さいたま市の岩槻区にある開智中学校は学校法人開智学園が母体で、岩槻を筆頭に、埼玉の加須、所沢、茨城の守谷、東京の日本橋、八王子、千葉の柏にキャンパスを展開しています。今回取り上げる岩槻の開智中学校は中高一貫校で、6年間を通して社会に貢献する国際的リーダーの育成に力を入れています。
この記事では、開智中学校の偏差値はどれくらいなのかを詳しく解説し、合格の難易度や対策についてご紹介します。
開智中学校の偏差値と難易度
開智中学校は全国でもトップクラスの学力と高い合格実績を誇り、また、独自の教育方針や充実した学習環境が整っていることでも人気のある学校です。ここでは開智中学校の最新の模試データに基づく偏差値の目安や、倍率の推移をご紹介します。
開智中学校の偏差値は入試タイプにより異なる
四谷大塚の発表によると、開智中学校の偏差値は入試のタイプによって変動します。
男女ともに、第1回・第2回のAライン80偏差値は53、創発クラス特待AのAライン80偏差値は59、特待Bと算数特待のAライン80偏差値は56です。
首都圏の主要校との偏差値の比較
開智中学校の偏差値は、入試方法によって53~59と幅がありますが、第1回・第2回の入試のボリューム層は、首都圏の準難関校と近い水準にあります。
たとえば同程度の偏差値帯には、明治大学付属八王子・芝国際・成城学園などが挙げられます。これよりやや上位には、かえつ有明・芝浦工業大学附属・國學院久我山・東京学芸大学附属国際・三田国際科学学園 などが位置します。
合格率・合格基準点と倍率の目安
2025年度の入試結果を見ていきましょう。
第1回は受験者数3,815名に対して合格者数が2,088名、合格率は54%です。合格基準点は340点満点中、206点、S特待が310点です。
創発クラス(特待A)入試の受験者数は1,700名で合格者数は327名、合格率は19%です。340点満点中、合格基準点は185点で、合格者全員がS特待となります。
算数特待入試の受験者数は1,757名で合格者数は255名、合格率は14%です。合格基準点は120点満点中、S特待は94点、A特待は84点、準特待は72点です。全体の平均点が43.2点のため、非常にハイレベルな問題が出題されていることがわかります。
第2回入試の受験者数は2,021名で合格者数は626名、合格率は30%です。340点満点中、合格基準点は256点です。
開智中学校では第1回入試と第2回入試の両方を受験した場合、第2回入試の合計点に30点加算される制度があり、第2回入試で256点に達していた場合、合格となります。
※参考:開智中学校 入試結果発表用サイト
【中学受験】開智中学校の入試情報と注意点
開智中学校では、さまざまなタイプの入試が受けられます。ここではどのような入試があるか、また受験の際の注意点をご紹介します。
一般入試に加え、創発クラス・算数特待・英語型入試を設置
第1回・創発クラス(特待A)・第2回・特待Bの入試は、国語(100点)、算数(120点)、社会(60点)、理科(60点)で実施されます。第1回と第2回の成績優秀者は特待合格、創発クラスの合格者は全員がS特待、特待Bの合格者はS特待・A特待・準特待のいずれかが受けられます。
算数特待は算数(120点)の一本勝負です。合格者はS特待・A特待・準特待のいずれかの特待を受けることができます。
英語型入試は、CEFRのA1レベル以上の英語力を持つ受験生が受けることができます。一般入試の国語と算数の試験後、社会と理科の試験はなく英語の試験(100点)を受けます。英語の試験はエッセイ・ライティングで、読んだ文章をもとに自分の考えを英文で表現することを求められます。この他、海外に住んでいた帰国生向けの帰国生入試もあり、英語型の試験内容とともに、英語・日本語による口頭試問と面接も実施されます。
系列校の同時判定と加算制度がある
開智中学校の受験では受験料を追加しなくても、開智望中等教育学校・開智所沢中等教育学校・開智未来中学校・開智日本橋学園の同時判定を行うことができます。出願の際に「開智中学校のみ判定」「開智所沢中等教育学校のみ判定」「両校で判定」のいずれかを判定方法を選択し、S特待で合格すると、創発クラスを選択できる制度があります。
さらに、複数回受験による加点制度も設けられています。第2回入試では、第1回入試を受験している場合に、第2回の得点に最大30点加点される制度があります。この制度を活用することで、2回目の受験で合格のチャンスを広げることが可能です。
なお、制度の内容や対象校は年度によって変更される場合があるため、出願前に最新の募集要項を確認しておくと安心です。
入試の際の注意点
入試のタイプによって、試験会場は異なります。開智中学校の入試会場は多数あり(複数あり)、開智中学校・河合塾大宮校・さいたまスーパーアリーナ・開智所沢中等教育学校・駿台予備学校 大宮校・大宮ソニックシティなどが挙げられます。定員人数を設けている会場もあるため、早めに申し込むと良いでしょう。
開智中学校・開智所沢中等教育学校・開智望中等教育学校では上履きが必要なので、忘れないようにしましょう。下敷き・コンパス・分度器・定規は持ち込み不可です。
各教科の傾向と開智合格のために必要な対策
人気の高い開智中学校の受験は、標準的な問題が解けるだけでは合格することはできません。ここでは開智中学校の入試の特色から、どのような対策をしておけば良いかをご紹介します。
国語はハイレベルな語彙力が求められる
国語の問題文はかなり長文の読解内容が出題されるため、普段から長文に慣れておく必要があります。説明文・小説・随筆など、文章ごとに速いスピードで正確に読むコツを習得しておきましょう。読み取った内容を自分の言葉でまとめる問題もあるため、語彙力を高め、読解力と文章力を磨くことも大切です。
漢字の読み書きはもちろん、同音異義語や同訓異字、類義語・対義語、慣用句、故事成語、敬語やわかりづらい言葉の意味も押さえておくと良いでしょう。
算数は過去問で出題傾向を掴む
速さ・比・図形・割合・数の性質の問題など、例年ほぼ同じ分野から出題されます。計算問題は基本的な問題が中心なので、正確性とスピードを重視して満点正解を目指しましょう。一方、それ以降の応用問題では工夫が必要な問題が多く、単純な計算だけでは解けません。じっくり取り組み、わからない問題は後回しにしましょう。どの公式、どの定理を使って解けば良いかを、日ごろから類題に挑戦しながら考えることが大切です。
傾向を知るためにまずは、過去問2年分を完璧にすることから始めるのがおすすめです。その後、他校の過去問から類題を見つけて徹底的に練習を繰り返してください。
理科は標準レベルだが計算力も必要
問題の分量やレベルは年々上がっている可能性はありますが、塾のテキストなどで見たことがあるような問題ばかりなので難易度は標準と言えます。すべての単元の基本的な知識を習得した上で、物理・化学分野を中心に、計算力が必要な問題にも挑戦しておきましょう。
試験時間30分で大問数が5~7題あるため、時間配分には注意が必要です。実験や観察に関する説明やグラフ・表・図をしっかり読み取らなくてはならない時事問題も頻出です。多少レベルの高い問題も想定して演習に挑んでおくと対策になるでしょう。
社会は時事問題の知識の定着も必須
各分野から幅広く知識を問う問題が出されます。問題のリード文や資料の中には写真や図を引用した難しいものもあるため、日ごろからニュースなどに触れて様々な資料に目を通しておくと良いでしょう。1~2行ほどの短文記述もあり、自分の言葉で表現できる文章力の強化も必須です。
地理は白地図を使って位置関係を把握しましょう。歴史は時代ごとに、年表にまとめながら覚えるのがおすすめです。政治では選挙の仕組みや資料・図表の出題もあるため、注意が必要です。日ごろから新聞やテレビなどのニュースに触れておきましょう。
開智中学校の教育方針と進学実績
開智中学校に入学するとどのようなスクールライフを過ごせるのか、また開智高等学校からの進学実績についてもご紹介します。
夢と目標に向かう4つのコース制
高い志を持ち、専門分野で社会貢献できるリーダーの育成に力を入れている開智中学校では、これからの社会に必要な資質・能力・学力・スキルを伸ばすために、広く学ぶ「創発クラス」と4つのコースが設けられています。各クラス・コースの詳細は以下の通りです。
教養を幅広く身につける「創発クラス」
「思考力の基盤となる基礎学力の徹底」と「ハイレベルな思考力・表現力を育成」の2本柱で、広く深く楽しく学ぶクラスです。4つのコースをかけ合わせた多彩な活動を行い、海外大学への進学も視野に入れています。
目標の大学を目指す「ITコース」
目標の大学が決まっている生徒向けに、志望校への意欲を全面的にサポートするコースです。卒業生を招いた座談会や、志望大学のオープンキャンパスへの参加などの活動を低学年から実施します。
医療従事者になりたい「MDコース」
医師、歯科医師、薬剤師、看護師、獣医師などを目指す人のコースです。教科の学習を確実に進めると同時に、医療のバックグラウンドとなる各種活動も行われます。同じ目標の仲間と高め合う日々を積み重ねて、個々の力を最大限に発揮する「チーム医療」の礎を育みます。
得意なことを見つけたい「FDコース」
体験的なプログラムを通して、生徒たちが将来の自分の生き方やあり方を考え、社会の変化に対応するために自らの引き出しを増やし、生涯にわたって「生きる力」を育むことが目的のコースです。企業や官公庁などとのインターンシップを通して、学びの意欲を高めます。
グローバル社会で活躍する「GBコース」
グローバルな視点で日々の学びに取り組む、世界を舞台に活躍することを目指す人のためのコースです。高校2年生からは国際バカロレア(IB)のディプロマプログラム(DP)コースで世界標準の学びにチャレンジすることができます。
東大から難関私立大学まで多彩な進学実績
開智中学校・高等学校は、国公立・私立を問わず多くの難関大学への進学実績を誇ります。特に東京大学をはじめとする旧帝大・国公立大学への合格者を毎年多数輩出し、早慶上理・GMARCHといった私立難関大学にも幅広く合格者を出しています。
6年間の探究的な学びと、個々の進路目標に合わせた指導体制により、生徒一人ひとりが高いレベルで夢を実現しています。
国公立大学(合格者数68名)
| 東京大学 | 10 | 東北大学 | 5 | 千葉大学 | 7 |
| 東京学芸大学 | 1 | 一橋大学 | 1 | 横浜国立大学 | 3 |
| 九州大学 | 2 | 京都大学 | 1 | 東京都立大学 | 1 |
私立大学
| 青山学院大学 | 16 | 慶應義塾大学 | 26 | 上智大学 | 24 |
| 東京理科大学 | 75 | 法政大学 | 58 | 明治大学 | 73 |
| 立教大学 | 47 | 早稲田大学 | 46 | 日本女子大学 | 15 |
まとめ
開智中学校の偏差値や入試問題の傾向、合格に向けた対策などをご紹介しました。系列校の合格同時判定や加算など特色ある入試を展開していますが、合格に向けた対策においては、やるべき方針が明確です。お子さまが何から始めれば良いか迷っている場合や成績が上がらず困っているという方は、個別指導塾という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。
トライではお子さま一人ひとりの学力や個性に合わせたカリキュラムでサポートいたします。開智中学校への入試対策をご検討の方は、お気軽にお問い合わせください。

