2025/11/17

【中学受験】公立中高一貫校の適性検査とは?概要や高得点を取るために必要な勉強法を解説

「公立中高一貫校の中学校に行きたい」という方にとって避けて通れないのが「適性検査」です。これは、公立の中高一貫校が入学者を選抜するために実施する試験で、単なる学力テストとは異なり、思考力・判断力・表現力といった、知識の活用力や考える力が求められます。そのため私立中学の受験勉強とは異なり、どのように対策すれば良いか迷われている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、適性検査がどのような試験なのか、勉強法や対策について詳しくご紹介します。

中学受験の適性検査とは

まずは中学受験の適性検査について、その概要をご紹介します。

適性検査とはどのようなものか

国語や算数、理科・社会など一般的な学力試験とは異なり、生徒の「読解力」をベースに、「論理的思考力」「表現力」「問題解決力」などを総合的に判断することを目的にした検査です。例えば表から読み取れることをまとめたり、与えられたテーマで作文を書いたり、各科目の知識というよりも思考力や判断力、表現力が問われる「教科複合型入試」です。

近年の大学入試改革に伴い、思考力を育てる学びが重視されるようになったため、いま中学受験における適性検査が注目されています。

適性検査の形式

適性検査には種類があり、大きく以下の3つに分けられます。いずれも私立中学の受験と比較して、記述式の問題が多い傾向にあります。学校ごとに名称が異なる場合があります。

適性検査I

主に国語的な要素を含む、文章や資料読解の問題が中心です。論理的思考力や表現力が重視されます。

適性検査Ⅱ

算数や理科的な数理的思考中心の問題で、数値の処理や論理的な計算力が問われます。

適性検査Ⅲ

総合型問題となっており、学校ごとに文章や資料、データを組み合わせた複合的な問題が出題されます。

適性検査の難易度と合格ライン

小学校で学習する内容以上のものは出題されませんが、出題方法が独特なため、小学校の学習内容を暗記していれば合格できるというものではありません。そのため、勉強方法も私立中学入試とは異なります。

公立中高一貫校の合否は、「適性検査の得点」と、出願時に提出する「報告書の得点」を合わせた総合成績で決まります。報告書や調査書は、学校で作成が義務づけられている指導要録を元に作られる資料で、通知表と同じように3段階の評定が記載されています。報告書のたった1点で合格を逃すお子さまもいるので、保護者様は普段から学校での様子や取り組みにも注目しておきましょう。

中学受験の適性検査でチェックされる項目

適性検査ではさまざまな能力が求められます。ここからはどのような力がチェックされるのか、主要となる項目をご紹介します。

合否を分ける「読解力」

適性検査では、読解力が合否を分けると言っても過言ではありません。国語の問題だけでなく、算数や理科、社会系統の問題でも同様です。提示された情報から問題を解くのに必要な項目を見つけられるか、問題文の指示をしっかりと理解できるかといった点が確認されます。

さまざまな視点で考える「論理的思考力」

物事をひとつの側面だけでなく、両側面から捉える視点が求められます。メリットとデメリットの両方を捉えて具体的に物事をイメージする必要があり、抽象的な捉え方との視点の切り替えもポイントです。

作文や面接で必要な「表現力」「創造力」

表現力は自分の考えや感情を伝える能力です。テーマに対して自分の考えを道筋立てて整理し、豊富な言葉で具体的な表現をしなくてはなりません。問題によっては、そのテーマを選んだ理由を説明することも求められるため、日ごろから身の回りの社会問題に対して自分なりの意見を持っておくことが大切です。

日常生活や将来の職業にも役立つ「問題解決力」

与えられた課題や障害を的確に認識し、効果的な解決策を見つける力です。表やグラフ、図解を分析して解決策を導くような問題が出された際、問いに対して論理的に答え、的確な結論を出す力が必要とされます。資料がどのような形式で提示されているのかを理解し、場合によっては、表と文章の複合的なグラフを読み取るなどして解答していきます。

適性検査で出される問題の特徴

ここでは上記に挙げたそれぞれの力を測るため、どのような問題が出されるのかをご紹介します。

思考力や表現力を問う記述式の問題

議論している文章の中にどのような問題があり、何を主題として議論しているのか、解決策は何かを問われる問題が出されます。解く際にはまず「何を問われているのか」を正確に把握するようにしましょう。複数の資料が提示されている場合は、関連性を見抜いて答えを導き出します。

因果関係を問う問題やパズルのような問題は、決して知識だけでは解けず、論理を駆使して解答を導かなくてはなりません。文章題では条件を正確に把握し、手順を踏んで解答を導きます。時間をかけてでも対策をとってコツをつかんでおくことで、高得点を狙えるようになります。

求められる知識は小学校で学習する範囲内

国立や私立中学の入試とは異なり、一問一答形式で知識の多さを問うような問題や、植木算や旅人算など特別な解法が必要な特殊算などの問題は、ほぼ出題されません。難易度の高い問題は出題されませんが、見慣れない形式で、「ただ知っている」だけでは答えを導き出せない問題が多いため注意が必要です。

制限時間に対して問題量や記述量が多い

適性検査では複数の問題が出題されます。そのため、一問ずつじっくり解いていたら時間切れになってしまうことがあります。日ごろからタイマーを使いながら、本番を想定した形式で対策しておくと良いでしょう。時間配分ができるかどうかも、適性検査の確認対象です。時間制限内できちんと問題を解き終えられるようにしておきましょう。

【中学受験】適性検査で合格するための勉強法

ここでは適性検査で合格点を出すために必要な勉強法についてご紹介します。

読書習慣をつける

適性検査の肝となる読解力を高めるには、日常的に読書習慣をつけることが大切です。豊富な文章に触れることで言葉に対する感受性が養われ、また、文章の構造やニュアンスを深く理解できるようになります。記事やニュースなど、様々なジャンルの文章を読むことでも、異なる文脈や背景に対する理解度を高めることができるでしょう。

文章はただ読むだけでなく、読みながら要約する練習をしたり、登場人物の行動や感情について考察したりすることで、文章の構成や意図を深く理解できるようになります。学校の教科書や過去問、ドリルなどを活用して、問題文の解釈に重点を置いた練習を行うことも効果的です。

基礎学力を徹底的につける

適性検査の対策において、基礎学力の強化は基本中の基本です。基礎学力がしっかり身についていれば、応用力や難しい問題を解くための発想力も自然とついていきます。

算数では「計算ドリル」などを使って、計算力を高めましょう。

国語は漢字の読み書きや語彙力が不足していると、読解問題や作文で正確な理解や表現が難しくなります。「漢字ドリル」や「語彙ノート」などのテキストを使えば、短時間でも効率的に力をつけられるのでおすすめです。

過去問を積極的に活用する

過去問を解くことで実際の出題傾向や問題形式に慣れて、本番でも落ち着いて取り組むことができるようになります。どの範囲がよく出題されるかを把握して対策を立てたり、時間配分の練習になったりもします。特に論理的思考は、過去問や模試に繰り返し取り組むことで、論理的に考えるためのヒントをどんどん蓄積できます。志望校の過去問だけでなく、偏差値や出題傾向の近い他の地域の学校の過去問を解くのも、受験本番に向けた演習として役立つでしょう。

評価されやすい解答を意識する

適性模試の記述や作文問題では、長くだらだらと文章をまとめることはやめましょう。長文でわかりにくいものよりも、要点を簡潔にまとめた文章が評価されます。採点者にとって読みやすく、評価しやすい回答を考える必要があります。例えば「あなたの意見を述べなさい」という問いの場合、主張を1文+理由を2~3文で補足すると良いでしょう。主張→理由→具体例の順に書くとわかりやすくなります。わかりにくい表現や不要な情報もマイナスにとられかねないので、核心に触れる内容だけを簡潔にまとめるトレーニングをしましょう。

適性検査模試を受ける

適性検査の模試を受けて、いまの実力を把握しておくことはとても大切です。模試を定期的に受けることで時間配分や問題解決の速さ、正確さを身につけることができます。どの問題にどれだけの時間を割くべきかを練習することで、時間切れになる失敗を防ぎましょう。また、戻ってきた答案用紙を活用して弱点を明確にし、次の目標設定に役立てることが必須です。

適性検査対策に日常生活でできること

表現力と創造力を高めるために、日ごろから自分の意見をまとめる練習をしておきましょう。世の中のさまざまな時事問題からちょっとした小学校での出来事まで、自分だったらどう解決するかを考える癖をつけておくのがおすすめです。

また、日ごろからさまざまな形式の資料に触れて、読み取り練習を重ねるのも効果的です。いくつかの異なる形式の資料やデータを組み合わせてひとつの結論を導く練習を繰り返すことで、資料を読み取るスキルを向上できます。

まとめ

公立中高一貫校の適性検査は、国立・私立中学を目指す入試の勉強方法とは大きく異なるため、早いうちに基礎学力をつけて、適性検査の問題に慣れておくことが何より大切です。しかしご自宅での勉強において、「何に取り組めば良いかわからない」「まずやるべきことは何か」「どのように勉強すれば良いのか」など、迷っている方も多いのではないでしょうか。

トライではお子さま一人ひとりの学力や得意・不得意を把握し、適性検査で合格点に近づくための学習をマンツーマンで行います。お気軽にご相談ください。

カテゴリーから選ぶ

個別教室のトライ・家庭教師のトライ・トライのオンライン
資料ダウンロード
電話番号0120-555-202(9:00〜23:00 / 土日・祝日も受付中)