「勉強が苦手だから、大学受験が不安」「成績はずっと平均以下」「塾に通っても成績が伸びない」「模試の結果も思わしくない」、それでも将来のために大学進学を諦めたくない。そのような悩みを抱えている受験生や保護者の方は多いのではないでしょうか。
現在では、学力試験だけでなく、勉強以外の力で評価される入試方法があります。それが「総合型選抜(旧AO入試)」です。
この記事では「勉強が苦手でも大学に行きたい」と考えている方に向けて、総合型選抜のしくみと活かし方をわかりやすく紹介いたします。
勉強が苦手でも諦めない!日本の大学入試は「学力」だけではない時代へ。
現代は「正解のない時代」と言われています。社会情勢は変化し、多様な生き方が認められるようになってきました。
大学入試においても、学力だけでなく「主体性・多様性・協働性」といった力を評価する制度が取り入れられています。勉強が苦手でも、その他の強みを活かして挑戦することが可能です。
これからは「一つの正解」ではなく「自分なりの正解」を見つける力が、求められるでしょう。
※参照:文部科学省令和8年度大学入学者選抜実施要項【令和7年6月3日】
「成績が悪い=大学進学できない」ではありません
保護者世代の大学入試は、偏差値やテストの点数で評価される「一般入試」が中心でしたが、現在の大学入試の評価基準は多様化しています。
そのため、知識を詰め込む勉強が得意ではない受験生にも、合格のチャンスが広がっています。
受験生の中には、勉強に苦手意識がある背景として、発達の特性や個性など、さまざまなケースも考えられます。こうした事情に配慮し、多様な受験生に門戸を開く大学も増えてきました。大切なのは、現時点の成績だけで判断せず「学びたい」という意欲を大切にして進路を考えることです。
勉強が苦手でも高校生活では打ち込んできたことがある
勉強が苦手でも、部活動に真剣に取り組んできた人や、校外でボランティア活動を続けてきた人、趣味に夢中になってきた人もいるでしょう。高校生活で何かに打ち込んだ経験は、大学で学ぶきっかけになり、卒業後の進路にもつながる可能性があります。
そのような人には、学力試験だけではなく、多様な視点で評価される「総合型選抜」が向いている場合もあります。あきらめずに、自分に合った受験の形を探していきましょう。
勉強が苦手でも大学を目指せる「総合型選抜」
ここからは「総合型選抜」の特徴を紹介し、注目されている点について解説します。
「偏差値」よりも「個性」を重視
大学は、社会に貢献することを目的とした教育機関です。授業の内容も、一方通行の知識の伝達から、学生同士のグループワークやディスカッションを行う双方向型へと変化しています。
総合型選抜では、大学の掲げる「求める学生像」と受験生の「個性と学ぶ意欲」の相性を重視して合否が判定されます。大学は、知識偏重の人物ではなく、自校の学びを最大限に活かせる人物に門戸を開きたいと考えています。
そのため、勉強に苦手意識を持っていても、大学進学へのチャンスはあります。自分らしさを活かし、大学の方針と合致した強みをアピールすることが、合格への鍵となるでしょう。
評定平均を問わない大学もある
2021年度から、それまでのAO入試は「総合型選抜」へと名称が変更され、評定平均も選考基準に含まれることが多くなりました。これに伴い、評定平均も選考基準に含まれる大学が増えています。
しかし、現在でも評定平均に一定の基準を設けていなかったり、重視度が低めだったりする大学・学部も存在します。特に、「個別の課題レポート」や「プレゼンテーション」「資格・検定試験」「大学独自の基礎学力テスト」などを通して、評定とは異なる形で学力や意欲を評価するケースもあります。
ただし、全く学力が問われないというわけではありません。
あくまで知識偏重の試験ではなく、1〜2科目レベルの基礎的な学力や思考力を確認する選考が主流であり、「完全に勉強ゼロで突破できる入試」ではない点には注意が必要です。
総合型選抜では、学力だけでは測れない「人柄」や高校生活で培った経験、そして大学入学後の研究との適合性なども重視されます。
だからこそ、自分の将来へのビジョンや強みを、具体的に示すことが求められます。志望校の募集要項をしっかりと読み込み、それに応じた適切な対策を行いましょう。
ただし、入試時に評定平均が問われないとしても、大学での講義についていくための基礎学力は欠かせません。もし、基礎学力に不安を感じるようであれば、進学先の大学ですぐに学習相談を受け、入学前の準備講座を活用するなどして、必要な復習を把握することが大切です。
少子化による受験環境の変化でチャンスは増えている
2030年代には、18歳人口が100万人を下回ると予測されており、大学の志願者数・入学者数は、今後も減少傾向が続くと見られています。もはや「受験戦争」という言葉は、時代にそぐわないものとなりつつあります。
こうした状況の中で、学生から選ばれない大学は、今後の経営維持が難しくなる可能性もあります。選ばれる大学になるためには、自校の「強み」や「特色」を積極的に打ち出し、志願者の関心を惹きつける工夫が求められます。特に、卒業生が社会で活躍する姿を示すことは、大学の価値を高める重要な要素です。
また「アドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)」に合った人材を受け入れることも、大学の魅力や存在価値を高めることにつながります。その手段として、総合型選抜を導入する大学は今後も増えていくでしょう。
総合型選抜で合格できる受験生とは?
総合型選抜での受験が有利になる受験生には、どのような特徴があるのでしょうか?解説いたします。
高校生活で打ち込んできたことが大学の学びに直結している人
高校生活で打ち込んできたことを、大学の学問で深めていきたい受験生には、総合型選抜での受験が有利に働きます。
多くの高校生が打ち込む「部活動」を例にしてみましょう。
たとえば、大会で優秀な成績を収めた経験がある場合は、その実績を活かして、指導者養成に適した学部を目指すことが考えられます。
しかし、部活動の価値は結果だけではありません。思うようにいかなかった経験からも、進路のヒントを得られることがあります。
たとえば、試合中に緊張してミスをしてしまった場合、その原因を探ったり、緊張を和らげる方法を本や動画で学んだりすることもあるでしょう。
こうした経験を通して、選手へのメンタルサポートの重要性を実感し、心理系の学部・学科を目指すという選択肢も生まれます。
大学の研究を発展させる可能性がある人
自分の強みを活かし、社会に貢献したいという意欲がある受験生には、大学での学びを深め、将来的に研究成果を社会に還元していく力が期待されます。
高校での成績や偏差値だけでなく「大学で何を研究したいか」「高校生活でどのような経験をしてきたか」といった、個性や活動実績が重視されるのが総合型選抜の特徴です。
たとえ勉強が得意でなくても、自分のやりたいことを明確にし、それを大学でどう発展させたいかを言葉で表現できる受験生には、大きなチャンスがあります。
他の大学では学べない理由がある人
大学での研究内容や教育方針、独自のプログラムに強く共感し、自分の志や経験と結びつけて志望理由を語ることができる受験生は、合格の可能性が高まります。
たとえば、部活の試合での緊張への対処法を本で学んだことをきっかけに心理学に興味を持ち、その本の著者である教授のもとで学びたいと考えるようになった場合、それは「その大学でなければならない理由」として十分に説得力を持ちます。
ただし、特定の教員に惹かれて志望する場合は注意が必要です。学部段階ではすぐにその教員の授業を受けられるとは限らず、異動や退職の可能性もあります。
そのため、教員の在籍に関わらず、その大学で学びたい理由を説明できることが大切です。たとえば「〇〇教授に関心を持ったが、同様の分野のゼミやカリキュラムが充実しており、自分の興味を深められる」といった視点で、大学全体の魅力にも言及しましょう。
大学は人生の通過点です。自らの経験から学びを深めようとする意欲のある学生を、大学側は歓迎しています。
総合型選抜で合格を目指す3ステップ
総合型選抜で受験するのであれば、自分に合った対策を講じることが重要です。
合格するには努力の「質」が勝負です。鍵は戦略にあります。ひとりで悩まずに、早めに準備を始めましょう。
STEP 1:自己分析をする
最初に取り組みたいのは「自己分析」です。自分の「長所」や「短所」を見つけることに始まり「大学入学後に学びたいこと」や「卒業後にどのような人生を送りたいのか」を言葉にしていきます。とにかく、自分の純粋な気持ちで「やってみたいこと」を書き出します。
とはいえ、最初のうちはうまく言葉にできないかもしれません。そのようなときは、子ども時代からの自分を振り返り「趣味や好きなこと」「熱中してきたこと」を思い出します。そして、それらを少し深掘りして「なぜそれが好きなのか?」を自分に問いかけてみましょう。
たとえば、好きな動画があるとします。同じ動画が好きな人でも、その理由は人それぞれです。動画のストーリーを生み出すことに興味がある人もいれば、登場人物の考え方を分析するのが好きな人もいます。このように、関心の向きによっても「学ぶべき学部」は異なります。
さらに「好きなこと」だけでなく「ネガティブな感情が湧いてしまうこと」についても深掘りしてみると良いでしょう。そこから、学ぶべき学部が明らかになるかもしれません。自分の困りごとを解決していくプロセスには、社会問題の解決につながる可能性があります。
ただし、ネガティブな感情に長く向き合いすぎると、気分が落ち込んでしまうこともあります。そのため、無理のない範囲で取り組むことや、信頼できる家族や友人と一緒に振り返る工夫も大切です。自分ひとりで抱え込まず、客観的な視点を取り入れることで、より前向きに自己理解を深めていくことができるでしょう。
その他にも、家族や友人より「得意で自然にできてしまうこと」を見つけるのも、自己分析に役立ちます。ただし、それを自分ひとりで見つけるのは難しいこともあるため、友人同士でお互いの特徴を見つけ合うと良いでしょう。
STEP 2:大学の分析をして志望理由を明確にする
自己分析の結果学びたい分野がわかってきたら、該当する学部がある大学を探します。
「やってみたいこと」「解決したいこと」を学べるカリキュラム・設備があるのはどの大学か?「なりたい職業」が決まっているようなら、その職業に就いている人は、どのような学部で学んでいるのかを調査していきます。
高校の進路指導室の資料や、大学のホームページ・募集要項などを参考に、志望校を選定していきます。オープンキャンパスや、大学見学の機会も有効活用しましょう。
「大学で学びたいこと・学べること」と「自分の個性」との繋がりを見つけて「なぜその大学・学部なのか」を言葉にしていきます。
STEP 3:書類・面接対策を始める
志望校が決まったら、出願に必要な書類の準備や、小論文・面接の対策に取り組みます。特に「志望理由書」は、各大学の「アドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)」をしっかりと理解した上で、自分の思いや将来の目標と結びつけて丁寧に作成することが大切です。
しかし、これらの準備をすべて自分ひとりで進めるのは容易ではありません。志望理由書や小論文は、自分では気づきにくい表現のクセや論理の矛盾がある場合もあります。面接対策についても、実際に声に出して練習することで見えてくる課題があります。
そのため、信頼できる先生や家族、予備校の講師、総合型選抜で合格した経験のある先輩などに書類を見てもらったり、模擬面接をしてもらったりして、客観的なアドバイスを受けることが効果的です。他人の視点を取り入れることで、自分では見落としがちな改善点に気づき、より完成度の高い準備ができます。
不安な点は一人で抱え込まず、周囲の力を上手に借りて、対策を進めていきましょう。
まとめ
「勉強が苦手だけど大学に行きたい」受験生には、学力試験だけでなく、人柄や意欲を含めて評価する「総合型選抜」という選択肢があります。
この入試では、主体性・多様性・協働性、高校生活での経験や将来の目標などが評価されるため、テストの点数に自信がなくても合格のチャンスがあります。
多くの大学では、多様な個性を求めており、勉強が得意でなくても進学できる可能性は十分にあります。大切なのは「学びたい」という意欲です。
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