2025/02/03
2025/04/02

総合型選抜(AO入試)の準備は何から始める?何をすればいい?2つのフェーズで準備完了!

総合型選抜(AO入試)を検討している場合、「何から準備を始めるべきなのか?」「何をすればいいのか?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。本記事では、個性を最大限に活かして志望校合格へのチャンスをつかむために、2つのフェーズに分けて詳しく解説します。これから総合型選抜に挑戦しようとしている皆さんが、効果的に準備を進めるための具体的な方法をお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

第1フェーズ:必要な準備の洗い出し

総合型選抜は、大学によって求められていることが異なるため、自ずと準備する内容も異なります。効率的に準備を進めるためには、まず、どのような準備をする必要があるのかを洗い出すことからスタートします。以下、必要な準備を洗い出すフェーズについて解説していきます。

自己分析の実施

自己分析は、総合型選抜において最も大事なプロセスと言えます。なぜなら、概ねどの大学でも共通して求められる「志望理由書」「小論文」「面接」などの全てにおいて基盤となり、説得力を大きく高める要素だからです。

自己分析の実施は以下のポイントを押さえながら行います。

  • 自分の強みや弱みの明確化
  • 自分自身の過去の経験
  • 自身の興味の洗い出し
  • 将来像のイメージ

まずは、自分がどの分野に興味を持っていて、どのような活動に熱を注ぎ込んだのか振り返ります。これらを通じ、自分自身がどの分野に惹かれているかが明らかになってきます。

その上で、将来のビジョンを設定していきます。具体的な職業を決められればベストですが、なかなか難しいと思います。そういった場合は、なるべく職業に結びつくような形で方向づけていきましょう。どんな価値観や社会貢献に心が動くのかを意識していくことで、徐々に目指すべき方向性が具体化されていきます。このような自己分析のプロセスこそが、志望理由書や面接などでの説得力をより強化するポイントとなります。

より具体性をアピールできるよう、自身の強みや弱みの分析も行います。家族や友人からフィードバックを受けるなど、自身の強みや弱みなどを把握していきます。特に弱い部分をどのように乗り越えたかなどのエピソードを、目指す将来像と関連させることができれば、より効果的な準備になっていきます。

志望校の調査と絞り込み

自己分析と並び、志望校の調査と絞り込みも、成否に大きな影響を及ぼす不可欠な要素です。志望校を調査する際に最も注目すべきはアドミッションポリシーです。アドミッションポリシーを理解することで、大学側が求める学生像や教育方針を正確に把握することができます。自身の特性や将来像と照らし合わせることで、適切な志望校選びが可能になります。

情報の収集方法として、大学の公式サイト、大学案内のパンフレット、募集要項などが一般的ですが、積極的にオープンキャンパスに参加することで、より現実的で詳細な情報を得ることができます。教授や在学生から直接貴重な話が聞けるなど、一般的な情報収集手段では得ることができないリアルな情報が入手できる可能性があります。近年はバーチャルオープンキャンパスも盛んですので、遠方の方にも負担なくキャンパス見学が可能です。

同時に、志望校の絞り込みも進めていきましょう。総合型選抜では、大学ごとに求められる書類や試験科目、面談スタイルなどが異なります。準備すべき項目をリストアップして、効率的に進められるよう計画的に向き合うことが求められます。

ただ、総合型選抜特有の要因として、特に国公立大学は併願に制限があったり、私大でも原則的に第一志望でなければならなかったりするなどの縛りもあるため、その辺りも含めた包括的な調査を心がけましょう。

第2フェーズ:必要な準備の実践

実践フェーズでは、志望する大学が求めるものを反映させながら、現実的な準備を実施していきます。実質的には以下の項目に分かれます。

  • 文章作成の準備
  • 面接対策
  • スキル向上、活動実績の整理
  • 学力試験対策(主に国公立)
  • 評定平均の維持・向上(主に国公立と難関私大)

それぞれ詳しく見ていきましょう。

文章作成の準備

総合選抜型入試では、志望理由書がほぼ全ての大学で求められ、さらに多くの大学で小論文やエッセイが課されるため、自分自身を文章で表現するための準備が必要になります。

まずは志望理由書の準備から始めることをおすすめします。志望理由書は、願書を提出する際に必要書類として同時に提出する必要があり、重要度の高い書類になります。内容は、志望校のアドミッションポリシーに沿って、自身の将来のビジョンから掘り下げる形で入学後に学びたいことを伝え、それに対して高い熱意があることを伝えることが求められます。過去の経験やエピソードを盛り込みながら、自身の成長や価値観を伝えるなど、より大学側に伝えることを意識しながら作成することが必要です。

一方、エッセイや小論文は、書類選考を通過して次の選考に進んだ際に課されるケースが一般的です。つまり、準備としては当日に問題なく作成できるよう内容を練りつつ、練習を重ねていくことが主体となります。志望大学や学部によってテーマや求められる傾向が異なるため、事前に調査しておくことも大切な準備の1つとなります。一貫性のある主張を維持しつつ、事例などを用いながら説得力のある文章で伝えられるよう練習を重ねましょう。

面接対策

総合型選抜は大学が求める人物像に合う受験生を選考することが目的であり、面接は受験生一人ひとりの人間性や熱意、将来性を総合的に判断できる貴重な機会として捉えられます。受験生にとっては大きな緊張を伴うものですが、しっかり準備をしておけば、自分自身を理解してもらう最大のチャンスとして活用することが可能になります。

面接をうまく乗り切るために、想定される質問への回答を事前準備しておくことが大切です。想定される主な質問内容は以下となります。

  • 自己紹介
  • 志望動機
  • 学びたいこと
  • 将来のキャリアビジョン
  • 高校生活での学びや経験

このような質問に対して、各志望校のアドミッションポリシーや求める人物像に沿った上で、一貫性をもって説得力のある回答が求められます。最初は紙に書き出してポイントを意識しながら練習し、慣れてきたら一貫性があるかどうか、より説得力のある話し方を模索していく流れが推奨されます。

スマートフォンなどを使って録画をすることで、声のトーンや話すスピード、さらにアイコンタクトや姿勢など、面接官に良い印象を持ってもらえるような非言語コミュニケーションの改善が可能になります。同時に、家族や学校の先生などに協力を仰ぎ模擬面接を何度も実施することで、面接に対しての苦手意識の低減にも繋がります。そこでも録画を採り入れることで、より本番を想定した状態での自身の様子の客観視、要改善点の把握も可能になります。

スキル向上、活動実績の整理

資格取得、資格のレベルアップなどのスキル向上や、部活動や課外活動の実績の積み上げなどは、短期間で実現できるものではないため、受験生個人の魅力としてアピールできる貴重な要素です。志望校が求める人物像に合致していれば、最大の差別化要素と言えます。ただし、受験生自身の将来のビジョンと連動し、入学後にさらに向上できる、または入学後に学ぶことと連動し別の価値を生み出せるものである必要があります。

内容としては、英語や中国語などの語学の資格試験や、スポーツや芸術などの分野を伸ばしていくことなどが挙げられますし、課外活動に取り組んでリーダーシップやチームでの活動での実績などを積み上げていくことなども多くの前例があります。自分の得意分野のスキルや資格を活かし、課外活動に発展させるようなパターンであればより効果的です。

例えば、語学のスキルアップとして英検2級、そして準1級という流れでレベルをアップさせつつ、その能力を活かして子ども向けの語学教室でアシスタント講師などのパートタイマーとして業務をこなすなどの活動は、実社会によりコミットした価値のある活動として高く評価される可能性があります。

ただ、このような成長や活動の実績は大学側に伝わらなければ意味がありません。志望校によっては、求める資格のレベルが明確に提示されている場合があります。提出できる資格証明を保管しておいたり、活動履歴を順序立てて整理しておいたりなどの準備はしっかりと実施しておきましょう。

学力試験対策(主に国公立)

総合型選抜入試では、学力試験が課されない場合もありますが、主に国公立大学の場合や、一部の私立大学では、総合型選抜合格の要件に学力試験が加わっているケースもあり、共通テストや独自の学力確認テストの準備が不可欠です。また、検定試験の合格などが要求されることもあります。一般的に、総合型選抜での入試では学力試験がない…というイメージが強いと思いますが、そうではないケースもあることは確認しておきたいポイントと言えます。

前述のスキル向上や課外活動と同様に、学力試験は短期間で対策できるものではありません。高1、高2の早い段階から計画的に準備を進めることが重要です。同時に、私立大学でも、学力検査型の総合選抜入試を採用するケースが増加傾向であるという事実もお伝えしておきます。また、医学部入試などの難関入試では、理科3科目が課される等、一部では一般選抜よりも多数の科目が要求されることもあります。

評定平均の維持向上(主に国公立と難関私立)

総合型選抜の場合、高校での成績は問われないという印象を持っている方も少なくないと思いますが、国公立大学や難関私立大学などでは、一定以上の評定平均(実技科目も含めた全ての科目の評定平均)が求められるケースがあります。単に学力の高さだけではなく、日々の努力、計画性やその遂行能力を計る1つの判断材料として、「高い評定平均」を捉えていると考えられます。

難関私立大学では、同じ大学の同じ学部であっても、いくつかの選抜方式が存在し、評定結果が一切求められない場合もあります。ただ、その分、資格やスキル、活動の実績などにおいてより高い水準が求められるケースが散見されます。このことは、逆に言えば、総合型選抜に興味があるものの、個人的な魅力としてアピールできるものに自信が持てないような受験生にとってみれば、それを評定で補えるチャンスと捉えることもできます。

自分自身の分析を客観的に判断し、弱みと強みを明確に洗い出した上で、評定平均の向上に活路を見い出すことも、総合型選抜で成功する方法のひとつと言えるでしょう。

総合型選抜(AO入試)の準備は何から始める? まとめ

総合型選抜は一般入試とは大きく異なり、受験生一人ひとりの個性に注目し、大学側の求める人物像に合致する学生をピンポイントで選抜していく入試方式です。そのため、志望理由書や面接、小論文やエッセイはアピールのための極めて重要なリソースであり、その準備には大いなる熱意と労力が注がれるべき価値のあるものと言えます。

今回ご紹介したように、必要な準備を「洗い出すフェーズ」と「実践するフェーズ」に分けて捉えることで、何から始めるべきなのか、実際に何をすればいいのかが捉えやすくなり、効率的で効果的な対策が可能になります。

総合型選抜の準備プロセスは単なる受験の準備にとどまらず、自分自身の未来を深く考える絶好の機会にもなり得ます。しっかりと準備を実施して、志望校での学びを実現するための第一歩を踏み出すためのお役に立てましたら幸いです。

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