新型コロナウイルスの流行以降、中学受験向けのオンライン家庭教師サービスが急速に広まっています。比較的費用が控えめで移動の負担がないこと、そして柔軟にスケジュールを組めることが魅力で、「始めてみようかな」と検討している方も多いのではないでしょうか。
しかし、オンライン家庭教師の学習効果を最大限に引き出すには、単に授業を受けるだけでなく、上手に利用することが必要です。この記事では、シーン別・学年別の効果的な活用方法を具体的に紹介するとともに、効果を高めるためのポイントや、思うように成績が伸びない場合の対処法についても解説します。
シーン別 オンライン家庭教師の活用方法
ここでは中学受験の具体的なシーンごとに、オンライン家庭教師の効果的な活用法を紹介します。
【併用型】塾にオンライン家庭教師をプラスする方法
まずは、集団塾に通いながら必要に応じてオンライン家庭教師を活用する方法と、そのメリットを紹介します。
弱点の補強
集団塾では、授業中に気軽に質問することが難しく、わからない箇所をそのままにしてしまうことがあります。こうした理解不足が積み重なると、苦手分野が広がり、最終的には授業のペースに追いつけなくなる恐れもあります。
このような場合には、家庭教師を併用して弱点を補強する方法が効果的です。具体的には、集団塾で理解しきれなかった単元の質問や、模試で点数が伸びなかった分野の復習、苦手科目の重点学習などが挙げられます。週1回の定期的な受講や、夏休みなどの長期休みに短期集中で補習を行うなど、塾にプラスして学習時間を設けることで、基礎力と得点力を着実に向上させることができます。
さらに、オンライン家庭教師なら自宅で受講できるため、補習による時間的・体力的・精神的な負担を軽減できます。また、対面形式より費用が抑えられていることも多く、「授業についていけていないかもしれない」と思ったら、すぐに始めやすい点も魅力です。
志望校対策
入試では、学校ごとに異なる出題傾向に対応するため、過去問演習に加え、頻出単元の重点学習が欠かせません。しかし、集団塾は決められたカリキュラムに沿って授業が進むため、志望校ごとの特化対策がしにくい場合があります。
こうした場合には、家庭教師を活用して志望校対策を行う方法が効果的です。講師と相談しながら出題傾向に合わせた学習計画を立てることで、効率的に学習を進めることができます。特に難関校入試では記述式や思考力を問う問題が増えており、マンツーマン指導はより高い効果を発揮することができます。
さらに、オンライン家庭教師には、住んでいる地域に関係なく全国から教師を選べるという利点があります。志望校対策の経験が豊富な教師や、合格実績を多く持つ教師から学べることは、ライバルとの差を広げる大きな強みとなるでしょう。
【自宅型】オンライン家庭教師のみで受験する方法
中学受験を目指す方法はさまざまで「塾に通わず、できる限り家庭学習で挑戦したい」と考えるご家庭も少なくありません。しかし、自学のみで受験を乗り切るのは、多くの課題がともない、現実的には難しい場合もあります。
そこで、ここでは塾に通わずに受験を目指す場合のオンライン家庭学習の活用法と、そのメリットを紹介します。
カリキュラムの作成
受験勉強はやるべきことが多く、ご家庭だけで進めていると、学習が行き詰まってしまうことがあります。特に思春期にさしかかったお子さまは、保護者様がスケジュールを組んだり勉強を教えたりしても、反発して勉強を避けてしまうことも珍しくありません。その結果、親子間で意見が食い違い、関係がぎくしゃくしてしまうケースもあるでしょう。さらに、受験勉強は長期にわたるため、自学だけではモチベーションが下がりやすく、学習のペースが乱れやすくなるという課題もあります。
こうした課題を解決するには、受験に関する知識と経験を持つ家庭教師に、カリキュラムの作成や進捗管理、状況に応じた計画の見直しなどを任せる方法が効果的です。親子という限られた視点だけで学習を続けるよりも、冷静な第三者の視点が加わることで、より効率的かつ効果的な受験対策が可能になります。
また、誤った学習習慣がついている場合には、それを修正するきっかけにもなるでしょう。加えて、講師が定期的に学習状況や成績を確認することで、適度な緊張感が生まれ、モチベーションの維持にもつながります。
さらに、オンライン家庭教師であれば教師の選択肢が広く、例えばお子さまの志望校出身の教師を選べば、実際の学校生活の話を聞くことができ、やる気の大幅な向上につながります。カリキュラム作成を任せるには専門的な知識が不可欠ですが、オンラインは対面よりも低コストである場合が多く、中学受験に特化したプロの教師も比較的手軽に依頼できる点も大きな魅力です。
特定の科目のみ受講
中学受験では小学校で習わない内容や、大人でも解けない難しい問題が多く出題されます。このため、お子さまが一人で教科書を読んで完全に理解することは難しく、保護者様が教える場合も時間的・精神的な負担が大きくなりがちです。
こうした場合に有効なのが、特定の科目のみ家庭教師を活用する方法です。苦手科目や記述が多い科目、または保護者様が指導するには負担が大きい科目など、選び方はさまざまです。特に自学で成績が伸び悩んでいる場合は、手遅れになる前に早めに相談し、どの科目を家庭教師に任せるべきか見極めていきましょう。
オンライン家庭教師であれば、インターネット環境さえあればご自宅で気軽に始められるため「家庭教師はハードルが高い」と感じている方にも取り入れやすい方法です。
全科目受講
自学での受験に不安を感じながらも、さまざまな事情で集団塾に通うことが難しい場合は、全科目を家庭教師に任せるという方法もあります。家庭教師なら、自宅で授業を受けられる上、一人ひとりに合わせたカリキュラムで効率的に学習を進められるため、無理なくお子さまのペースで受験を目指すことができます。
大切なのは「受験は無理ではない」と、あきらめないことです。習い事との両立で忙しいお子さまや、自分のペースでじっくりと学びたいお子さま、外出が難しいお子さまも、ぜひオンライン家庭教師という選択肢を前向きに検討してみてください。
学年・時期別|オンライン家庭教師の活用方法
ここでは学年や時期に応じたオンライン家庭教師の効果的な活用法を、具体的にご紹介します。
【小4・小5】基礎の徹底
小4・小5のうち、特に受験勉強を始めたばかりの時期は、まず「学習習慣の定着」が重要です。そのためには、オンライン家庭教師を週1~2回、無理のないペースで定期的に取り入れ、自然と勉強が生活の一部になるようにしていきましょう。また、授業だけでなく、宿題や家庭学習用の課題を出してもらうことで、自分から学ぶ力も少しずつ育まれます。
なお、この時期は勉強嫌いにならないよう、楽しく学びながら興味を引き出してくれる教師を選ぶことがポイントです。「勉強を楽しむ→習慣にする→自分で学び・考える」という好循環ができれば、中学受験はもちろん、その先の学びの土台にもつながります。
学習習慣が定着してきたら、次は「基礎の徹底」を意識しましょう。学年が上がるにつれて内容は少しずつ複雑になりますが、基礎があやふやなままでは、応用問題や新しい単元についていくのが難しくなります。少しでも不安を感じたら、オンライン家庭教師のマンツーマン指導を活かし、「わからないことをそのままにしない」学び方を心掛けることが大切です。
さらに、模試などを活用して教師と一緒にお子さまの現在学力を客観的に分析し、基礎的な問題でつまずきが見られたら、早めにカリキュラムを見直して対策を取るようにしましょう。
【小6前半】応用力の強化
小6の前半は「応用力の強化」が大きな課題となり、この時期から集団塾でもより入試に近い形式の問題に取り組むようになります。特に難関中学を目指す場合は、知識だけでなく、思考力や解法の柔軟さが求められるため、自学や集団授業だけでは理解が不十分になることも少なくありません。そこで、オンライン家庭教師を活用し、マンツーマンで「なぜそうなるのか」という本質的な理解を深めることがおすすめです。
ただし、応用力ばかりに目を向けると、これまで積み上げてきた基礎がおろそかになることもあります。模試の結果や日々の演習で基礎の定着度をこまめに確認し、不安のある単元は早めに復習を行いましょう。
夏休みまでに全範囲を振り返れるように、オンライン家庭教師と一緒に無理のない学習計画を立てることが、後半戦での伸びにつながります。
【小6後半】過去問対策
小6の後半は、志望校合格に向けた仕上げとして「過去問対策」が何よりも重要です。ただし、小学生が自分だけで過去問に取り組むと、丸付けだけで終わってしまったり、点数の低さに落ち込んでやる気を失ったりと、効果的な学習につながらないことも多くあります。
そこでオンライン家庭教師を活用し、お子さまの志望校対策に強い講師から過去問の解説はもちろん、出題傾向や時間配分などの戦略まで指導してもらいましょう。さらに、得点シミュレーションで合格までの課題を明確にすれば、限られた期間でも大きな得点アップが狙うことができます。志望校によっては、面接練習を依頼するのも有効です。
また、この時期は学力面だけでなく、メンタル面のサポートも欠かせません。講師と二人三脚で最終調整を行い、自信を持って本番に臨める状態を整えましょう。
オンライン家庭教師を効果的に活用するための4つのポイント
ここでは、オンライン家庭教師の効果を最大限に引き出すために、意識しておきたい4つのポイントを紹介します。
集中できる環境づくり
オンライン家庭教師を効果的に活用するためには、まず勉強に集中できる環境を整えることが大切です。特にインターネット回線の切断や通信速度の低下は、学習効果を大きく損なう原因となるため注意が必要です。有線LANで接続する、ルーターの近くでWi-Fiを使用する、授業前に動作確認をする、他の端末で大容量通信を同時に行わないなど、安定した通信環境を確保しましょう。
また、オンライン授業では教師が隣にいない分、お子さまによっては緊張感が保ちにくくなることもあります。静かで落ち着いた学習スペースを用意し、テレビやゲーム機などが視界に入らないように、机の配置を工夫することも大切です。スマートフォンは保護者様が預かるか、通知をオフにするなどして、授業に集中できる環境を整えてください。
保護者様のサポート
中学受験では教師にすべてを任せきりにせず、保護者様も積極的に関わることが大切です。特にオンライン家庭教師に慣れていないお子さまの場合、授業中に集中力が途切れたり、正しく学習できていなかったりすることがあります。慣れるまでは保護者様の目の届く範囲で受講させるか、同じ画面を一緒に視聴して様子を確認するのがおすすめです。ただし、授業中はあくまで見守る姿勢を保ち、口出しは控えましょう。
授業後は「今日は何を勉強したの?」「どこが難しかった?」といった質問をして、その日の学習内容を会話の中で振り返ると効果的です。お子さまが自分の言葉で説明することで、理解が深まり記憶の定着にもつながります。
また、成績だけで判断せず、日々の努力や成長を具体的に褒めることも重要です。「宿題を自分から始めてすごいね」「この漢字が書けるようになったんだね」など、小さな進歩も見逃さず、前向きな声掛けをしましょう。さらに、家庭学習の課題チェックやスケジュール管理、丸付けなど、無理のない範囲でサポートすると、学習習慣がより安定します。
学習状況の振り返り
学習効果を最大限に引き出すためには、定期的な進捗確認と改善が不可欠です。そのために、まずはカリキュラムや授業の進度、成績などの学習状況を、講師・保護者様・お子さまで共有しましょう。家庭教師の会社によっては、学習管理システムやアプリが提供されている場合もあり、こうしたツールを活用すると情報共有がスムーズになります。
次に、家庭教師の成果を客観的に判断するために、以下の3つの視点からお子さまの変化を確認します。
- 学力の変化 :模試や小テストの成績の推移
- 学習習慣の変化:自主的に勉強を始める、宿題を計画的に終えるなど
- 学習意欲の変化:授業中に積極的に質問する、学んだ内容を家庭で話すなど
これらの変化を踏まえて、最低でも3ヶ月に1回は三者面談や学習相談を行い、意識や情報をすり合わせましょう。その際、具体的な改善点を洗い出し、授業内容・教材のレベル・宿題の量などを調整することが重要です。また、次の3ヶ月の学習方針を明確にすることで、方向性がぶれにくくなり、着実な成長につながります。
効果が出ていない時の対処法
3ヶ月ごとの面談で改善策を試しても学習状況に変化が見られない場合は、思い切って方針を見直すことも必要です。
まずは、つまずきの原因を冷静に分析してみましょう。例えば、インターネット回線の不安定さや家庭学習時間の不足、さらには教師との相性などが関係していることがあります。特に講師との相性は学習成果に直結するため、合っていないと感じたら変更を検討してみるのも一つの方法です。
講師を選ぶ際は「基礎からしっかり学びたい」「志望校対策に集中したい」など、家庭教師を利用する目的を明確にしておくとスムーズです。「変更を依頼するのは申し訳ない」と遠慮せず、お子さまに合った教師を見つけることが、合格への近道になります。
まとめ
中学受験でオンライン家庭教師を導入する際は、目的や状況に合わせて上手に利用することが、学習効果を高める鍵となります。例えば、集団塾の授業ペースについていけない場合は、週1回の補習授業として取り入れる、志望校対策を効率的に進めたい場合は、その学校に強い教師を選び6年生から集中受講する、といった方法があります。
また、オンライン家庭教師のみで受験に臨む場合は、カリキュラム作成や中学受験の指導経験が豊富なプロの教師を選ぶと安心です。このように、オンライン家庭教師の最適な活用方法は状況や時期によってさまざまです。
さらに、学習効果を最大化するには定期的な見直しも欠かせません。少なくとも3ヶ月に1度は成果を確認し、伸びが見られない場合は講師の変更や指導内容の調整を検討しましょう。オンライン家庭教師は全国から幅広く教師を選べるのが大きな魅力です。お子さまに合う教師と出会うために、複数の家庭教師会社を比較・検討することをおすすめします。
家庭教師のトライでは、全国各地にいる教師の中からお子さまの目標や性格に合わせて最適な教師をご紹介しています。中学受験に豊富な合格実績を持つプロの教師も多数在籍していますので、家庭教師の利用をご検討中の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

