2025/09/26

大学受験で日本語検定は役立つ資格?メリットと総合型・推薦型選抜での活かし方を解説

日本語検定は、2007年に始まった比較的新しい検定です。出題範囲は広く、日本語の総合力を問われます。この検定の勉強を通して養うことができるのは日本語の知識だけではなく、読解力や思考力です。これらは、日本語で物事を考えて、文章を読み、コミュニケーションをする私たちにとって大切な能力です。特に、大学受験をする高校生の皆さんにとっては、読解力や思考力の強化は必須となっています。日本語検定は一般入試でのレベルアップが期待できるだけではなく、総合型選抜、学校推薦型選抜でも活用することができます。

この記事では、日本語検定に関する解説を行い、実際にどの大学がどのように活用しているか、資格を受験でより活かすためにはどうすれば良いかをご紹介します。

そもそも日本語検定とは?大学受験でも役立つ資格

ここでは、日本語検定とはそもそもどんな検定なのかをご紹介します。

日本語力を測る資格

日本語検定は、日本語を使う全ての人を対象にした資格です。文法や語彙、漢字の読み書き、敬語に加え、長文やグラフを読み解く総合問題もあり、広く「日本語を正しく使う力」について問われます。普段の生活でのコミュニケーションの行き違いをなくせたり、難易度の高い文章を読めたりするようになります。

小学校2年生レベルの7級から記者や編集者など高度な知識が求められる人を対象にした1級まで7段階あり、それぞれ認定基準があります。認定基準を下回っても一定の得点以上で準1級、準2級など各級の「準認定」を受けられます。

受検者は小学生から大学生までで約7割を占め、高校生は3割ほどです。社会人よりも学生の受検が多いことがわかりますが、実際に、高校生の大学受験対策にもなる資格です。

過去に大学の二次試験で日本語検定と類似の問題が出題されたことがあり、検定の勉強がそのまま国語の受験対策になるという捉え方もあります。また、日本語で物事を考え、日本語で書かれた問題を解く人である限り、検定の勉強を通して思考力や読解力を鍛えることができます。国語に限らず、他の科目での成績向上も見込めるでしょう。

日本語検定各級の難易度と合格率

日本語検定は、1級から7級まであり、それぞれに準級があることはすでにご紹介しました。ここでは、高校生以上が対象になり、大学受験でも評価されるようになる3級以上について難易度や合格率をご紹介します。

級のレベル 主な出題範囲 合格基準 合格率(※)
1級 社会人上級
(記者や編集者、研究者など)
学術用語から古語を含む文学的表現まで 1級・80%程度以上 20.0%
準1級・70%程度以上 30.4%
2級 大学卒業〜
社会人中級
社会生活一般に必要な語彙や言い回し 2級・70%程度以上 28.8%
準2級・60%程度以上 36.7%
3級 高校卒業〜
社会人基礎
大学生・社会人として必要な最低限の語彙や言い回し 3級・70%程度以上 64.6%
準3級・60%程度以上 19.9%

※参照:令和7年度|通算第37回|日本語検定データ

最難関の1級でも合格率が2割あり、合格率が意外に高いという印象を持たれた方も多いと思います。実際に、漢検で最も難しい1級の約2倍程度となっています。しかし、1級の問題そのものは難易度が高く、新聞や書籍ではなかなか見かけない漢字や言い回しが頻出するので、相応の準備期間が必要になります。

大学受験対策の延長というよりも、1級に特化した対策をする必要があります。2級までは普段から読書をする人や国語に自信がある人であれば、大学受験の勉強+αで対応できるでしょう。

ただし、非漢字圏の外国籍を持つ受験生や、日本国籍を持っていても生まれてから高校卒業までの9割以上を非漢字圏で過ごしていた、などの事情があれば、4級以下でも日本語の習得に意欲を持っていることや、日本の大学で学びたいという熱意をアピールする十分な材料になります。

日本語検定の受検方法

試験は年2回、会場のみで実施され、毎回1万数千人が受検をします。試験時間は4級までは50分、3級以上は60分です。午前に2級、4級、6級、午後に1級、3級、5級、7級が行われ、1日に2級と3級など二つの級の試験を受けることが可能です。

漢検や簿記のようなテストセンターで受検するCBT受検の設定が無く、年2回の試験に照準を合わせて対策しなければなりません。受検会場も都道府県庁所在地などに限定されるため、地方に住んでいる人にとっては受検しづらいです。

ただし、会場に関しては、5人以上で申し込めば学校で受けられる団体受検制度があるので、興味がある人はぜひ友人や学校の先生に相談しましょう。

大学受験で日本語検定を活かせる場面

日本語検定を大学受験にどう活用するか、実際にどのような大学が受験で優遇しているかをご紹介します。

国語以外の学力向上も期待できる

これまでご紹介してきた通り、日本語検定は漢字や文法など「日本語の総合力」を問う検定です。長文を読んで全体の意味を理解したり、グラフを見て筆者の主張を読み取ったりする総合問題もあるのが特徴です。日本語の知識だけではなく、日本語で物事を考える私たちの読解力や思考力も問われています。

つまり、日本語検定の勉強をすることでこれらを強化することができます。特に読解力は大学受験において鍛えるべき能力の一つです。以前から難関大学の二次試験では、理系科目も含めて読解力が求められていました。加えて、センター試験から共通テストになり、問題の長文化や、図表や広告文など読み取るべき題材が多岐に渡るようになってきています。

どんなレベルの大学でも、文系理系を問わず、志望校への合格には読解力の強化は必須となっています。簡単に合格できる資格ではありませんが、挑戦することで、大学受験に必須の能力を鍛えるトレーニングにもなります。

総合型・学校推薦型選抜でも評価される

日本語検定は一般選抜だけではなく、総合型、学校推薦型選抜での活用も期待できます。大学は「学力の3要素」で受験生を評価します。3要素とは、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持ち、多様な人々と協働しつつ学習する態度」のことです。

一般選抜であれば共通テスト・二次試験・総合型選抜、学校推薦型選抜では志望理由書・小論文・面接によって評価を受けます。

高校卒業レベルの3級以上を取得していれば、面接や志望理由書などで、自分の得意や興味の高い分野への熱意、学業に対する意欲などをアピールする材料になります。日本語検定を主催する日本語検定委員会の調査でも、多数の大学が日本語検定を総合型・学校推薦型選抜の選考に活用していたことがわかりました。

総合型選抜、学校推薦型選抜を受験して大学に入学する人は増加傾向にあり、大学入試における日本語検定の需要も増えると見込まれます。ただし、日本語検定自体が2007年の第1回目試験から始まっており、知名度が低いのが現状です。

実際に、募集要項で「日本語検定」が評価対象であると明記している大学は少ないです。日本文学の研究を志望しているなどの事情がない限り、3級まで取得したら、1級に挑戦するよりも、漢検など他資格の勉強や、面接や小論文対策に時間をかけるのがおすすめです。最も難しい1級の取得に力を注いでも、その努力に対する評価を正当に受けられない可能性もあります。

大学受験で日本語検定を優遇する大学

では、大学入試では、実際にどのように活用できるのかをご紹介します。主に出願要件、または点数加算で、大学は日本語検定を活用しています。大学によっては、3級以上で総合型選抜に出願できたり、選考時に3級は●点、2級は●点などと加算対象にできたりします。

日本語検定の公式HPでは受験で活用する大学の一覧を見られますが、「語学検定」などと明確に日本語検定を明記していない大学もあります。ここでは、各大学の募集要項から「日本語検定」の名称が確認できた大学について活用状況をご紹介します。

要項に記載がない大学に出願する場合、出願要件の対象かどうかは、事前に大学に確認しましょう。点数の加算を狙う場合は、3級以上を取得していれば、志望理由書に記入するようにしましょう。

大学(学部学科) 国公私立 都道府県 活用内容 入試種別 対象級
昭和女子大学
(人間文化学部日本語日本文学科)
私立 東京都 点数加算 総合型選抜、
公募制推薦入試
(総合評価型のみ)
3級以上
玉川大学
(工学部と文学部英語教育学科を除く全学部・学科)
私立 東京都 出願要件 総合型入学審査 3級以上※
(一部2級以上)
中部大学
(全学部)
私立 愛知県 点数加算 学校推薦型選抜
(公募制推薦入試)
3級以上
四天王寺大学
(全学部)
私立 大阪府 点数加算 総合型選抜
(資格重視方式のみ)
4級以上
摂南大学
(全学部)
私立 大阪府 点数加算 公募制推薦入試 他 3級以上
神戸芸術工科大学
(全学部)
私立 兵庫県 出願要件 総合型選抜
(資格取得型)
準1級以上
広島経済大学
(全学部)
私立 広島県 出願要件 学校推薦型選抜
(資格スカラシップ)
2級以上

※日本語検定のほか、指定評定平均などの要件あり

大学受験に向けて日本語検定を勉強するのがおすすめな人

日本語検定対策にも時間はかかります。ここでは、どんな人が日本語検定の勉強に向いているのかを解説します。

志望校が日本語検定を受験に活用している

進学を希望している大学の学部が実施する総合型、学校推薦型選抜で日本語検定を出願要件にしていたり、点数加算などがされたりする場合は受検をするのがおすすめです。点数加算や参考にする大学の場合、評価対象の資格数が多く、級の難易度が高いほど加算されます。

募集要項では確認できなくても、日本語検定の公式サイトで参考と記載されている場合は、評価の対象になる可能性があるので受検を検討しましょう。

ただし、日本文学系の学部学科に進学を志望している場合を除いて、1級まで取得するよりは、漢検や数検など他資格の取得や、面接・小論文対策に時間をかける方が、大学受験という観点で効率的だと言えます。

国語に自信がある

国語に自信があったり、普段から新聞や書籍などで活字によく触れていたりする人にはおすすめの資格です。他の人よりも対策にかける時間を短くできる可能性があり、効率的に大学受験時のアピール材料を増やすことができます。

特に日本文学系の学科を志望している場合、志望理由書や面接において、「日本語検定●級」と説得力を持たせて意欲を訴えることができます。

国語に自信がない

日本語検定は、日本語についてまんべんなく出題されるので、日本語に関する総合力を上げることができます。限られた時間で長文を読んで理解しなければならない総合問題もあるので、読解力の向上も期待できます。読解力は国語だけでなく、他の理数系科目でも必須の能力なので、日本語検定を通して全科目の底上げも狙うことができます。

ただし、出願要件になっている場合を除いて受験までの期間が短いにもかかわらず、日本語検定を受けるのはおすすめできません。

大学受験に役立つ日本語検定に関するよくある質問

大学受験での日本語検定の活用に関して、よく出る質問についてまとめました。

日本語検定を受験で活かせるのは何級からですか?

志望校や志望学部にもよりますが、日本語検定に関心があって大学受験で活用したいのであれば、最低でも、高校卒業レベルの3級は取得しておきたいです。大学の要件に応じて必要な級を取得する必要がありますが、より難関の級であればあるほど高い評価を受けるとも言いきれません。

知識や興味に偏りがあると判断されて、プラスの評価が受けられない可能性もあります。最難関の1級に挑戦するよりも、志望学部の受験に必要な級を取得したら、数検や英検®、日本語検定と同じ知識が活かせる漢検などの他資格に挑んだり、小論文や面接の対策に時間をかけたりする方が、大学受験という面では効果的です。

日本語検定を勉強した方がいいのはどんな人ですか?

日本語検定は、大学受験において特に「総合型選抜」や「学校推薦型選抜」を考えている受験生にとって大きな意味を持ちます。
その理由は大きく2つあります。

まず一つ目は、出願資格として利用できるケースがあることです。大学によっては「日本語検定●級以上を取得していること」を出願条件に掲げており、資格を持っているだけでエントリーの権利が得られる場合があります。

二つ目は、選考時の評価に加点されることです。面接や小論文などで点数化される際、日本語検定の級に応じて一定の点数がプラスされる仕組みを取り入れている大学があります。例えば「準2級で5点、2級で10点」といった具合に、級によって加点幅が変わる場合です。こうした基準は募集要項に明記されることもあれば、公開されない場合もあります。

つまり、日本語検定は単に「日本語力を示す資格」ではなく、受験チャンスを広げ、合否を左右する評価材料になる可能性がある資格と言えるでしょう。

大学によっては、募集要項に日本語検定を優遇するとはっきり書かれていない場合でも、選考の際に評価されるケースがあります。合格証書やそのコピーの提出が可能であれば、日本語検定の取得級を自己申告できることがあります。そのため、3級以上の級を取得している場合は積極的に記載しておくことがおすすめです。

4級でも、国外での生活が長かったなどの事情があれば、高得点の外国語資格とセットで学習に対する意欲を評価される可能性があるので、記載を検討しましょう。

面接で日本語検定をどうアピールすればいいですか?

資格はあくまでも、大学入試における「出願条件」や「加算対象」であると理解しましょう。日本語検定の難関の級を持っている受験生は少ないかもしれませんが、他の高校生もスポーツや文化活動を頑張っていたり、別の資格や試験で高い成績を収めたりしています。

大学は選抜試験で「学力の3要素」から受験生を評価します。学力の3要素とは、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持ち、多様な人々と協働しつつ学習する態度」のことです。

日本語検定も持っているだけでも十分アピールポイントになりますが、面接では、志望動機や高校生活での努力などと上手く掛け合わせて、大学で学ぶ意欲や自分自身のことを伝えなければいけません。

他の受験生も面接対策をして受験に臨んでいます。せっかく努力して合格した日本語検定を活かしきるためにも、面接の対策は欠かせません。

まとめ

幅広い領域から出題される日本語検定は、その勉強を通して日本語に関する知識だけでなく、読解力や思考力を養うことができる検定です。高校生にとっては、国語だけでなく、理数系科目も含めた共通テストや二次試験の対策にもなります。一般選抜だけでなく、総合型、学校推薦型選抜にも活用できるのが特長です。大学によっては、出願条件になっていたり、取得した級に応じて選考時の加算対象にしたりしています。

進学を希望する学部で日本語検定が活用されている場合は受検を検討しましょう。特に国語に自信がある人や普段から活字に触れている人にとっては、対策期間を短くできるので、効率よく受験のアピールポイントを手に入れることができます。一方で、国語が苦手な人が挑戦する場合、読解力や思考力を鍛えられるため全科目のレベルアップが期待できます。

総合型選抜や学校推薦型選抜で、日本語検定を持っていることはアピールポイントになることは間違いありません。しかし、「日本語検定を保有している」だけでは不十分です。資格に挑戦した際の動機や学習期間どのように努力したのかなどを、志望理由書や面接に盛り込みましょう。

受験までの時間には限りがあります。努力して取得した日本語検定を合格につなげるためには、検定だけでなく小論文や面接といった実際の入試対策も欠かせません。

トライなら、一人ひとりに合わせた指導で短期間でも効率的に準備を進めることができます。日本語検定で培った力を最大限に発揮できるよう、万全のサポートで伴走しますので、一緒に合格を目指しましょう。

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