2025/09/26

漢検は大学受験に活かせる?漢検のメリットと効果的な入試活用ガイド

「漢検」は子どもからお年寄りまで毎年百数十万人が受検する知名度の高い資格です。出題されるのはもちろん漢字の知識を問うものですが、検定に向けての勉強を通して、思考力や表現力の向上が期待できます。大学受験をする高校生の皆さんにとっては、国語に限らず他の科目の底上げも狙うことができるでしょう。一般選抜に加えて、総合型、学校推薦型選抜での活用も目指すことができるのがこの資格の特徴です。大学によっては、一定の級以上を出願要件にしたり、選考時の加算対象にしたりと優遇措置を設けています。

この記事では、漢検に関する解説をし、実際にどの大学がどのように活用しているか、資格を大学受験でより活かすためのポイントは何かをご紹介します。

大学受験で活用できる資格「漢検」

漢検は知名度が高い資格の一つですが、ここでは改めて、漢検そのものについて紹介します。

そもそも漢検とは?

「漢検」の略称が一般的ですが、正式名称は「日本漢字能力検定」と言います。1975年に始まった漢検は、3歳から103歳まで幅広く年間百数十万人が受検をする国内で最も認知度の高い資格の一つです。

小学校1年生修了程度の10級から、最難関の1級までの12段階の級が設定されています。実力に合わせて少しずつ級を上げて挑戦することができ、ステップアップの実感を味わえるのも魅力です。

漢字の「読み・書き」はもちろんのこと、高校在学程度の実力が求められる準2級では、対義語・類義語や熟語の構成に関する問題が出題されます。一つひとつの漢字が読めるだけではなく、文章の中で漢字を正しく使う力も求められます。

漢検の勉強をすることで語彙力がつき、思考力や表現力の向上が期待できます。高難度の級まで用意されていることから、学習の成果を測ることができるだけでなく、大学受験や就職活動などにも活かせる資格となっています。

漢検各級の難易度と合格率

漢検は12段階の級があることを紹介しましたが、ここでは、高校生の皆さんが対象になり、大学受験でも評価されるようになる準2級以上について難易度や合格率をご紹介します。

級のレベル 対象漢字数 合格基準 合格率(※)
1級 大学・一般 約6,000字
(常用漢字含む)
200点満点の
80%程度
7.8%
準1級 大学・一般 約3,000字
(常用漢字含む)
200点満点の
80%程度
17.1%
2級 高校卒業・
大学・一般
2,136字
(常用漢字すべて)
200点満点の
80%程度
32.2%
準2級 高校在学 1,951字
(常用漢字の9割)
200点満点の
70%程度
38.8%

※参照:受検データ|調査・データ|日本漢字能力検定(2024年度第3回試験)

1級になると、準1級と比べて対象漢字数は約2倍に、合格率は2分の1程度になります。普段の生活ではほとんど目にすることが無い漢字や熟語も出題されるので、高校在学中の挑戦は、授業の延長というよりも個人的な趣味の範囲になってきます。

大学受験における漢検の活かし方については後ほどご紹介しますが、「漢検1級取得のみ」をアピール材料にすると、場合によってはプラスにならないこともあります。例えば、日本文学科や中国文学科など漢検1級の知識が研究に役立つ学部への進学を志望している場合は、大きなアピールポイントになります。そうでない場合、資格そのものだけを過度に強調してしまうと、受験生の総合力や多角的な学びへの姿勢が十分に伝わらず、評価が限定的になってしまう可能性があります。限られた時間をどこまで漢検に配分するかが、大学受験対策では大切です。

漢検だけで合格するのは難しく、メリハリのある対策をすることが重要です。自分が進みたい大学の募集要項を調べて、例えば、漢検は2級まで取得したら、数検や英検®で難易度の高い級を目指す、あるいは、小論文や面接対策に力を入れるようにしましょう。

漢検の受検方法

漢検は従来、年に3回、会場受検をするか、学校で受検をするかの2択でした。近年では、他の資格試験同様、自分の好きなタイミングにテストセンターで受けるCBT受検も実施されています。

2024年度からは、自宅で受けられる「漢検オンライン」も始まりました。毎週日曜日に、自分のタブレットなどから受検をします。タッチペンを使って回答したり、タブレットのカメラをオンにして不正がないか監視されていたりと、会場受検やCBT受検などと同じように実力が評価される仕組みになっています。

漢検オンラインは高校生にとってもメリットが大きく、市街地から離れた場所に住んでいる生徒は金銭面や時間などの負担を軽減できます。検定料も、公開、CBT、漢検オンラインとも差はありません。ただし、CBT受検と漢検オンラインは、2級が受けられる上限となっています。

漢検を受験で活かせる大学

ここでは、実際にどのような大学が受験で優遇措置を実施しているかをご紹介します。

6割以上の大学が評価に活用

大学入試には、一般、総合型、学校推薦型選抜と大きく3つの種類があります。試験の内容はそれぞれ違いますが、合格者を決定するために受験生の「学力の3要素」を評価する目的は同じです。

3要素とは、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持ち、多様な人々と協働しつつ学習する態度」のことです。一般選抜であれば共通テストや二次試験、総合型や学校推薦型選抜では志望理由書や小論文、面接などによって評価を受けます。

所有する漢検の資格は、総合型、学校推薦型選抜で大きなアピールポイントになります。漢検を主催する日本漢字能力検定協会が2023年度に調査したところ、漢検を入試で評価している大学・短大は全体の65%(694校)で、前回2019年度の調査から123校増加しました。

総合型、学校推薦型選抜を受験して大学に入学する人は増加傾向にあります。私立大学では特に顕著で、文科省によると、2016年度は全体の51%が総合型選抜、学校推薦型選抜での入学でしたが、2024年度には59%にまで増えました。国立大学でも、4ポイント増の19%となっています。

今後もこの傾向は続くと考えられ、大学入試における漢検の需要も増えると見込まれます。

漢検の具体的な活用方法

漢検は特に総合型、学校推薦型選抜の大きなアピールポイントになるため、大学は出願要件、または、点数加算で、漢検を評価に活用しています。

大学によって、漢検2級以上で総合型選抜に出願できるように条件を設定していたり、受験生を選考する時に、準2級は5点、2級は10点などと加算したりしています。

大学受験で漢検を優遇する大学

実際にどんな大学が入試に活用しているのかをご紹介します。

漢検の公式HPでは受験で活用する大学の一覧を見られますが、評価対象として漢検を明記していない大学もあります。ここでは、各大学の募集要項から「日本漢字能力検定」の名称が確認できた大学について活用状況をご紹介します。

要項に記載がない大学に出願する場合、出願要件の対象かどうかは、事前に大学に確認しましょう。点数の加算を狙う場合は、準2級以上を取得していれば、志望理由書に記入するようにしましょう。

大学(学部学科) 国公私立 都道府県 活用内容 入試種別 対象級
札幌大学
(地域共創学群)
私立 北海道 出願要件、
点数加算
自己推薦選抜 3級以上※
上武大学
(ビジネス情報学部・看護学部)
私立 群馬県 出願要件 総合型選抜
※特待生選抜
2級以上※
東京農工大学
(農学部 環境資源科学科)
国立 東京都 合否判定考慮 ゼミナール入試
(記載なし)
桜美林大学
(リベラルアーツ学群 他)
私立 東京都 出願要件 学校推薦型選抜 2級以上
駒澤大学
(仏教学部)
私立 東京都 出願要件 自己推薦選抜
(特性評価型)
2級以上
実践女子大学
(生活科学部 現代生活学科)
私立 東京都 出願要件 学校推薦型選抜 準2級以上
昭和女子大学
(全学)
私立 東京都 点数加算 総合型選抜、
公募制推薦入試
(総合評価型が対象)
2級以上
成蹊大学
(文学部日本文学科)
私立 東京都 出願要件 AOマルデス入試
(外国人特別受験は除く)
2級以上
玉川大学
(教育、農学部 他)
私立 東京都 出願要件 総合型入学審査、
公募制推薦入試
準2級以上※
都留文科大学
(文学部国文学科 他)
公立 山梨県 点数加算 学校推薦型選抜 準2級以上
(一部2級以上)
愛知学院大学
(全学部)
私立 愛知県 点数加算 学校推薦型選抜 2級以上
愛知工業大学
(経営学部)
私立 愛知県 出願要件 一般推薦入試、
女子学生推薦入試
2級以上
中京大学
(法学部)
私立 愛知県 出願要件 高大接続入試
(活動実績型)
準2級以上
中部大学
(全学部)
私立 愛知県 点数加算 学校推薦型選抜
(この内公募制推薦入試のみが対象)
2級以上
摂南大学
(全学部)
私立 大阪府 点数加算 公募制推薦入試 他 3級以上
森ノ宮医療大学
(全学部)
私立 大阪府 点数加算 総合型選抜
公募制推薦選抜
準2級以上
周南公立大学
(経済経営学部)
公立 山口県 点数加算 学校推薦型選抜 2級以上
福岡大学
(商学部)
私立 福岡県 出願要件 総合型選抜 2級以上

※漢検資格のほか、評定などの要件あり

※参照:大学・短大検索|漢検・文章検 活用校検索

大学受験に向けて漢検を勉強するのがおすすめな人

漢検対策も、人によっては合格までに相当の準備期間が必要です。ここでは、どんな人が漢検の勉強に向いているのかを解説します。

志望校が漢検を受験に活用している

志望校の総合型、学校推薦型選抜で漢検の優遇措置がある場合は、挑戦する価値があります。大学の募集要項を確認して、漢検が出願要件や加算対象になっている場合は、対象級まで積極的に挑戦しましょう。

特に日本文学、中国語文学系の学部学科への進学を希望している人にとっては、より大きなアピール材料になります。受験まで余裕がある場合は、大学が設定する基準以上の級に挑戦しても良いでしょう。

それ以外の場合、1級や準1級に挑戦するよりも、数検や英検®など他の資格を取る方が大学受験という観点では効率的な対策と言えます。

国語や漢字に自信がある

国語や漢字の実力に自信があったり、日ごろから新聞や小説、実用書など活字に多く触れていたりする人に漢検の受検はおすすめです。同級生よりも少ない時間で合格できる可能性があり、効率的に受検のアピールポイントを増やすことができます。

志望理由書や面接において、「漢検●級」という実績から説得力を持たせて得意分野をアピールすることができ、他の受験生に差をつけることができます。日本、中国文学系の学科への進学を希望している人が1級などを持っていればより強くアピールすることができます。

国語や漢字に自信がなく、語彙力をつけたい

国語や漢字に自信がない人にとっても漢検の受検はおすすめです。総合型、学校推薦型選抜でも共通テストの受験や小論文を課す大学があります。

漢検では熟語の構成や対義語・類義語に関する問題も出題されます。漢検の知識を深めることで、使える語彙が増え思考力や表現量の向上が期待できます。日本語で出題される数学や物理など、一見すると関係性の薄そうな科目の底上げが見込めます。

ただし、あくまで全体的な基礎力の向上、ということに注意が必要です。大学受験まで残り期間が少なく、他に優先すべき対策があるならば、時間をかけて取り組むことはおすすめできません。

大学受験で活躍する漢検に関するよくある質問

大学受験での漢検の活用に関して、よく出る質問についてまとめました。

漢検が受験で活かせるのは何級からですか?

志望校や志望学部によりますが、漢検を大学受験に活用したいと考えるのであれば、最低でも高校卒業レベルの準2級の取得が一応の目安となります。

準2級より難関の級を取得すれば高い評価を受ける、とは言いきれません。知識や興味に偏りがあると見られて、却ってマイナスの評価を受ける可能性もゼロではないのです。多くの時間や労力をかけて最難関の1級に挑戦するよりも、限られた時間を数検や英検®など他資格に挑んだり、小論文や面接の対策に時間をかけたりする方が、大学受験という面では効果的です。

ただし、非漢字圏の外国籍を持つ受験生や、日本国籍を持っていても生まれてから高校卒業までの9割以上を非漢字圏で過ごしていた、などの事情があれば、3級以下でも漢字の習得に意欲を持っていることや、日本の大学で学びたいという熱意をアピールする十分な材料になります。

受験では漢検がどう優遇されますか?

大学受験では、主に2つの面で漢検が優遇されます。一つは、総合型、学校推薦型選抜の出願要件になることです。指定する級を持っているだけでその選抜試験に出願することができます。また、これと少し異なるタイプとして、指定された漢検の級に合格していれば、評定平均がやや低くても出願が認められるケースもあります。

もう一つは、選考時にプラスの評価をされることです。大学が、面接や小論文などを点数化して合否を決めるときに、受験生が申告した漢検の級に応じて準2級なら5点、2級なら10点のように点数が加算されます。大学の募集要項に各級のポイントを明記している場合もあれば、非公開の大学もあります。

ほかにも、募集要項に漢検を優遇する記述はしないものの選考の際に評価される場合もあるので、募集要項には漢検を評価する旨の記載はなくても、準2級以上の級を取得している場合は記載するようにしましょう。3級でも、国外(非漢字圏)での生活が長かったなどの事情があれば、学習に対する意欲を評価される可能性があります。

漢検を勉強した方がいいのはどんな人ですか?

志望校の総合型、学校推薦型選抜が、漢検を出願要件にしたり、選考時の加点対象にしていたりする場合は、積極的にチャレンジすることをおすすめします。

国語や漢字が得意な人は、自分の得意分野をアピールする絶好の材料になります。他の同級生よりも少ない勉強時間で取得できる可能性があるので、受検を検討しましょう。

反対に、苦手としている人も受検を検討してみてください。漢検の勉強をすると、語彙力の向上も見込めるので、小論文や志望理由書の対策になります。共通テストを受験する場合に基礎学力の向上も期待できます。

面接で漢検をどうアピールすればいいですか?

大学受験において、大学は学力の3要素の面から評価をします。3要素とは、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持ち、多様な人々と協働しつつ学習する態度」のことです。

総合型、学校推薦型選抜において、漢検は大きなアピールポイントになります。自分の関心や学業に対する意欲、学業に対する姿勢を、実績をもってアピールできるので説得力が増します。

しかし、他の受験生も部活動や生徒会活動、英語資格などの成績や実績を同じようにアピールします。大学受験においては、漢検を面接や志望理由書にどう活かすかも大切です。受験までの期間は限られているので、漢検に時間をかけた分、面接対策はプロの力を借りるなどメリハリをつけて対策する必要があります。

まとめ

日本語の中でも漢字に特化した資格である漢字検定は、勉強をする中で、漢字の知識に加えて思考力や表現力の向上が期待できます。高校生にとっては、国語だけではなく、全教科の共通テストや二次試験対策にも強く結びついています。一般選抜に限らず、総合型、学校推薦型選抜にも活用できるのが特徴です。大学によっては、出願条件になっていたり、取得した級に応じて選考時の加算対象になっていたりします。

総合型選抜や学校推薦型選抜で、漢検を持っていることはアピールポイントになることは間違いありません。しかし、ほかの受験生も、別の資格取得や課外活動でアピールポイントを準備しています。

漢検の資格に挑戦した動機や学習期間の努力や工夫などを、志望理由書や面接の内容に活かすことが大切です。一生懸命努力して取得した漢検で大学合格を勝ち取るためにも、小論文や面接対策をしっかり行いましょう。トライなら志望校に合わせた個別の学習プランや面接・小論文対策までサポートが可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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