2025/10/24

歴史能力検定は大学受験で活かせる?検定の活用術を徹底ガイド!

歴史の知識を測る歴史能力検定は、授業の延長で受ける学生から趣味で挑戦する社会人まで、幅広く人気を集めている資格です。民間の検定でありながら、国家試験で実績を活かすことができる公共性の高さも特徴です。大学受験でも大いに活かすことができるので、高校生の皆さんはぜひ挑戦を検討しましょう。

この記事では、歴史能力検定とはどんな検定試験なのかを解説し、勉強方法についてもご紹介します。歴史能力検定の合格者に優遇措置を設けている大学も紹介しているので、歴史能力検定に興味があったり、合格実績を受験にどう活用すれば良いかわからなかったりしている皆さんは、ぜひ最後までご覧ください。

歴史能力検定とは?大学受験でも活かせる!

歴史能力検定とはどんな検定か、合格するためにどう勉強すれば良いかをご紹介します。

そもそも歴史能力検定とは?

歴史能力検定は1997年に始まった民間の検定で、「歴検」の略称で知られています。小学校卒業程度の5級から、学校の学習範囲を超えて出題される1級まで6段階の級があり、準3級は日本史のみで、3級以上は日本史と世界史に分かれています。合格することで現在の歴史知識のレベルを客観的に測ることができます。

試験は毎年1回11月に実施され、2024年度までに延べ58万人が受験しました。半数程度は10歳代で学生・生徒の受験が多いことがわかります。歴史研究は日々進んでおり、新しい史料の発見、解釈の見直しなどによって歴史は変わります。学び直しの観点からも注目を集め、幅広い世代が受験しています。

歴史能力検定は、学習の成果を確認したい学生やリスキリング目的の社会人が受験するだけでなく、実用的な理由での受験者もいます。日本史1級、または2級に合格していると、国家試験である「全国通訳案内士」試験において、「日本歴史」の試験が免除されます。

検定合格者に入試で優遇措置を設けている大学もあります。大学入試における活用方法は後ほどご紹介しますが、歴史が得意な人、実績を活かせる分野で将来活躍したい高校生はぜひ受験を検討してほしいです。

歴史能力検定の受験方法と各級の難易度

歴史能力検定には受験資格がなく、誰でも受けられます。受験方法は2種類あり、全国30箇所に設けられた公開会場から自分で会場を選んで申し込む個人受験か、学校や塾などで一括して申し込む団体受験があります。

個人受験の場合、試験を受けられるのは年に1回、11月の特定の1日だけですが、試験時間が重ならなければ2科目まで複数科目を受験できます。

団体受験を選ぶと、在籍する学校や塾で受けることもできるようになります。試験日程は学校や塾が決めます。1級は個人受験と同じ公開会場でしか受けられないことに注意が必要です。

試験時間は5級から1級までいずれも50分で、各級の合格基準は正解率60%を目安に試験ごとに変動します。ここでは、高校生以上を対象にした3級以上について、内容や合格率などをご紹介します。

​​級 出題内容 形式 ​​出題数 合格率(※)
1級 学校での学習にとらわれない広い範囲から出題される 4肢択一
記述・論述
30 日本史42.7%
世界史70.4%
2級 ​​高校で学ぶ程度の内容だが、比較的高度な歴史知識が要求される
(「日本史探究・世界史探究」対応)
4肢択一
記述
50 日本史47.8%
世界史22.7%
3級 ​​高校で学ぶ基礎的な歴史知識が問われる
(「日本史探究・世界史探究」「歴史総合」対応)
4肢択一 50 日本史59.4%
世界史33.0%

※合格率は43回試験(2024年実施)を参照

参照元:個人受験のご案内 -歴史能力検定-

歴史能力検定の勉強方法

1.歴史全体の流れを理解する

かつて歴史は「暗記科目」とされ、試験で高得点を取るには人物名、出来事などの語句の意味を正しく覚えることが最重要だと考える人が多数を占めていました。もちろん語句を正確に覚えることも重要ですが、それ以上に大切なのは「歴史の流れ」「原因と結果」を意識することです。

歴史を苦手としている人、初めて歴史能力検定に取り組む人は、まず歴史の流れを理解することから始めましょう。

2級、3級の出題内容は高校の教科書に対応しています。教科書を何回も繰り返して理解し、その時代に何が、なぜ起こって、それによってどんな影響が生じたのかを考えることが大切です。このように歴史の「流れ」や「原因と結果」を意識した学習法は、歴史能力検定の対策になるだけでなく、知識の暗記にとどまらず理解力を問う共通テストや、共通テストを参考に作られる大学の個別試験でも高得点につながりやすい学習方法です。

そのため、知識を単発で覚えるのではなく、出来事同士のつながりを意識することが重要になります。一つひとつの出来事や人物という「点」をつなげて網を作るイメージです。自分の言葉で物語のように説明できるようになることを意識しましょう。

2.インプットとアウトプットを繰り返す

歴史全体の流れを理解し、各時代の重要な人物名や出来事、その関係性をインプットしたら、それらをより強く定着させましょう。そのためには、教科書を読むばかりではなく、問題集を解いて知識の定着状況を確かめることが必要です。

公式の過去問も販売されていますが、市販の問題集や学校で使用する教材でも対策できます。同じ問題集を何度解いても間違える場所があったり、うろ覚えだったりと不得意な分野が浮かび上がってきます。改めて教科書を読み直し、問題集を解いて重点的に対策しましょう。

歴史能力検定は年に1回しか受けられず、直前期や当日に教科書を全て読むのは現実的ではありません。何度も間違える語句があれば、その語句と解説だけをまとめたノートを作成するのも効果的です。

3.基礎事項を確実にする

歴史能力検定の合格基準は試験ごとに変動しますが60%を目安に設定されています。裏を返せば、3割程度の間違いがあっても合格できるということです。

歴史能力検定に限らず、あらゆる資格、検定試験の本番では、基本から応用まで難易度の異なる問題が出題されます。6割程度が基準であれば基本+αで合格できる可能性が高いと言えます。

過去問や問題集で対策する際は、出題頻度が少ない高度な問題にまで手を出すよりも、基本を確実に押さえましょう。基本の取りこぼしが多いと合格が難しくなります。

歴史が得意な人は、満点を取りたくなったり、興味が膨らんだりして応用的な問題まで取り組みたくなると思いますが、まず歴史能力検定に合格するためには、基本を着実なものにすることを優先しましょう。

大学受験での歴史能力検定の活かし方

どうすれば歴史能力検定の合格を大学受験で活かせるか、実際にどんな大学が入試で優遇措置を設けているかをご説明します。

大学受験対策と並行して取り組める

歴史能力検定の出題内容は教科書の内容に対応していることもあり、市販教材は少ないです。学校でも使用される日本史・世界史の用語集は受験対策に使えるでしょう。また、検定を実施する歴史能力検定協会からは過去問が出版されています。

歴史能力検定は、2級は「日本史探究・世界史探究」、3級はそれらに加えて「歴史総合」に対応しています。高校で選択している科目の検定を受けたい人は、教科書をしっかり読み込み、学校で使用する教材を活用することで2級までは十分に対応できます。

大学受験に向けて現在の実力を測るという検定の活用方法もありますし、低学年から検定に向けて取り組む中でついた実力が大学入試にも活かされます。

総合型、学校推薦型選抜で評価される

歴史能力検定は民間の検定でありながら、最新の教科書に対応し、試験結果を国家試験に活かせるなど公共性も高いと言えます。大学受験の総合型、学校推薦型選抜でも歴史能力検定合格は高い評価を受けます。

大学入試において、大学は「学力の3要素」という3つの観点から学生のことを評価して合否を判断します。学力の3要素とは、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「主体性」を持ち、多様な人々と協働しつつ学習する態度」のことです。

受験生の選考過程で、自ら目的を持って資格試験に取り組み、なおかつ高い結果を得ている場合、入学後の学習意欲などを測る客観的な指標としても好意的な評価を受けられます。特に歴史能力検定の場合は、文系、理系を問わず、学問研究するための教養があると判断されるでしょう。

歴史能力検定を入試で評価する大学

難関とされる私立大学の一部でも歴史能力検定の合格者に対し、入試での優遇措置を設けています。具体的には、総合型選抜、学校推薦型選抜の出願要件にしていたり、選考の際に加点されたりします。大学受験対策という点では2級以上の取得が望ましいですが、3級でも面接や志望理由書などでアピールできる十分な材料になります。

大学
(学部学科)
国公私立 活用内容 ​​入試種別 ​​​​対象科目、級
立教大学
(文学部史学科)
私立 出願要件(※) 自由選抜入試 日本史1級、または世界史1級
​​名城大学
(経済学部)
​​私立 出願要件(※)、加点対象 総合型選抜(資格・検定活用型) 日本史または世界史3級以上
龍谷大学
(文学部仏教学科、歴史学科仏教史学専攻)
​​私立 出願要件 総合型選抜入試(検定試験利用型) 2級以上
(科目指定なし)
​​近畿大学
(文芸学部文化・歴史学科)
​​私立 出願要件 総合型選抜 2級以上が望ましい
(科目指定なし)
関西学院大学
(教育学部)
​​私立 出願要件(※) 学部特色入試 指定なし
(「高度な資格」を要求)

(※)歴史能力検定の合格以外に評定基準なども要件にしています。

募集要項に記載が無くても、志望理由書などで高校時代に取得した資格や検定を書く欄があれば合格実績を記入しましょう。

歴史知識はすべての学問分野に共通して求められる土台でもあります。ある大学の募集要項では、高校で歴史を学び、「社会の基本的な仕組み」「世界の動向」を理解し、情報収集能力や思考力、表現力を養うことが必要だと説明しています。歴史能力検定に合格したという実績は、これらの能力を客観的に表せる資料として有効です。

大学受験に向けて歴史能力検定を勉強するのがおすすめな人

大学受験でもメリットがある歴史能力検定を勉強するのがおすすめな人について解説します。

志望校に歴史能力検定の優遇措置がある

志望校の総合型、学校推薦型選抜に歴史能力検定の優遇措置がある場合、ぜひ挑戦を検討してください。

立教大学は1級合格を出願要件に設定しています。1級は出題のレベルが高く論述問題もあり、歴史が好きな人でも受験対策にかなりの時間を要します。立教大学が志望校で、合格の可能性があれば積極的に挑戦しましょう。

ただし、立教大学に限らずどの大学でも、歴史能力検定1級や2級に合格しているだけでは大学入試を突破できません。小論文や面接の対策も必須です。

歴史を学べる学部への進学を希望している

大学で歴史学を研究したい人にとって、歴史全体を学べる検定の知識は必ず役に立ちます。横軸と縦軸で考えると、高校までの授業が横軸、つまり古代から現代に至るまでを一通りまんべんなく学ぶのに対し、大学では一つの出来事や人物について深掘りする縦軸が主になります。

歴史の一連の流れの中で、研究対象の重要度を判断するので、高校までの基礎がしっかりできていないと評価を誤ります。歴史を大学でも学びたいという熱意がある人は、ぜひ受験を検討してください。

日本史探究・世界史探究を得意としている

大学の歴史学以外の専門分野に関心があっても、歴史教科を得意としている人は、受験をする価値があります。受験機会が11月のみと限られるため、3年生の場合は他資格の受験や小論文・面接対策と重複している場合そちらを優先してほしいですが、高校生活の早いうちから興味と意欲をもって挑戦することが望まれます。

歴史能力検定は、歴史に関する知識があることを証明できる資料となるにとどまらず、受験生自身の学問に対する姿勢や社会に関する関心、学問研究に求められる能力があることを証明できます。志望分野が理系でも、総合型選抜、学校推薦型選抜でアピールできる材料になるでしょう。

大学受験で活かせる歴史能力検定に関するよくある質問

大学受験を優位に進められる歴史能力検定についてよくある質問をまとめました。

歴史能力検定は大学受験でどう活かせますか?

主に総合型、学校推薦型選抜で、出願資格になっていたり、加点対象になっていたりします。難関とされる私立大学でも優遇措置を設けている大学があるので、ぜひ志望校の募集要項をチェックしてみてください。

歴史に関する知識や、歴史を学ぶことで豊かになる物事の見方や能力は、文系理系を問わずあらゆる学問分野に共通して求められています。募集要項に優遇措置の記載が無くても、資格や検定を記入できる項目が志望理由書にあれば積極的に合格の実績を記入してください。

歴史能力検定は大学入学後にも役立ちますか?

大学進学後、どの分野の学問を研究することを選んでも、歴史についての知識そのものや歴史を学ぶことで得た視野の広さ、思考力などは大いに役立ちます。特に大学ではレポート作成や研究において、複数の資料を読み比べ、因果関係を整理し、自分の考えを論理的にまとめる力が求められます。歴史能力検定の学習で培った知識や姿勢は、こうした大学での学習準備にも直結します。

将来、通訳として活躍したい人にもおすすめの検定です。日本史の2級以上に合格していると、国家試験である全国通訳案内士試験のうち「日本歴史」が免除されます。将来、この分野での活躍を目指している人は受験を検討しましょう。

面接で歴史能力検定をどうアピールしたらいいですか?

入試の際、大学は「学力の3要素」から受験生を評価します。特に、総合型選抜、学校推薦型選抜では、面接や小論文、各大学の特色ある試験で、さまざまな面から受験生のことを評価します。

歴史能力検定に合格していれば、特に面接や志望理由書でアピールできます。高校生活で頑張ったことという切り口だけでなく、世界情勢や社会課題に対する関心の高さ、学問に対する積極的な姿勢という点でもアピールできるでしょう。

まとめ

歴史能力検定の特に2級以上に合格すると、大学の総合型選抜や学校推薦型選抜で優遇措置を受け、受験を有利に進めることができます。難関とされる私立大学でも総合型選抜の出願要件にしている大学もあるので、志望校の募集要項を確認してみましょう。出願要件や点数加算対象として明記されていなくても、志望理由書などに資格を記入できる欄があれば積極的に記入することをおすすめします。

歴史能力検定に合格していることは、歴史知識のレベルを客観的に示せるだけではありません。歴史を学ぶことを通して、現代の社会の成り立ちを理解し、複数の資料を精査して効率的に情報を集め、課題解決方法を考察するスキルの向上が期待できます。これらは、どんな学問分野を研究する上でも求められる「教養」につながります。

歴史能力検定に合格していることはあらゆる学部の受験で活かせるため、面接において、社会に関する関心や、志望分野への意欲の高さと上手く絡めてアピールする必要があります。せっかくの努力や実績を大学入試に活かすためには、歴史能力検定の対策と同じぐらい面接や小論文の対策が重要です。

トライでは、大学ごとの入試の特徴に合わせた小論文や面接対策を行っています。歴史能力検定の実績を大学受験で活かしたい方は、お気軽にご相談ください。

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