「指定校推薦って不合格になることがあるの?」「校内選考を通ったら安心じゃないの?」受験を前にして、不安になっている方もいると思います。
指定校推薦は大学と高校(指定校)の強い信頼関係で成り立っているため、ほとんどの場合において合格できますが、不合格になる人も少数ながら実在します。
この記事では、どういう人が不合格になるのか、合格するために必要な対策は何か、そして万が一、不合格になったらどうすれば良いのかについて解説します。
指定校推薦に落ちる人はいるの?
大学の求めるレベルに達していないと判断されたら残念ながら不合格になります。まずは指定校推薦がどんな仕組みかを理解しましょう。
毎年、特定の高校に「枠」を大学が提示し、高校は学業成績が良かったり、部活動や生徒会活動で活躍したりと人物面も含めて評価が高い生徒を大学に推薦します。
推薦を受けて合格した生徒も大学で期待に応える活躍をすると、次の年も大学から高校に「枠」が提供されて後輩が受験できる仕組みです。
大学も面接や小論文などの選抜試験を実施しますが、優秀な生徒が受けているという前提で極力、合格させることになっています。
このため、「校内選考に通過したら必ず合格する」と誤解されがちですが、これからご紹介するような事例に該当すると不合格になる可能性があるので注意しましょう。
指定校推薦で落ちるパターン
指定校推薦で落ちる人を大きく5つのパターンにまとめました。校内選考を通過しても気を緩めないようにしましょう。
事前課題を提出しなかった
指定校推薦に出願すると大学からレポートなど事前課題が出される場合がありますが、提出をしないと受験する以前の問題だと判断されて合格するのが難しくなるでしょう。
課題の存在を忘れたり、日付を間違えたりするうっかりミスか、意図的に提出しないケースが考えられます。校内選考を通過した人で意図的に提出しない人はいないと思いますので、注意が必要なのは提出を意図せず忘れてしまうことです。
試験当日に連絡なく遅刻、欠席をした
こちらも、事前課題の提出忘れと同じように、そもそも受験を受ける以前の問題だと判断される可能性があります。
想定されるのは悪天候や交通事故に起因する公共交通機関の運休や渋滞による遅刻です。利用する公共交通機関に遅れが出そうな場合には必ず大学の入試課などに連絡をしましょう。
何時間までの遅刻なら救済されるか、そもそも救済措置があるのかは大学によって異なりますが、遅れそうな場合は必ず事前に連絡し、バスや電車の運行会社が発行する遅延証明書をもらってください。
ただし、たとえ事前に連絡をしても、どの程度の遅刻まで受験を認めるかは大学ごとに異なります。多くの大学では、公平性の観点から正規の試験時間で受験した受験生が帰宅を始めた時点以降は、理由にかかわらず受験を認めないケースが一般的です。
特に地方の大学など、交通機関の選択肢が限られる場合は、迂回路がないことも多いため、出身高校の代表として受験する自覚を持ち、どんな理由であっても遅刻や欠席は避けるという意識が必要です。
最悪の場合でも徒歩で会場に到達できる距離に前泊しておくなど、リスクを最小限に抑える準備をしておきましょう。
保護者の方に送迎してもらう場合、公共交通機関の遅延証明書のように遅刻理由を公的に証明できるものがないため、自家用車で受験会場に行くのはおすすめできません。また、タクシーを利用する場合も同様で、万一遅刻しても証明書が発行されないため、できるだけ公共交通機関を利用するのが安全です。
当日の面接や小論文の点数が悪かった
校内選考に通過したと安心して受験対策を疎かにしてしまったか、あるいは、当日体調が悪かったり緊張しすぎたりして本来の実力が発揮できなかったパターンです。
合格率が高いとはいえ、募集要項や過去問の確認など情報収集が不十分でその大学に合わせた対策ができなければ、大学が求める水準を下回って不合格になるケースがあります。
対策を全くしない人はいないと思いますが、その大学に的を絞った対策を繰り返さないと十分な効果は発揮できません。
高校生活に問題があった
校内選考を通過するような人物面の評価が優れている人で該当するケースはほとんどないかもしれませんが、校内選考後も日々の生活には細心の注意を払う必要があります。受験生自身に問題が無くてもトラブルに巻き込まれる可能性がありますので、治安が悪いとうわさされている繁華街やアミューズメント施設があれば近づかないようにするとともに、高校から免許取得が許されていても原付バイクの利用は控えるなど、自身の身を守る行動をしましょう。
医学部など人気の高い学部に出願した
指定校推薦を実施する大学の多くの学部で定員と出願者の数を同じにし、受験者全員に合格枠が用意されているのに対して医学部は事情が異なります。
医学部では定員の2〜3倍程度の出願枠が設定されているため、医学部の指定校推薦を受験するというだけで他の学部に比べて不合格になる可能性が高いです。
また、医学部に限らず人気の高い学部・学科では、指定校推薦の総募集人員に対して指定校数や各校の推薦枠数が相対的に多く設定されている場合があり、その結果として不合格者が出ることもあります。
こうした指定校数や推薦枠数は大学が公表していないことも多いため、自分の高校の進路指導の先生に早めに相談し、例年どの程度の合格実績があるかを確認しておくのが安心です。
近年では、コロナ禍をきっかけに一般選抜を避けて早期合格を目指す受験生が増えた結果、大学側が想定以上に応募者を集めて合格者数を絞らざるを得なかったケースも報告されています。社会情勢の影響も踏まえつつ、年度による変動にも注意しましょう。
特に、例年の合格者数が少ない場合は、評定平均を上げる努力に加えて、大学独自の試験(面接・小論文など)に向けた十分な対策も行うことで、合格の可能性を高められます。
指定校推薦に落ちないためのポイント
不合格になってしまうパターンごとに対策を紹介します。周囲の協力も得て準備をしてください。
スケジュールを1人だけで管理しない
願書の提出期間、事前課題の提出締切など一つひとつのルールを守れないと、大学から入学させても大丈夫だろうか?と疑問を持たれてしまいます。
スケジュールの管理が苦手な人は先生や保護者の方に相談して、壁掛けのカレンダーやアプリなどを活用して複数人で共有しましょう。あなたの将来に大きな影響を与えるだけでなく、後輩の進路にも影響するので周囲の人は快く協力してくれるはずです。
期限内に提出することは最低限守るべきルールで、早めに課題に取り組みレベルが高いものを期限に余裕をもって完成させることが大切なのは言うまでもありません。
余裕をもって試験会場に着けるようにする
試験日に利用する予定のバスが通勤ラッシュと重なって遅れる可能性は無いか、バス停や駅から徒歩で何分ぐらいかかるかを前日までに実際に自分の足で確認しましょう。予測できない交通事故や急な天候悪化の可能性も頭に入れる必要があります。
遠方から受験する人はホテルに宿泊することになると思いますが、なるべく会場から近い施設に泊まって当日は徒歩で行くようにしましょう。
大学の特徴に合わせた小論文や面接の対策をする
指定校推薦に関しては過去問など公開されている情報が少ないので、学校の先生や過去に受験した先輩から情報を集めましょう。
情報収集をする際のポイントは、共通点を探すことです。面接で聞かれることや、小論文の出題内容が変わっても、面接官の人数、小論文の文字数や大きなテーマなどは毎年同じであることなど対策するために必要なポイントを見つけましょう。
その上で、その大学に的を絞った模擬面接や小論文対策を、普段どおりの実力が本番で発揮できると自信が持てるまで繰り返してください。
情報が少ないため集めるのにも時間がかかってしまいますが、積極的に取り組みましょう。高校の先生や塾に丸投げするという姿勢では、ごく一般的な対策しかできずに効果が限定的になってしまいます。
効果的な対策を繰り返して自信をつけても、本番で過度に緊張してしまうと実力を発揮するのは難しいです。特に面接は多くの受験生が最も緊張しやすい場面であり、これまでに面接を経験したことがない人ほど、その傾向が強くなります。中学・高校受験や各種検定試験などで面接の経験がまったくない場合は、緊張しやすい人に限らず、早めに模擬面接を繰り返して慣れておくことが大切です。
合格した後も、入学までに出る課題を受験と同じぐらいの高い意識で取り組んでください。熱意が伝わらない場合、入学後に奨学金の受給やクラス配属で希望が通らない恐れがあります。
他人のレポートや生成AIによる作成物の丸写しなど悪質性が高いと判断された場合は合格が取り消されることも考えられます。翌年以降の指定校推薦枠の廃止や縮小など後輩にも迷惑をかける可能性もありますので、入学まで緊張感を持ちましょう。
指定校推薦に落ちた後の対策
残念ながら指定校推薦に不合格になっても大学に入学できなくなったわけではありません。気持ちを切り替えて次の道を考えましょう。
ただし、医学部を除く多くの学部では倍率がほぼ1倍前後と低いため、そのような指定校推薦で不合格になった場合、大学側に何らかの懸念を持たれている可能性もあります。そのため、どうしてもその大学でなければ履修できない専門カリキュラムがあるといった特別な事情がない限りは、他大学や他学部の受験も検討しましょう。
一般入試に切り替える
指定校推薦の合格発表は12月上旬に行われることが多いため、不合格になってしまった場合に取れる対応策の一つに、一般入試があります。
指定校推薦の合格発表後に一般入試対策をするのであれば限られた時間の中で取り組まなければならないので、志望大学合格に必要な学力と現在の学力とのギャップを考えて一般入試を受験するか決めましょう。
公募推薦や総合型選抜に挑戦する
合格発表後の12月以降でも公募推薦や総合型選抜に出願できる大学がありますので、ぜひ選択肢に入れてください。
指定校推薦での合格を目指していた人は小論文や面接を得意としている反面、共通テストや2次試験には自信が無い人も多いと思います。一般入試よりも総合型選抜の方が合格に近づけるでしょう。
指定校推薦の試験当日に体調が悪かったり、過度に緊張したりしてこれまでの努力の成果を十分に発揮できず、悔いが残っている人には挽回するチャンスです。指定校推薦対策を重ねてつけた実力は他大学の選考にも活用できるので、諦めずに受験情報を確認しましょう。
指定校推薦に落ちるのが不安な人からのよくある質問
指定校推薦を受験する人からよくある質問をまとめました。
Q:指定校推薦に落ちるのはどんな人ですか?
指定校推薦で不合格になるのは、実力が合格水準に達しなかったか、人物面に問題があると判断されるか、二つのパターンがあります。一つ目のパターンは、事前に提出した課題や面接、小論文の内容が大学の求める水準よりあまりにも低いと不合格になります。
二つ目は、事前課題を提出しなかったり、試験当日に連絡なく遅刻したりと入試を受ける以前の問題だと判断されると、小論文などの内容が良くても落とされてしまいます。
合格後も大学から出される課題に誠実に取り組んで期限内に提出する、私生活でトラブルに巻き込まれないようにするなど、合格を取り消されないようにしましょう。
Q:小論文や面接の対策はどうしたらいいですか?
効果的な試験対策をするには過去問などの情報収集が必須ですが、指定校推薦は総合型選抜などとは異なり過去問など情報が手に入りにくいのが特徴です。
高校の先生や先輩から少しでも多くの情報を入手しましょう。出題内容は毎年変わっても文字数や出題の論点は同じであることも多いので共通点を押さえることが大切です。
面接の形式や小論文の文字数、さらにテーマによって対策の内容も変わるので、ごく一般的な対策をしていると時間をかけても効果は限定的になります。試験の特徴を押さえて、ピンポイントの対策をするように意識しましょう。
Q:指定校推薦に落ちたらどうしたらいいですか?
指定校推薦に不合格になっても、一般入試、公募推薦、総合型選抜と、まだまだ受験するチャンスはあります。一般入試を受ける場合は、入試スケジュールに加え、志望大学合格に必要な学力水準と現在の学力とのギャップも冷静に判断しましょう。
試験当日に何らかの理由で実力が発揮できなかった人は、総合型選抜もぜひ検討してください。指定校推薦対策でつけた面接や小論文の実力を活かすこともでき、私立大を中心に共通テストを課されないケースも多いので、共通テストを受けるよりも対策にかける時間を減らすことができます。合格発表の12月以降でも出願できる大学があるので、高校の先生にもよく相談して決めましょう。
まとめ
大学と高校との強い信頼関係で成り立つ指定校推薦ですが、校内選考を通過したからといって絶対に合格するとは言い切れません。
事前課題の未提出や当日の大幅な遅刻など、受験以前の問題だと判断されると不合格になるので、周囲の協力も得てスケジュール管理をしたり、試験前日までに下見をしたりして万全の状態で受験に臨みましょう。
公開されている情報が少ないのも指定校推薦の特徴です。高校の先生や過去に受験した先輩から情報を収集して、その大学に合わせた対策を繰り返して行い、当日は平常心で自分の力を発揮できるようにしてください。
残念ながら不合格になってしまった場合でも、まだ一般選抜や総合型選抜で大学入試を受けることができます。
特に総合型選抜は指定校推薦対策で培った面接や小論文の実力を活かすことができます。「どんな指定校推薦対策をしたらいいかわからない」「不合格になっても受けられる総合型選抜ってあるの?」と不安を感じている人はトライにご相談ください。
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