2025/12/16

大学入学共通テストの文系科目とは?国公立・私立別に必要科目を徹底解説

大学受験の第一関門である大学入学共通テスト。「国公立と私立では必要な科目がどう違うの?」「地歴・公民や理科は、どの科目を選べば有利なの?」など、大学入学共通テスト利用や科目選択の戦略がわからず、不安を感じている方も多いでしょう。

この記事では、大学入学共通テストの文系科目の仕組みから、国公立・私立別の必要科目、そして後悔しないための科目選びのポイントまで、徹底的に解説します。

自分が何をすべきかを明確にし、自信を持って受験対策をスタートするために参考にしてください。

大学入学共通テストとは?

大学入学共通テストは、毎年約50万人が受験する、日本で最も規模の大きい大学入試の統一試験です。

なお、2026年度の大学入学共通テストでは、出願方法が従来の郵送方式からWeb出願に移行しました。これにより、受験票の取得などもWeb上のマイページで行うようになります。

まずは、この大学入学共通テストの基本的な仕組みと特徴から理解していきましょう。

大学入学共通テストは全問マークシート方式

大学入学共通テストの解答方法は、従来のセンター試験と同様に全問マークシート方式ですが、異なる点は主に2つあります。

まず、単なる知識や解法の暗記のみで解答できる問題は少なく、グラフ・地図・文章といった、読み取る資料の分量が格段に多い点です。次に、従来は知識を直接問う形式が中心でしたが、大学入学共通テストでは日常的な場面や対話文形式など、学習のプロセスや実生活での応用を意識した出題が科目を問わず見られます。

その他、理科では数学と同様に、解答の桁数のみが与えられ、1桁ずつマークする問題なども導入されています。そのため、旧来のセンター試験対策のような「暗記一辺倒」の学習では対応が難しく、表面的な知識だけでなく物事の本質を理解し、応用する力が試される試験です。

日程・出題教科・科目一覧

大学入学共通テストは、例年1月中旬の土曜日と日曜日の2日間にわたって実施されます。受験生は、出題される7教科21科目の中から、自身の志望大学が指定する教科・科目を選択して受験します。

文系・理系問わず、多くの国公立大学は原則5教科7科目以上(国立は原則6教科8科目)を課す一方、私立大学の大学入学共通テスト利用入試では3教科型が主流です。ただし、中上位の私立大学では、国公立との併願を意識した「5~6教科型」や「4教科型」など、多教科の選抜方式を導入しているケースもあります。大学・学部・方式によって必要教科数が大きく異なるため、最新の募集要項で必ず確認してください。

各教科の科目、配点、選択方法の詳細は以下の表をご覧ください。

教科 ​​科目 配点 ​​選択方法
国語 『国語』 200点
​​地理歴史公民 『地理総合、地理探究』
『歴史総合、日本史探究』
『歴史総合、世界史探究』
『公共、倫理』
『公共、政治・経済』
『地理総合、歴史総合、公共』(※1)
1科目100点

2科目200点

6科目から最大2科目を選択解答する
(※1)の3分野からは2つを選択解答する
受験科目数は出願時に申請する
​​数学 ①『数学Ⅰ、数学A』 『数学Ⅰ』 100点 2科目から1科目を選択解答する
②『数学Ⅱ、数学B、数学C』 100点
​​理科 『物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎』(※2)
『物理』
『化学』
『生物』
『地学』
1科目100点

2科目200点

5科目から最大2科目を選択解答する
(※2)は4分野から2つを選択解答する
受験科目数は出願時に申請する
​​​​外国語 『英語(リーディング、リスニング)』 各100点
計200点
​​5科目から1科目を選択解答する
​​​​『ドイツ語』
『フランス語』
『中国語』
『韓国語』
200点
情報 『情報Ⅰ』 100点

表のとおり、特に地理歴史・公民と理科は、選択できる科目が非常に多い点が特徴です。地理歴史・公民は合計6科目から最大2科目、理科は合計5科目から最大2科目を選択します。

また、配点の内訳にも注意が必要です。例えば、国語は近代以降の文章(評論・小説・実用文 / 110点)、古文(45点)、漢文(45点)の計200点で構成されています。外国語『英語』の場合、配点はリーディング(100点)とリスニング(100点)の合計200点となります。

対策をする上では多くの選択肢があるため、志望校の募集要項を早期に確認し、自分が受験すべき科目を正確に把握しておきましょう。

2026年度大学入学共通テスト時間割

2026年度の大学入学共通テストは、情報Ⅰを含めた時間割が適用されます。ほぼすべての文系受験生が受ける1日目は、地理歴史・公民が130分(2科目選択の場合)、国語が90分、続いて英語(リーディング)80分と長時間の試験が連続するため、集中力と体力が求められます。

また、試験そのものよりも休み時間が長すぎて集中力が切れてしまうケースも少なくありません。多くの大学入学共通テスト模試は1日で過密スケジュールに設定されていますが、本番では休憩時間がかなり長いため、時間配分の感覚が大きく異なります。

そのため、本番が近づいてきたら、予備校や出版社が提供する「共通テスト予想問題パック」などを使い、実際の時間割通りにシミュレーションしてみることが重要です。

具体的な時間割は以下の表をご覧ください。

日程 ​​教科 科目 ​​試験時間
1日目 地理歴史・公民 『地理総合、地理探究』
『歴史総合、日本史探究』
『歴史総合、世界史探究』
『公共、倫理』
『公共、政治・経済』
『地理総合、歴史総合、公共』(※3)
9:30~11:40
2科目選択:130分
(うち解答時間120分)

10:40~11:40
1科目選択:60分

(※3)は試験時間 60分で2つの出題範囲を選択解答する

国語 『国語』 13:00~14:30
90分
​​外国語 『英語(リーディング)』
『ドイツ語』
『フランス語』
『中国語』
『韓国語』
15:20~16:40
80分
​​『英語(リスニング)』 17:20~18:20
60分
(うち解答時間30分)
​​2日目 理科 『物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎』(※4)
『物理』
『化学』
『生物』
『地学』
9:30~11:40
2科目選択:130分
(うち解答時間120分)

10:40~11:40
1科目選択:60分

(※4)は試験時間 60分で2つの出題範囲を選択解答する

​​​​数学① ​​『数学Ⅰ、数学A』 13:00~14:10
70分
​​​​数学② ​​『数学Ⅱ、数学B、数学C』 15:00~16:10
70分
​​​​情報 ​​『情報Ⅰ』 17:00~18:00
60分

表からわかるとおり、地理歴史・公民や理科で2科目を選択する場合、試験時間が130分となります。また、第1と第2解答科目の間の10分間は、トイレなどで一時退室することができない点にも注意が必要です。

自分の受験パターンを正確に把握し、本番での体調管理や時間配分ミスを防ぎましょう。

【国公立・私立別】大学入学共通テストで必要な文系科目

文系受験生にとって、大学入学共通テストの科目は志望校が国公立か私立かで大きく異なります。それぞれのパターンを正確に理解し、対策の漏れがないようにしましょう。

国公立大学は6教科8科目が基本

国公立大学の文系学部では、原則として6教科8科目が課されます。国立大学だけに絞ると、約8割がこの科目数を課し、幅広い学力を重視しています。

学部系統によりパターンは異なりますが、文系学部の一般的な科目は以下のとおりです。

  • 外国語
  • 数学(2科目)
  • 国語
  • 理科(1科目)
  • 地理歴史・公民(2科目)
  • 情報

多くの大学では、二次試験が3教科程度に絞られるため、大学入学共通テストでしか使わない科目も生じます。なお、2025年度から新設された情報Ⅰは、国立大学では必須、公立大学では必須でない場合もあり、今のところ配点も他の教科より低めに設定される傾向にあります。

ただし、公立大学を中心に3〜4教科で受験可能な募集区分も設定されているため、募集要項の確認は必須です。

私立大学は3教科3科目が基本

私立大学の大学入学共通テスト利用入試は、全私立大学の約9割が導入している一般的な方式で、国語・外国語・地歴公民(または数学)の3教科3科目が基本パターンです。

多くの場合、大学独自の試験を受けずに大学入学共通テストの成績のみで合否が判定されますが、大学によっては、4教科型から6教科型までの方式を導入している場合もあります。ただし、大学独自の一般選抜に比べて合格に必要な得点率は高く、難関大学では80〜90%以上の高得点が求められるケースも珍しくありません。また、大学によっては大学入学共通テストの成績と、個別試験を組み合わせる「併用方式」を採用しているケースも徐々に増えつつあります。

なお、センター試験時代には、受験生がセンター試験を受けていなくても、大学独自の入試(一般選抜)を受けることで志望校を受験できるケースが一般的でした。しかし、大学入学共通テストに移行して以降は、早稲田大学のように独自試験であっても大学入学共通テストの得点を合否判定に組み込む大学が増加しています。

この場合、大学入学共通テストを受験していないと希望する学部・学科を受験できないケースもあるため注意が必要です。この点は、センター試験を経験した保護者世代との間で認識のズレが生じやすい部分でもあります。私大専願であっても、共通テスト受験が不要な大学だけで志望校を絞り込めている場合を除き、出願は必ず行っておくことが望ましいでしょう。

また、3教科型であっても、英語のリスニングや国語の漢文が必須であることが多く、私立大学の個別試験(一般選抜)の対策では使用しない分野がある点も理解しておくべきです。大学によっては4教科型から6教科型までの方式を導入している場合もあり、国公立大学との併願を意識した構成も増えています。

他にも、大学入学共通テストの受験前に出願を締め切る私立大学が多く、この場合は自己採点の結果で判断できないので、出願期間にも注意しましょう。

共通テストの文系科目選びのポイント

大学入学共通テストは科目選択が合否を左右します。ここでは、文系受験生が科目選びで失敗しないための3つの重要なポイントを解説します。

志望学部に合わせて効率よく科目を選ぶ

科目選びで失敗しないためには、志望大学の募集要項を最優先し、自身の学習状況と照らし合わせて戦略的に選択することが重要です。

文系受験生が科目を選ぶ際のポイントは、以下の3つです。

  • 志望大学の募集要項で指定科目を必ず確認する
  • 学校で履修している科目を優先する
  • 短期集中で得点できる科目を選ぶ

まずは、大学の公式サイトや入試要項で、自分が受験する学部・学科・入試方式に必要な科目を正確に把握しましょう。学校の授業で扱っている科目は、すでに基礎知識が身についており、独学の負担を大幅に減らすことができます。

また多くの場合、大学入学共通テストでしか使わない理科基礎や公民は、他の科目に比べて学習量が少なく、短期間で得点を伸ばしやすい科目です。暗記が得意なら生物基礎や倫理・政治経済を選ぶなど、自分の得意に合わせましょう。

対策に時間がかかる英語・数学・国語の学習時間を確保するためにも、これら大学入学共通テストのみの科目でいかに効率よく得点を伸ばせるかが重要です。

地歴・公民|2科目受験するなら組み合わせに注意

国公立文系で必須となる地理歴史・公民の2科目選択では、「選択できない科目の組み合わせ」と「第1解答科目の指定」という2つの重要ルールを厳守する必要があります。特に新課程(2025年度入試以降)では、科目の組み合わせルールが複雑になっています。

まず、文系受験生の選択肢の中心となる主要5科目の組み合わせ可否について、以下の早見表をご覧ください。

『地理総合、
地理探究』
『歴史総合、
日本史探究』
『歴史総合、
世界史探究』
『公共、
倫理』
『公共、
政治・経済』
『地理総合、歴史総合、公共』
​​「地理総合」
「歴史総合」
​​「地理総合」
「公共」
​​「歴史総合」
「公共」
『地理総合、地理探究』 ​​- ​​○ ​​○ × ​​×
『歴史総合、日本史探究』 ​​○ ​​○ ​​○ × ​​○ ×
『歴史総合、世界史探究』 ​​○ ​​- ​​○ × ×
『公共、倫理』 ​​○ ​​○ ​​× ​​× ×
『公共、政治・経済』 ​​○ ​​○ × ​​- ​​× ×
『地理総合、
歴史総合、
公共』
​​「地理総合」
「歴史総合」
× ​​× × ​​○ ​​-
「地理総合」
「公共」
​​× ​​○ × ​​× ​​-
「歴史総合」
「公共」
​​○ × ​​× × ​​× ​​-

この表からわかる通り、『公共、倫理』と『公共、政治・経済』の公共科目同士の組み合わせは選択できません。主要5科目内で2科目選択する場合、地歴探究科目(地理・日本史・世界史)から少なくとも1科目を選ぶ必要があります。

多くの国公立大学では、地理歴史・公民の第1解答科目として受験した科目の成績のみを合否判定に使用するケースがあります。どの科目を第1解答科目にするかは、得点の計算に直結する重要なポイントです。特に、6科目のうち一部の科目しか選択できない大学では、大学が課す科目を第1解答科目に設定しないと、出願資格を失う場合や、地歴・公民の得点が0点扱いになるケースもあります。

そのため、得意・不得意だけで判断せず、必ず志望校の募集要項で「第1解答科目の指定」がないかを確認し、大学が課す科目を正しく第1解答として選ぶことが不可欠です。

理科|志望校が指定していない科目を選択しない

国公立文系における理科は、志望校の指定に合わせて物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎から2つを選ぶのが一般的です。理系学部とは異なり、文系学部で科目選択の制限は少ない傾向にあります。

しかし、「基礎2科目」の代わりに、物理や化学などの専門科目を受験しようと考えている場合は、注意が必要です。大学によって、専門科目を1科目受験するだけで「基礎2科目」の代わりとして認められる大学と、専門科目を2科目(化学と生物など)受験して認められる大学があるからです。

特に後者の「専門2科目」が必要なパターンは、東大や一橋大などの上位の大学に見られます。安易に専門科目を選択すると、学習負担が大幅に増えてしまうため、必ず募集要項を確認しましょう。

また、「地学基礎」は厳密には文系科目ではないものの、文系コース在籍者が受験することの多い看護・医療系学部では選択できない場合があります。看護・医療系を受験する可能性がある場合は、事前に募集要項を確認しておきましょう。

理系学部とは異なり、文系の理科は必要最低限の教養科目として課されている場合が多いため、志望校が指定していない科目を追加で受験するメリットはほとんどありません。不要な科目を増やすよりも、主要3教科(英・国・数)の対策に学習時間を集中させる方が得策です。

主要大学・学部別の必要科目の違い

同じ文系であっても、大学や学部によって必要な科目は異なります。ここでは、主要な私立大学と地方国公立大学の例を挙げ、その違いを具体的に見ていきましょう。

明治大学

明治大学の大学入学共通テスト利用入試では、同じ文系学部でも学部や方式によって必須科目や選択科目の範囲が異なります。2025年度入試からは、新教科の情報Ⅰが選択肢に入る学部も増えています。

学部学科 ​​必須科目 選択科目 ​​主な科目の違い
文学部 日本文学科
前期3科目
外国語
国語
数学(Ⅰ、IA、ⅡBC)
理科
地歴・公民(地歴公共を除く)
情報Ⅰが選択肢に含まれない。
​​法学部 法律学科
前期3科目
外国語
国語
数学(IA、ⅡBC)
理科
地歴・公民(地歴公共を除く)
情報Ⅰ
情報Ⅰを選択可能。
​​政治経済学部 政治学科
前期3科目
外国語
国語
数学(IA、ⅡBC)
理科
地歴・公民(地歴公共を除く)
外国語の配点は300点と高い。情報Ⅰは選択肢に含まれない。
​​経営学部
前期3科目
外国語
国語
数学(IA、 I、ⅡBC)
理科
地歴・公民
情報Ⅰ
外国語の配点が250点。情報Ⅰを選択可能。
​​商学部 商学科
前期4科目
外国語
国語
数学(IA またはⅡBC)
理科
地歴・公民(地歴公共を除く)
情報Ⅰ
数学が必須科目に含まれる。
​​​​国際日本学部 国際日本学科
前期3科目
外国語
国語
数学(IA、ⅡBC)
理科
地歴・公民(地歴公共を除く)
情報Ⅰ
​​情報Ⅰを選択可能、配点は200点。

同じ大学内でも学部と入試方式によって「情報Ⅰが使えるか」、「数学が必須か」あるいは「特定の科目の配点が高いか」といった違いがあります。

また、合格に必要な得点率も85〜90%以上と高い傾向にあります。必須科目や配点の違いなど、募集要項を詳細に確認しましょう。

立教大学

立教大学の大学入学共通テスト利用入試は、学部・学科によって必須科目や選択科目が分かれています。学部ごとの主な違いを、以下の表にまとめます。

学部学科 ​​必須科目 選択科目 ​​主な科目の違い
文学部 英米文学科
3科目型
外国語
国語
数学(IA、ⅡBC)
理科
地歴・公民
外国語の配点が400点と高く、情報Ⅰが選択肢に含まれない。
法学部 法学科
3科目型
外国語
国語(現古)
数学(IA、ⅡBC)
理科
地歴・公民
情報Ⅰが選択肢に含まれない。国語は現代文と古文を含む。
現代心理学部 心理学科
3科目型
外国語
国語(現)
数学(IA、ⅡBC)
理科
地歴・公民
情報Ⅰ
国語は現代文のみ。情報Ⅰを選択可能。
経営学部 経営学科
3科目型
外国語
国語(現)
数学(IA、ⅡBC)
地歴・公民
情報Ⅰ
国語は現代文のみ。理科は選択肢に含まれない。情報Ⅰを選択可能。
観光学部 観光学科
3科目型
外国語
国語(現古)
数学(IA、ⅡBC)
理科
地歴・公民
情報Ⅰ
情報Ⅰを選択可能。

表からわかるように、情報Ⅰが選択肢に含まれるかが学部によって異なります。さらに注意すべきは国語の出題範囲です。文学部は漢文まで必須ですが、現代心理学部や経営学部は現代文のみで受験可能です。

また、文学部 英米文学科のように、特定教科(外国語)の配点が高いケースもあります。

同志社大学

同志社大学の大学入学共通テスト利用入試は、学部・学科だけでなく、方式によって必要科目が分かれています。特に同じ文学部であっても、学科や方式(A方式・B方式など)によって、必須科目や選択科目のパターンが異なります。

具体的なパターンの違いを、文学部の例でご覧ください。

学部学科 ​​必須科目 選択科目 ​​主な科目の違い
文学部 英文学科
A方式
外国語 大学入学共通テストのみで判定。(個別学力試験として小論文が課される)
英語のR:L配点は2:1。
​​文学部 英文学科
B方式
外国語
国語
数学(IA、I、ⅡBC)
理科
地歴・公民
英語のR:L配点は2:1。情報Ⅰが選択肢に含まれない。
​​文学部 哲学科 外国語
国語
数学(IA, I, ⅡBCから1つ)
理科
地歴・公民
5科目すべてが必須だが、数学、理科、地歴・公民の各教科内で1科目を選択する。情報Ⅰは選択肢に含まれない。
​​文学部 美学芸術学科 外国語 数学(IA、 I、ⅡBC)
国語
理科
地歴・公民
(いずれか2教科)
国語が必須科目ではない。情報Ⅰは選択肢に含まれない。
​​文学部 国文学科 外国語
数学(IA、 I、ⅡBC)
国語
理科
地歴・公民
(いずれか3教科)
すべての科目が選択科目であり、情報Ⅰは選択肢に含まれない。
​​文学部 文化史学科 外国語
国語
数学(IA、I、ⅡBC)
理科
地歴・公民
情報Ⅰは選択肢に含まれない。
地歴・公民の地理、日本史、世界史は第1解答科目指定がある。これらのうち1科目は必須で、残りの科目群(地歴・公民・数学・理科)からさらに1科目を選択。

表からわかるとおり、外国語と独自試験の小論文で判定する方式から、国語が必須ではない方式まで、さまざまです。

さらに、同志社大学は全学部日程と、個別学部日程で入試科目が異なる場合があります。大学入学共通テスト利用入試だけでなく、一般選抜も含めてどの入試方式が自分に適しているか、募集要項で確認しましょう。

立命館大学

立命館大学の入試は、大学入学共通テストの得点のみで判定する「共通テスト方式」のほか、大学独自の個別試験と併用する「共通テスト併用方式」もあります。

文系学部では、共通テスト方式(3教科型)が基本ですが、同じ3教科型であっても、学部・学科によって必須科目や選択科目が異なります。

学部ごとの主な違いを、3教科型の例でご覧ください。

学部学科 ​​必須科目 選択科目 ​​主な科目の違い
法学部 法学科
3教科型
外国語
国語(現)
​​数学(IA、ⅡBC)
理科
地歴・公民(地歴公共を除く)
情報Ⅰ
国語は現代文のみ。情報Ⅰを選択可能。
​​文学部 日本文学研究学域
3教科型
外国語
国語
​​数学(IA、ⅡBC)
理科
地歴・公民(地歴公共を除く)
情報Ⅰ
英語のR:L配点は4:1。(配点はいずれの学部でも共通)
情報Ⅰを選択可能。
​​経済学部 経済専攻
3教科型
外国語 ​​数学(IA、ⅡBC)
国語(現代文のみ)
理科
地歴・公民(地歴公共を除く)
情報Ⅰ
国語が必須科目ではない。英語のR:L配点は4:1。
地歴・公民の配点が最大400点(2科目選択)となる場合がある。
左記の教科から2教科を選択し、地歴・公民に限り2科目の選択が可能。
​​国際関係学部 国際関係学専攻
3教科型
外国語 ​​数学(IA、ⅡBC)
国語(現代文のみ)
理科
地歴・公民(地歴公共を除く)
情報Ⅰ
国語が必須科目ではない。英語のR:L配点は4:1。
地歴・公民の配点が最大400点(2科目選択)となる場合がある。
左記の教科から2教科を選択し、地歴・公民に限り2科目の選択が可能。
​​総合心理学部 総合心理学科
3教科型
外国語
国語(現)
​​数学(IA、ⅡBC)
理科
地歴・公民(地歴公共を除く)
情報Ⅰ
国語は現代文のみ。情報Ⅰを選択可能。

表からわかるように、国語が必須ではない学部や、現代文のみで良い学部があります。さらに、地歴・公民から2科目の選択が可能であったり、情報Ⅰが選択可能であったりと、さまざまです。

前述の「共通テスト併用方式」もあるため、自分の得意・不得意や学習の進捗状況に合わせて、最適な受験方式を検討しましょう。

広島大学

国立大学である広島大学は、ここまで紹介した私立大学とは異なり、原則として6教科8科目の受験が必須です。

ただし、同じ「6教科8科目」であっても、学部によって特定の科目の配点や、数学の科目指定が異なります。

学部学科 ​​必須科目 選択科目 ​​主な科目の違い
文学部 人文学科
前期
外国語
数学(IA、ⅡBC)
国語
情報Ⅰ
​​理科(専門を除く)
地歴・公民(地歴公共を除く)
地歴・公民の配点が400点と高い。数学(IA、ⅡBC)および情報Ⅰは必須。
​​経済学部 経済学科(昼間)
前期
外国語
数学(IA、ⅡBC)
国語
情報Ⅰ
​​理科(専門を除く)
地歴・公民(地歴公共を除く)
数学(IA、ⅡBC)および情報Ⅰは必須。
​​法学部 法学科(昼間)
前期
外国語
数学(IAまたはⅡBC)
国語
情報Ⅰ
​​理科(専門を除く)
地歴・公民(地歴公共を除く)
数学(IA、ⅡBC)はどちらか1科目を選択。情報Ⅰは必須。
​​総合科学部 国際共創学科
前期
外国語
数学(IA、ⅡBC)
国語
情報Ⅰ
​​理科(専門を除く)
地歴・公民(地歴公共を除く)
外国語の配点が300点と、他学部より高い。数学(IA、ⅡBC)および情報Ⅰは必須。

表からわかるとおり、大学入学共通テストで幅広い科目に取り組みながら、学部によっては配点の高い科目で高得点を狙う戦略が必要です。

さらに、大学入学共通テストの後、二次試験として、学部ごとに「国語・外国語・数学(または小論文)」など1〜2科目の記述式試験が課されます。大学入学共通テストの対策と、二次試験で課される主要教科の記述力を同時に高めていく必要があります。

大学入学共通テスト文系科目の出題傾向と対策法

大学入学共通テストは、科目ごとに特有の出題傾向があります。ここでは、文系受験生が押さえておくべき主要科目の傾向と、明日から実践できる具体的な対策法を解説します。

国語|古文・漢文を短期で得点源にする

大学入学共通テストにおける国語は、対策に時間がかかる近代以降の文章(110点)に対し、古文(45点)・漢文(45点)は基礎知識の習得により短期間で得点源とすることが可能です。

古文・漢文は文法と単語の基礎を固めれば、安定して得点できるようになります。特に漢文は、句法と重要語彙を覚えれば満点も狙える分野です。ただし、漢文は暗記事項こそ少なめですが、読解問題で知識を活用できるレベルに達するには、一定の時間がかかります。遅くとも受験生の秋までには、一通りの知識を固めておきましょう。

また、2025年度入試からは、従来の現代文に加え実用的な文書を扱う大問が新設されています。グラフやレポートなどを読み解く問題は、文系受験生の中にも苦手な人が多いため、早めの対策が必要です。

英語|リーディング全8問で論理力が試される

英語はリーディング100点・リスニング100点の構成で、従来の長文読解力に加えて、聞く力も重視されます。

対策すべきポイントは大きく分けて以下の3つです。

  • リーディング対策:速読力と構文理解
  • リスニング対策:毎日の音声訓練
  • 志望校の配点比率の確認

まず、リーディングは全8問すべてが長文読解形式です。速く正確に読むためには、単語力だけでなく、文の構造を瞬時に把握するための構文把握力も養うようにしましょう。図表やグラフなど、多様な形式の資料を読み解く演習も積んでおく必要があります。

次に、配点がリーディングと同等であるリスニング対策も重要です。1回しか読み上げられない問題も含まれるため、毎日英語の音声に触れ、耳を慣らしておく学習が求められます。

また、大学によってリーディングとリスニングの配点比率が異なります。志望校の募集要項を確認し、対策の優先順位をつけましょう。

数学|解き方のプロセスを説明できるようにする

文系受験生が利用する数学は、単なる公式の丸暗記では対応できません。解法に至る過程や考え方の理解を問う問題が増えています。

対策として効果的なのは、友人や先生に「なぜその解法になるのか」を説明することです。相手に理解してもらうよう言語化することで、自身の理解が深まります。それができない場合でも、記述式の証明問題を自分で解いてみたり、解答を熟読したりすることが大切です。

近年の大学入学共通テストの傾向では、受験の年になる前から、数学はこうした誘導形式の問題に触れておくことが、高得点へつながります。

地歴・公民|資料読解問題に慣れておく

地理歴史・公民は、教科書レベルの知識を前提としつつ、歴史的資料や統計グラフなどの資料読解力が試されます。対策ポイントは、以下のとおりです。

  • 教科書を熟読し、全体の流れを掴む
  • 多様な資料問題の演習を積む
  • 知識を「使える」状態に昇華させる

用語の丸暗記ではなく、教科書の本文や脚注、資料のキャプションまで読み、背景や出来事の因果関係を深く理解しましょう。また、その知識をどう使うかを学ぶため、過去問や問題集を活用し、さまざまな資料問題に触れておくことが大切です。

資料を見た瞬間に、教科書のどの部分と関連する知識かを引き出せるよう、日頃から意識して訓練しておきましょう。

理科基礎|データの読み取り問題も安定して得点源に

理科基礎は、国公立の受験生にとって貴重な得点源であり、基礎知識をベースにした実験データやグラフの読み取り問題が頻出します。対策ポイントは、以下の3点です。

  • 基礎知識(用語・公式)を徹底する
  • 実験考察の演習を重ねる
  • グラフ読解の癖をつける

教科書レベルの基本用語や公式を理解し、知識問題で得点できるようにしましょう。その上で、実験考察の問題演習では手順や目的に着目し、なぜその操作が必要なのかを理解することが重要です。

また、グラフが出題された際は、縦軸と横軸が何を表しているか、単位は何かを読み取る癖をつけましょう。

理科基礎は1科目あたりの範囲は広くないものの、2科目受験が必須となるため、他の教科の学習との両立を見据え、遅くとも高3の秋より前から計画的に進めることが大切です。

情報|基本的な用語や知識を押さえよう

2025年度から新設された情報Ⅰの出題範囲は、プログラミングやデータの活用、情報社会の倫理や法律など幅広く出題されます。

対策としては、学校の授業内容をしっかり復習し、教科書レベルの基本的な用語や知識は確実にすることを優先しましょう。その上で、大学入学共通テスト対策用の問題集を用い、簡単なアルゴリズム(処理の流れ)を理解する演習や、データ分析に関する基本的な考え方を身につけるのがおすすめです。

多くの受験生が十分な対策ができていない傾向にあるため、基礎を徹底しましょう。

文系の大学入学共通テスト科目でよくある質問(Q&A)

ここでは、文系受験生が大学入学共通テストの科目選びで抱きやすい疑問にお答えします。

Q:大学入学共通テストで理科は何を選べばいい?

国公立文系志望者の場合、理科は『理科基礎』から2科目を選択するのが一般的です。その中でも、化学基礎と生物基礎の組み合わせは、暗記中心で学習しやすく、計算問題が比較的少ない傾向にあります。

ただし、生物基礎は暗記量が多く、考察問題の比率も高いため、見た目以上に時間を要する科目です。人気のある選択肢ではありますが、内容を理解せず「取りやすそう」という印象だけで選ぶのは避けましょう。

一方で、数学が得意な文系受験生にとっては、物理基礎は暗記量が少なく満点を狙いやすい科目と言えます。

また、地学基礎については、看護・医療系の学部を第一志望または併願先として検討している場合、選択できない大学も多いため注意が必要です。

学校で物理基礎や地学基礎を履修しており、そちらの方が得意な場合は、効率的に高得点を狙える科目を優先しましょう。

Q:文系でも数学は必要?

志望校によりますが、国公立大学を目指す場合は、原則として必須です。国公立大学を志望する場合、文系学部であっても大学入学共通テストで数学(IA, ⅡBC)の2科目が多くの場合課されます。

私立大学の大学入学共通テスト利用入試においては、特に経済学部や商学部、経営学部を志望する受験生は、数学を選択肢に入れておきましょう。

Q:地歴・公民のおすすめ組み合わせは?

2科目選択が必要な場合、『歴史総合、日本史探究』と、『公共、倫理』の組み合わせが、対策しやすい科目です。『公共、倫理』などの公民科目は、歴史科目に比べ範囲が限定的であり、暗記と理解のバランスが良い傾向にあります。

また、『歴史総合、世界史探究』と『地理総合、地理探究』の組み合わせは、グローバル系の学部などを志望する受験生におすすめです。

まとめ

大学入学共通テストの文系科目は、志望校によって必要な構成が全く異なります。科目選択は受験戦略の根幹であり、早期の正しい情報収集が合格への第一歩です。

  • 国公立は6教科8科目、私立の大学入学共通テスト利用方式は3教科3科目が基本。
  • 重要なのは、志望大学の募集要項で必須科目と配点を確認すること。
  • 地歴・公民の第1解答科目や、理科基礎の選択ルール、情報Ⅰへの対応が鍵。

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