埼玉県所沢市にある開智所沢中等教育学校は、2024年4月に開校した新しい学校で、学校法人開智学園(開智グループ)を母体とする中高一貫校です。開智学園は1997年の開智中学校の開校を皮切りに、埼玉県加須市の開智未来中学・高等学校、東京都中央区の開智日本橋学園中学・高等学校、茨城県つくばみらい市の開智望中等教育学校と次々に開校しており、新たに作られた開智所沢も出願者数を多く集めて高い人気を誇ります。今回は、開智所沢とはどのような学校なのか、偏差値はどれくらいなのか、また合格するためにはどのような対策をとれば良いかなどについて詳しくご紹介します。
開智所沢の基本情報
ここからは、開智所沢中等教育学校の基本情報を紹介します。
AI・ロボットを使いこなす力を磨く
開智所沢では「AIと共生する未来を創る」を教育理念に、開智学園のハイレベルで質の高い教育と国際標準の学びを通して、未来で生きる創造力・思考力・発信力を育てています。「探究型の学び」「世界に通用する英語の学び」「最新のICTを活用した授業」「探究型のフィールドワーク」など未来に向けた特色あるカリキュラムを揃え、特にAI・ロボットを使いこなす力や、AI・ロボットにはできない新しいことを生み出す力、みなで協働してより良い社会を創造する力の育成に努めています。
個性と才能を磨く6年間
1クラスおよそ30名という、少人数の「特待コース」「本科コース」に分かれています。中学1年生からの4年間では、知識や理論を体得する学び・言語力や計算力をつける「繰り返し」の学び・探究型の本質的で多様な学びによって、日本や世界の難関大学に通用する基盤となる学力を育てていきます。
魅力満載な、充実した学校生活と学び
学校生活では「自分で考えて決定し、自分の責任で行動する」ことをモットーに、生徒主体で企画・運営する学校行事や、自分たちで創る生徒会・委員会・サークル活動を推進し、生徒自身の手で新しい学校を創っています。また、授業は生徒が主体となって学ぶ「わかりやすく質の高いもの」を目指し、自分で課題を設定し、調査、観察、実験、発表する授業を展開しています。
専門分野で社会貢献するための学び
個人探究をはじめ、さまざまな分野の体験型フィールドワークと幅広い教科の学びによって自分の得意を伸ばし、専門分野で貢献できる学力をつけていきます。
また、仲間と未来の夢を語り合い、生活を共にして学ぶ「スキルアップ合宿」や、大学の学部・学科探究や職業探究で将来の目標を確かにする「キャリア・進路学習」などを通して自分の進む道を決め、ハーバード、ケンブリッジ、東大、京大、早慶などの難関大学を目指します。
開智所沢の偏差値や難易度、進学実績は?
開智所沢中等教育学校の偏差値はどれくらいなのでしょうか。また、高校卒業後の進学に向けたカリキュラムはどのように設定されているのでしょうか。ここでは開智所沢の難易度や進路について紹介します。
人気沸騰校だけあって偏差値は右肩上がり
首都圏模試センターの発表によると開智所沢の現在の偏差値は男女ともに64~73で、人気がかなり高まっている学校のため、偏差値も毎年大きく変動しています。初年度(2024年度)から7,500名以上の出願者を集めていましたが、2025年度にはさらに倍増し、その数は1万5,000人を超える人気校となりました。開校当初は47前後だった予想偏差値は年々上昇し、受験生のレベルも相当に高まっています。合格の実質倍率は男子で1.9倍、女子で1.8倍ですが、算数特待の女子では26.3倍になるなど、異例の数字を叩き出しています。
ハイレベルな進学を目指したカリキュラムを充実
開智所沢は新しく生まれた学校のため、進学実績がまだありません。この先の未来で高い進学実績を出していくために、6年間を通じて次のようなカリキュラムが組まれています。
1年:自分の趣味や好きなことをもとに将来の夢を考え、過去の成長を振り返り、生まれてから現在、10年後までの自分の歴史書を作ります。
2年:30年後の未来を想像し、どのような生活を送って学習し、生きていくのかを具体的に考えて夢を具体化していきます。
3年:自らアポイントメントを取り、企業や研究・開発所、医療現場や官公庁などの機関で探究し、どのような専門分野で自分が活躍するのかを想像しながら生き方を考えます。
4年:各種講演会や訪問を通じて、夢を実現するためには高校時代にどのような準備をすれば良いのかを先輩たちから学び、ベストな進路を選択します。
5年:大学進学に向け、本格的に受験勉強をスタートさせます。夏期講習や、10月からの放課後講座、系列校の卒業生による「受験勉強を考える講演会」など、進路に向けて本格的に学びを深めていきます。
6年:4月初旬に3泊4日の志望大対策合宿を実施し、仲間とともに入試までの初志貫徹を誓います。放課後講座や夏期講習に加え、入試直前には直前講習を行い、夢に向かって最後まで粘り強く取り組みます。
開智所沢の入試情報
ここからは、開智所沢中等教育学校の入試情報について紹介します。
受験者の個性に合わせたさまざまな入試を用意
開智所沢の入試は受験生の実力が発揮できるよう、第1回入試、特待A入試、算数特待入試、第2回入試、特待B入試と、傾向や難易度が異なる複数回の入試が実施されます。また試験会場には開智中学やさいたまスーパーアリーナ、河合塾などが設けられており、大勢集まる出願者が各会場に分散して試験に挑みます。
開智中学との合同入試は?系列校との同時出願・同時判定が可能
開智所沢は開智中学との合同入試を実施しており、同日程に同じ試験問題を解いて、両校の合格判定を受けることができます。また、入試回によっては開智系列校(開智望中等教育学校・開智未来中学・開智日本橋学園中学)とも同時出願・同時判定が可能です。
出願時に「所沢のみ(開智所沢のみの判定を志望)」、「所沢第一(両方の判定を希望し、開智所沢を第一志望)」、「開智第一(両方の判定を希望し、開智中を第一志望)」の3パターンから選択できます。
第1回入試の合格基準点は206点、特待A入試のS特待合格基準点は192点、医進クラス選択者は国算理で169点、算数特待入試の合格基準点はS特待で104点、A特待で92点、準特待で80点などとなっています。
※参照:入試情報|開智所沢中等教育学校
開智所沢に合格するために必要な対策
前述の通り、開智所沢の入試問題は開智中と同じものです。入試問題は細部まで知識を整理して正確に覚えておくことが必要で、どの科目でも記述を重視する傾向にあるため、文章力は必須でしょう。ここからは科目別の傾向と対策をご紹介します。
算数は基礎力・計算力を高めた上で応用問題にチャレンジ
開智所沢の算数の入試問題は60分・120点満点で、大問数4題で構成されています。計算は基本的な問題が中心ですが応用問題は工夫が必要で、単純な計算だけでは解けないような問題が頻出されるため対策が必要です。
まずはしっかりと基礎力・計算力を高めた上で、応用問題の演習を数多く解くようにしましょう。問題を1回解いて終わるのでなく、何度も繰り返し解くことが大切です。
次に、どの公式、どの定理を使うのかを日ごろから考え、問題の傾向や特徴を把握しましょう。算数は合否に影響しやすい科目でもあるため、ケアレスミスは絶対に避け、正解できる自信がある問題は確実に正解して点数を積み上げることが求められます。本番と同じように演習を行い、時間配分を事前に掴んでおけば本番で役立ちます。
国語は読解力と文章力、両方のスキル向上が必須
開智所沢の国語の入試問題は50分・100点満点で、大問数4題で構成されています。読解問題2題と知識問題2題で、読解問題は説明文と小説からの出題が多くなっています。内容が正しく理解できているかを問う問題が出題の中心になっています。また知識問題は、独立題のほか、読解問題からも出題されています。
記述問題が多く出題されているので、読み取った内容を自分の言葉で表現する力が欠かせません。文章力はもちろん、普段から長い文章に目を通して、スピーディーな読解力も養っておきましょう。知識問題では同音異義語など間違いやすい問題がよく見られるので、対策しておいてください。
理科は難易度が上がっているため、基本問題を確実に
開智所沢の理科の入試問題は、社会と合わせて60分・60点満点です。植物、気体・水溶性の性質、力のつり合い、浮力、光の進み方など、まんべんなく幅広い分野から出題されており、年々問題の分量が増え難度が上がっているため、時間配分に注意が必要です。また計算問題に比重が置かれ、表やグラフを用いた時事問題も頻出です。
まずは基本的な問題を確実に解けるようにし、その上で計算問題や実験をもとにした問題など、出題形式に合った対策を徹底して行いましょう。読解力や情報処理能力、素早く情報を理解することも大切です。単純な単語の暗記では太刀打ちできないため、普段から実践的な力を磨いておくと良いでしょう。
社会は「自分で資料をまとめながら」対策を
開智所沢の社会の入試問題は、理科と合わせて60分・60点満点です。各分野から幅広い知識を問う総合問題となっており、写真や図を用いた問題からの出題が多く、理解力が試されます。解答形式は記号、用語記入が大半ですが、1~2行程度の短文記述もあるので、正確で豊富な基礎知識を理解した上で、文章力を磨いておくことが必須です。
地理は白地図を活用しながら書き込んで確認するのがおすすめです。歴史は時代別に、年表にまとめながら覚えていくと良いでしょう。政治は基本的な知識があれば良いですが、選挙の仕組みや細かい数字の確認が大切です。また、時事問題が出題されることもあるので、新聞やテレビなどのニュースに日ごろから触れておきましょう。
まとめ
開智所沢の特徴と現在の偏差値、勉強の対策法などについてご紹介しました。人気校なだけあって、入試問題も年々難しくなる傾向にあるため、受験勉強も一筋縄ではいかないことでしょう。お子さまがどの分野を苦手に感じているのか、苦手を克服して強みに変えるべきところはどこかなど、一人ひとりの対策を知りたい場合は個別学習がおすすめです。
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