中学受験において、国語は欠かせない科目です。とくに近年は、国語の入試問題が長文化している傾向にあります。長文の物語や説明文を時間内で正確に読み解く必要があり、高い読解力が求められているのです。
「うちの子は国語が苦手だから、長文は特に心配……」そんな不安を抱えるご家庭も多いでしょう。
長文読解は、「思考力・判断力・表現力」も求められます。時間内に文章の内容を正しく理解し、深く考え、考えをまとめる力が必要です。これらの力は、算数や理科・社会の設問を理解する上でも大きな武器となるはずです。
この記事では、「中学受験の国語が長文化している理由」と「読解力の重要性」、「長文読解の対策とコツ」をご紹介します。ぜひ参考にしてください。
中学受験の国語はなぜ長文化しているのか
中学受験の国語が長文化している理由の1つに、教育において「思考力・判断力・表現力」が重視されるようになったことが挙げられます。
従来のように知識を問うだけではなく、文章の内容を正確に読み取り、自分の考えを整理する力が求められるようになってきました。
先の見えない時代を生きる子どもたちには、情報を的確に理解し、多面的に考える力が必要です。そのため中学受験の国語では文章量を増やし、受験生に複雑な文章を読み解かせることで、こうした力を測ろうとしています。
つまり、国語の長文化は単なる「難化」ではなく、中学校側が求める学力観の変化を反映したものだと言えるでしょう。
本記事では、国語が長文化している背景と、そこで求められている力について、わかりやすく解説します。
国語の入試で文章量が増えている背景
中学受験の国語が長文化している背景には、大きく2つの流れがあります。
1つは教育改革、もう1つは大学入試の変化です。
まず教育改革の観点では、「思考力・判断力・表現力」を重視する方針が明確になっています。
AIの進化など社会の急速な変化を背景に、学校教育では知識を覚えるだけでなく、情報を読み取り、自分の考えを整理し、表現する力を育てることが求められるようになりました。
実際に小学校の学習指導要領解説においても、改訂の背景としてAIの進展について言及されており、こうした力の重要性が強調されています。
※参考:【国語編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説|文部科学省
この流れを受けて入試では、複数の視点から内容を捉え、持っている知識を活用して考える力が問われるようになっています。
また、大学入試の変化も重要な背景として挙げられます。
2021年に始まった大学入学共通テストでも、文章量は大幅に増えています。これは、知識の暗記だけでなく、それを活用して、思考・判断する力を測る出題へとシフトしているためです。
こうした大学入試の方向性も、中学受験に影響を与えています。
長文化は、こうした社会の変化や教育の変化も背景として起こっていると考えられます。
国語の長文化によって何が求められているのか
国語の長文化によって求められている力は、下記の4つです。
- 読解力(文章の内容を正確に理解する力)
- 思考力(読み取った情報をもとに考えを組み立てる力)
- 判断力(複数の情報から適切な答えを選び取る力)
- 表現力(自分の考えを筋道立てて説明する力)
近年では、スマートフォンやAIを使うことにより、情報や知識はより早く、正確に調べられるようになりました。そのため入試では、「知っているかどうか」ではなく、「得た情報をどのように活用し、考えるか」がより重視されるようになっています。
長い文章を読み、必要な情報を取捨選択し、自分の考えをまとめる力が必要です。国語の長文化は、こうした力を備えた受験生を見極めるための出題傾向だと言えるでしょう。
長文に対応するために必要な読解力の重要性と鍛え方
学校教育が求めている思考力・判断力・表現力の土台となるのが、「読解力」です。読解力とは、書かれたテキストを理解し、活用し、熟考する力のことです。
ここでは、読解力の重要性と、読解力のつけ方について解説します。
※参考:1 PISA調査における読解力の定義,特徴等|文部科学省
学習指導要領で求められている力
小学校の学習指導要領には、国語で育成すべき資質・能力として、次の3つが挙げられています。
- 知識及び技能
- 思考力・判断力・表現力
- 学びに向かう力、人間性
これらに共通する前提となるのが「文章を正確に理解する力」です。内容を正しく読み取ることができて初めて、自分の考えをまとめ、適切に表現することが可能になります。
つまり、読解力は国語における土台であり、すべての学習を支える基盤となる力だと言えるでしょう。
※参考:【国語編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説|文部科学省
中学受験でも読解力が重要
中学受験の国語では、長い文章の内容を正確に読み取り、設問の意図に沿って答える力が求められます。近年は文章量が増える傾向にあり、限られた時間の中で要点を整理しながら読み進める力がこれまで以上に重要になっています。
例えば、物語文では登場人物の心情の変化を読み取る力、説明文では筆者の主張や論理の流れを理解する力が必要とされており、こうした読解力の差が、得点差、ひいては合否を左右する大きなポイントとなります。
特に長文化した国語では、文章全体の構造を素早く捉える力が重要になっています。部分的な理解にとどまらず、全体像を意識して読む力が求められています。
毎日の積み重ねで読解力を伸ばす
読解力をつけるためには、毎日の積み重ねが必要です。1回に多くの時間を割くのではなく、短い時間でも習慣にしていくことが大切になります。生活の中に無理なく組み込むことで、習慣化しやすくなります。
毎日音読をする
音読をして、さまざまな文章を読む経験は、読解力を高める上で非常に効果的です。音読は、接続詞や接続助詞まで丁寧に拾わないと、読むことができません。心を込めて読むには、登場人物の心情や筆者の主張を理解していないと難しいため、自然と文章の構造まで理解することができます。
文章を読むのが苦手な子は、「読み飛ばし」をしていることが多くあります。大切なところを見落としてしまったり、接続詞を読まずに進んでしまったりして、文章の内容を読み取れなかった経験があるお子さまは、音読がおすすめです。
音読は短時間でも毎日積み重ねていくことが重要です。食事前の5分間や歯磨き後など、毎日必ず行う習慣と一緒に行うと、抜けにくく、継続しやすくなります。
音読は1人では続けにくく、だらけてしまいがちです。お子さまが音読している5分間は、保護者様もそばで聞いてあげましょう。音読を聞いてもらうことは、お子さまのモチベーションにつながります。保護者様も、お子さまの読み方により、どのくらい理解しているかを把握することができるでしょう。
長文を要約する訓練をする
長文を要約できるようになるためには、文章の中で何が大切なのかを把握する力が必要です。過去問の文章題を要約するだけでも、読解力をつけられます。
説明文であれば、筆者の主張や根拠をまとめましょう。物語であれば登場人物の心情の変化や関係性を中心に見ていくとまとめやすくなります。
短い文章から始めて、少しずつ長い文章を要約することに慣れていきましょう。
読書量を増やす
読解力を高めるための一番の近道は、読書量を増やすことです。さまざまな文章に触れることで、知識が増え、興味のある分野を増やすことができます。
一方で、受験勉強との両立や、読書が苦手なお子さまに、読書量を増やすことは負担になる場合もあります。
そこで、長文読解の演習を筋道立てて行うことをおすすめします。
- 時間を計って問題を解く
- 内容を覚えている間に答え合わせをする
- 最後にもう一度文章を読み返す
この3つを行うと、文章を深く理解することができるはずです。
過去問や演習の長文読解を解いていくだけでも、さまざまな文章に触れることができます。触れた文章は、毎回必ず深く理解していくことで、読書量を増やすような効果を得られるはずです。
中学受験の国語や長文読解の具体的な対策
長文読解は、読み解くのに時間がかかります。制限時間内に問題を解くには、効率よく文章を理解していくことが大切です。
時間内に解き終わるために、以下のことを習慣にしていきましょう。
設問を先に読む
「時間がかかるから」と言って、文章をいきなり読み始めることはおすすめできません。設問の全体像がつかめないと、文章を読み解くことに時間がかかりすぎて、最後まで解ききれない可能性があるためです。
まずは設問を一通り読んでから、文章を読むようにしましょう。文章を読み始める前に、設問で何が問われているかを知ることが大切です。設問を読まないまま文章を読み始めてしまうと、あとからもう一度文章を読む必要があり、時間がかかってしまいます。
ただし、設問は単に読むだけではなく、「どの部分を答える問題なのか」「どのような内容が問われているのか」を意識して確認することが重要です。小学生のお子さまの場合、設問を読んだつもりでも内容を覚えていないケースが多いため、何が問われているかを簡単に頭の中で整理してから文章を読むようにしましょう。
設問を読むだけでも、文章が何について書かれているのかが大枠で見えてきます。物語も説明文も、大枠が見えていると、読み間違いが減らせる可能性が高いです。
また、設問の中で優先順位を決めやすいこともメリットです。わかる問題から答えていけば、難しい問題に時間を使うことができるでしょう。
文章の全体像を捉える
説明文であれば、何を主張しているのかを捉える練習をします。文章内の構造を捉えることで、「主張や結論」「理由」「具体例」など、段落ごとの役割がわかり、文章の内容を捉えやすくなります。
構造を捉える中で大切なのが、接続詞です。接続詞は、筆者の言いたいことを強調していることが多くあります。読みながら印をつけていくと、読み飛ばしてしまうこともなく、理解しながら読むことにつながります。
物語であれば、登場人物の心情の変化や人物間の関係性を中心に、印をつけていきましょう。物語は注目する部分がわかりにくいことが多いですが、心情や関係性に注目すると、流れが捉えやすくなります。
時間を計って問題を解く練習をする
入試において、長文問題で最も大切なことは、「時間内に解く」ことです。毎回演習に取り組むときに時間を計り、時間内に読んで内容を理解する習慣をつけることが大切です。
過去問を解いていくと、時間配分の「型」ができてきます。お子さまによって、文章に何分、問題に何分とかけられる時間が決まってくるので、それを目標に問題を解いていくと、試験中も焦らずに済みます。最後は必ず2〜3分残し、最終確認の時間を取ることで、さらに安心して試験を終えることができるでしょう。
また、国語は経験が大切になります。説明文も物語も、読んだことのあるジャンルだと、次の流れや主張、登場人物の心情などが予想できます。予想ができると、予想と同じでも違っても、文章が頭に入ってきやすいです。
経験を積むためには、過去問や演習問題などで、さまざまな文章に触れることが大切です。時間を決めれば、時間配分の練習をしながら、多くの文章に触れられます。
国語に苦手意識を持つお子さまは、こちらの記事も参考にしてみてください。

国語の苦手を克服するために保護者様ができること
国語の苦手を克服するためにご家庭でできることをまとめました。国語はすぐに結果の出にくい科目であり、毎日の積み重ねが必要です。また、1人ではなく、ご家庭のサポートを受けることで、より力になる科目となるでしょう。
読書を勧めるだけでは不十分
毎日の受験勉強や塾の宿題で精一杯の中、読書を増やすようお子さまに伝えても、時間の確保が難しいかもしれません。
そこで、読書量を増やす代わりに、ご家庭での普段の会話から、コミュニケーション能力や語彙を伸ばしていく方法もあります。会話の中で新しい言葉に触れたり、「どうしてそう思ったの?」と理由を聞かれたりすることで、お子さまは自然と語彙を増やし、考えを整理する力がつきます。
また、新聞やニュースを一緒に読むと、語彙が増え、社会情勢についても理解が深まります。同じ情報を見て、それぞれの意見を話してみることも効果的でしょう。ご家族の意見を理解するための読解力も培われます。
そのため、ご家庭での会話は、「読解力」や「思考力・判断力・表現力」を鍛える絶好の場となるのです。
専門家に相談する
ご家庭で何からすればいいのかわからない、我が子は何が苦手なのかわからない、といった場合には、専門家に相談することも大切です。
国語は、ご家庭で教えることが難しい科目でもあります。もともと持っている読解力によって得意不得意が決まることが多く、お子さま自身もどこでつまずいているのかわからない場合もあるでしょう。
個別指導であれば、お子さまの苦手分野を見つけ出し、克服に向けた勉強ができます。お子さまの勉強法を専門家が一緒に計画立ててくれるため、効率よく勉強することが可能です。
まとめ
中学受験の国語は長文化が進み、文章量の多さに戸惑うお子さまもいると思います。
読解力は簡単につけられるものではありませんが、コツを押さえて練習を重ねれば、確実に伸ばすことができます。
文章を読むことが苦手なお子さまでも、読解力を鍛えることで、長文の内容をつかむ力を育てることができるでしょう。
「国語の長文読解が苦手で、どう対策していいのかわからない」というご家庭には、トライの個別指導がおすすめです。お子さま一人ひとりに合わせて丁寧に学習をサポートし、国語の苦手を一緒に解消していきます。お気軽にお問い合わせください。

