし |
併願 | ・不可 |
実施日程 | ・第1次試験:9月下旬 ・第2次試験:10月中旬 |
主な特徴 | ・出願資格に年齢制限あり(30歳未満) ・小論文試験は、紙の英和辞書を1冊持ち込み可 ・プレゼンテーションは、事前課題のテーマと当日課題をもとに行う |
※参照:令和7年度 学生募集要項 医学部 総合型選抜|獨協医科大学
帝京大学
項目 | 内容 |
---|---|
選考内容 | ・一次選考:書類審査、論述課題、グループディスカッション、面接 ・二次選考:共通テスト |
共通テスト | ・必須 ・共通テストの指定科目は、外国語、数学(「数学Ⅰ」「数学Ⅰ・数学A」「数学Ⅱ・数学B・数学C」から1科目選択)、理科(「物理」「化学」「生物」から2科目選択) |
募集人数 | ・10名 |
評定平均 | ・評定平均の要件なし |
併願 | ・不可 |
実施日程 | ・一次選考:10月中旬 ・二次選考:共通テスト実施日 |
主な特徴 | ・多様な人材の受け入れを意識している |
東海大学
項目 | 内容 |
---|---|
主な方式と選考内容 | ・第一次選考:書類審査 ・第二次選考:小論文、オブザベーション評価、面接試験 ・最終選考:共通テスト |
共通テスト | ・必須 |
募集人数 | ・10名 |
評定平均 | ・評定平均の要件なし |
併願 | ・不可 |
実施日程 | ・第二次選考:10月下旬 ・最終選考:共通テスト実施日 ※第一次選考は、書類審査のみ。 |
主な特徴 | ・東海大学医学部の総合型選抜は、「希望の星育成」選抜の名称 ・2026年度入試より、これまでの一次選考(小論文・面接)が書類審査に変更された ・「オブザベーション評価」では、個人やグループで課題に取り組む様子を観察し、その中で見られる思考力や発信力、協働する力などを評価される |
東邦大学
項目 | 内容 |
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主な方式と選考内容 | ・1次試験:基礎学力、適性試験 ・2次試験:面接 |
共通テスト | ・不要 |
募集人数 | ・約10名 |
評定平均 | ・評定平均の要件あり |
併願 | ・不可 |
実施日程 | ・1次試験:11月中旬 ・2次試験:11月下旬 |
主な特徴 | ・基礎学力試験、適性試験、面接、調査書、志望理由書、自己アピールシートの内容を総合的に評価 ・科目の基礎知識と応用力をバランス良く有し、熱意と意欲を有している人材を選抜 |
順天堂大学
項目 | 内容 |
---|---|
主な方式と選考内容 | ・1次試験:大学入学共通テスト、英語資格・検定試験の成績 ・2次試験:⼩論⽂試験、面接試験、プレゼンテーション試験 |
共通テスト | ・要 |
募集人数 | ・2名 |
評定平均 | ・評定平均の要件あり |
併願 | ・不可 |
実施日程 | ・1次試験:2月上旬 ・2次試験:2月中旬 |
主な特徴 | ・志望理由書・自己アピールシート・小論文・面接などを通じて、「研究への関心」や「地域医療への貢献意欲」を重視した総合評価を実施 ・大学入学共通テストで基礎学力を確認したうえで、小論文と面接による人物評価に重点を置いた選抜方式 |
日本医科大学
項目 | 内容 |
---|---|
主な方式と選考内容 | ・1次試験:学力試験(外国語、数学、理科) ・2次試験:小論文、面接 |
共通テスト | ・要(国語受験要) |
募集人数 | ・10名 |
評定平均 | ・評定平均の要件なし |
併願 | ・一般選抜(前期)と併願可(受験料60,000円+一般併願なら90,000円) ・地域枠との併願は不可 |
実施日程 | ・1次試験:2月上旬 ・2次試験:2月中旬 |
主な特徴 | ・グローバル対応力や国際的視野を重視する10名の特別枠 ・書類・共通テスト・個別試験(小論文・適性・面接)による総合評価 ・他方式との併願が可能で、試験戦略の柔軟性が高い |
まとめ
本記事では、関東エリアにおける私立大学医学部の総合型選抜について、その概要やメリット、実施している大学の特徴まで詳しく解説しました。
総合型選抜は、学力だけでなく、受験生の人物像や将来のビジョンを多面的に評価する入試方式です。特に私立大学医学部では、独自の選考基準や面接形式が採用されていることが多く、事前に各大学の方針をよく理解したうえで対策を進めることが重要になります。
「自分の強みをどう伝えればいいかわからない」「志望理由書に何を書けばいいのか悩んでいる」といった不安を抱えている方も、早めに準備を始めることで着実に合格への道が開けてきます。
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