中学受験の算数は年々難化しており、昔より難しくなっていると言えます。算数は配点が高いため、お子さまが算数に苦手意識を持っていると、不安に感じる保護者様も多いでしょう。
中学受験の算数が難化した背景には、教育で思考力が重視されるようになった教育改革の影響があります。問題文で思考力を求められるようになったため、計算や暗記だけでは太刀打ちできない問題が増え、苦戦する受験生が多く見られるようになりました。
この記事では、中学受験の算数が難化している理由と、その勉強法についてわかりやすく解説します。
「うちの子は算数が苦手」「どこから勉強すればいいのかわからない」と感じている保護者様は、ぜひ参考にしてください。
中学受験の算数はなぜ昔より難化したのか|理由と背景
中学受験の算数はなぜ昔より難化したのでしょうか。
中学受験をするご家庭が増え、中学受験のレベルが上がったことも理由の1つでしょう。さらに、教育改革によって思考力や情報整理力など、計算力だけではない複合的な力が求められるようになったこともあります。
ここでは、教育改革で変化したことや近年の算数で求められている力をご紹介します。
思考力・判断力重視の出題へと変化しているから
中学受験の算数の難化は、2020年度から全面実施された学習指導要領が影響しています。このことは教育改革と呼ばれており、「自分で考え行動できる力」を持つ人材を育てる方向性へ教育方針がシフトしました。授業では、アクティブラーニングや思考力が重視されるようになっています。
昔は知識重視の授業で、中学受験も基本問題や解法パターン型の問題が比較的高い傾向がありました。しかし近年では、「知識をどのように使うのか」が重視され、試行錯誤を求める問題が多く出題されています。
例えば、以前は公式を当てはめれば解ける問題も多く見られましたが、近年では複数の条件を整理しながら解く問題が増えています。
会話形式の問題や、図形と速さなど複数の単元を組み合わせた融合問題など、初見の問題に対して考え方を組み立てる力が求められる出題も多く見られるようになりました。
問題文は長文化し、情報整理力が要求されるようになった
AIの台頭により扱う情報量が増加し、それを読み解く読解力が重視されるようになりました。中学受験の算数でも、問題文の文章量が増加し、会話形式や複数条件を含む問題が増えています。
長くて情報量の多い文章は、受験生を混乱させます。入試では、長文に圧倒されず、問題文の中で自分の必要な情報を正確に読み取り、整理する力が求められていることがわかります。
融合問題・複合問題が増えている
中学受験で思考力が求められるようになり、算数では単元横断型の問題が増えました。図形と速さをかけ合わせるなど、公式を複数使って解く問題も出題されています。初見の問題に対して、どの公式を組み合わせるか考える、応用力が問われているのです。
また、問題文を読むだけでは、当てはまる公式がわからない問題も多くあります。まずは、問題文の条件を整理することで、公式が見えてくる場合もあるでしょう。すぐに解法がわからないからと言って、諦めずに取り組んでみることも必要です。
算数の難化でつまずく子の共通点
「計算はできるのに、文章問題になると全くできなくて……」
「算数に苦手意識があって、勉強のモチベーションが上がらない」
といった悩みを持つ保護者様もいらっしゃるでしょう。
算数が苦手な子の多くは、「最初の一手が出ない」という共通点があります。
問題文を読んでも、下記のような理由で手が止まってしまいます。
- 何をすればいいのかわからない
- どの公式を使うのかわからない
- 問題文の文章量に圧倒されてしまう
この状態が続くと、「算数=苦手」という意識が強まり、問題に向き合う前から諦めてしまうこともあるでしょう。
この章では、算数の難化でつまずく子の特徴と対策をまとめました。
公式の意味を理解せず暗記に頼る子
公式の暗記は算数の基本ですが、公式を暗記しただけで原理が理解できていないと、応用問題になったときにつまずきやすくなります。
中学受験の算数では、旅人算やつるかめ算など、学校で習わない独特の公式があります。公式を覚えるだけでは応用できないことも多いので、「どうしてその公式になるのか」を理解して使えるようになることが重要です。
まずは、基本的な演習問題を解いて、公式の原理を覚えていきましょう。公式を理解してから応用問題にチャレンジすると、効率良く学ぶことができます。
試行錯誤型の問題に慣れていない子
思考力を重視している近年の問題は、情報整理力と試行錯誤する力が問われており、解法を見つけるまでに時間のかかる問題が増えています。このような試行錯誤型の問題に慣れていない子は、つまずきやすくなるでしょう。
時間内に問題を解かなければならない中で、自分ができる問題か、後回しにするのか判断する力も必要です。しかし、解法がわからないからと言ってすぐに後回しにしてしまうと、力がつかないままになってしまいます。
まずは過去問や演習問題に挑戦し、さまざまな問題に触れてみましょう。初見の問題が減ると、気持ちに余裕ができます。あえて時間を計らずに、自分の力で諦めずに解いてみるという経験も大切です。
算数に苦手意識がある、受験に間に合わないとお困りの方は、こちらの記事もご覧ください。

中学受験の算数で求められている力
どのような力が中学受験の算数で求められているのでしょうか。算数は計算力が基本ですが、近年は計算力だけでは解けない問題も増えました。
小学校の学習指導要領では、「思考力・判断力・表現力」を重視すると掲げており、算数にもその影響が見られます。中学受験の算数で求められている力3つをご紹介します。
計算力
速く正確に計算する力は、算数では必須の力です。計算ミスはなるべく減らしましょう。
中学受験の算数は、時間との戦いになります。速く計算することが大前提になってきますので、効率的な計算の仕方を知っておくことが重要です。
毎日5分間だけ計算問題を解いたり、時間を計って過去問を解いたりして、速く計算することに慣れていきましょう。
また、数に対する感覚を養っておくと安心です。旅人算で大人の歩く速さが時速20㎞になったら「おかしい」と思える感覚が、計算ミスを減らします。
思考力
思考力は、近年の教育の中で特に重要視されている力の1つです。算数だけでなく、他の科目でも求められています。初見の問題で試行錯誤しながら答えを導き出す力は、社会に出てからも役立つでしょう。
さらに、思考力の土台となるのが計算力です。特に基礎的な暗算力がついていると、頭の中で複数のパターンの解法を素早く試すことができ、これがいわゆる「ひらめき」につながります。
計算力と思考力は切り離せない関係にあり、両方が揃って初めて難易度の高い問題にも対応できるようになります。
表現力
算数には表現力も必要です。途中式を書くときに、自分の考えを途中式で表現するためです。
考えた内容をすべて書くことは、時間がかかるためおすすめできません。問題を解くために必要な途中式を効率良く書いていくことが重要です。
思考力があっても、相手に伝わらなければ意味がなくなってしまいます。過去問や演習問題を解いた後は、講師や保護者様に採点してもらい、途中式で考えを伝えることができているかを確認してもらうと良いでしょう。
お子さまに合わせた苦手分野のタイプ別学習法
一言で「算数が苦手」と言っても、苦手な分野はお子さまによって違います。「他の問題はできるのに、ある単元になると急に点数が取れなくなる」というお子さまは、単元だけではない課題があるかもしれません。
お子さまの苦手に合わせたタイプ別の学習法をまとめましたので、参考にしてみてください。
文章題の処理に課題がある子
計算力はあり、公式もしっかり理解できているのに、文章題になるとミスが目立つ子がこのタイプです。
このタイプのお子さまは、読解力をつける練習をしましょう。長い文章の中から、自分の必要な情報をまとめる力が求められています。
重要な情報に印をつけながら、問題文を読んでみましょう。印をつけた情報を、図や表にまとめる練習をしてみるのもおすすめです。
図形のイメージ化が難しい子
計算力はあり、文章問題も解けるが、図形になると急にわからなくなってしまう子がいます。このタイプは、空間認知力に課題のある子が多いです。
まずは、図形を自分で描いてみましょう。図形を描くには、細部まで理解しなければいけません。繰り返し描いて、慣れてくると、頭の中だけでも思い浮かべられるようになります。
テスト中、時間をかけずに描けるようにするため、フリーハンドで描く練習をしておきましょう。
時間配分に課題のある子
模試を受けたときに、後半が白紙になってしまう子は、時間配分に課題があるかもしれません。
このタイプのお子さまの場合、過去問は、時間を計って取り組むようにします。まず問題文全体を確認して、できる問題から解いていくようにすることが大切です。自分が解けそうな問題を取捨選択していく判断力もつけていきましょう。
全員に共通する中学受験の算数対策
全員に共通する算数対策も紹介します。算数の受験勉強は、毎日の積み重ねが大切になります。
算数が得意な子も、毎日の積み重ねによって、さらに高得点を狙うこともできます。毎日の継続は1人では難しいですから、保護者様の声掛けも大切になるでしょう。
計算力を伸ばす
計算力を伸ばすために、基本の計算問題に毎日取り組みましょう。朝ごはんの前の5分間など、必ず行うこととセットで取り組むと、習慣をつけやすいです。計算問題を解いていくと、自分の中で効率良く計算できる方法が見つかります。
また、計算ミスをしたときには、原因を突き止めるようにしましょう。計算手順が間違っているのか、見直し不足のケアレスミスなのかによって対策が違います。
計算ミスが多い場合は、丁寧に計算することを心がけます。最後に見直しをする習慣をつけましょう。
途中式・図を丁寧に書く
思考力を求める中学入試の多くが、途中式を書くよう指示しており、受験生の皆さんがどんな解き方をしているのか見ています。
普段から途中式は丁寧に書きましょう。全ての途中式を細かく書く必要はありません。解法が切り替わる場所、自分がどのように考えたか伝えたいところを途中式で書くようにしましょう。
また、図形は描いて分解が基本です。頭に浮かんでいる図を描いてみると、細部まで気付くことができます。
途中式を書くときは、相手に伝えるためにも、自分で見直しやすくするためにも、丁寧な字で書きましょう。どうやって解いたかをご家族に説明することも、自分の思考を伝える練習になります。
思考力問題は型で解けるようにする
思考力を問う問題は、いきなり解くのは非常に難しいです。過去問に挑戦し、問題に慣れるところから始めましょう。
さまざまな問題文を解いていくと、ある程度の型があることがわかります。表や線分図など、問題によってまとめ方が決まってきます。
初めて見る問題が出てきたら、解き直すときに解説を読みながら条件整理や方針、計算の手順を固定しましょう。
代表的な型はこちらです。
- 表にする(場合の数・規則性・文章題)
- 線分図や面積図(割合・比・速さ)
- 条件を箇条書きにする(長い問題文の整理)
情報を整理すると、使う公式が見えてくるものもあります。
解き直しで確実にその問題をものにする
解けた・解けないで終わらせず、なぜそうしたかを言語化しましょう。答えを言語化し説明するためには、深く理解していなければできません。ご家族に、どうやって解いたかを説明する、答えを見て解法を説明する経験を積むことで、深い理解につながります。
また、試験では試行錯誤して問題を解くことが重要になりますが、過去問や演習問題では、正解しても必ず答えを確認してください。解き方を知っている方が、次回は時間をかけずに問題を解けるようになるためです。
類題で同じ手順を再現できる状態になれば、本番同じ問題が出てきても慌てずに済むでしょう。
算数で点数を取るために、保護者様ができること
難化している算数では、効率的な学習計画が必要になります。保護者様も一緒にお子さまの苦手を洗い出し、重点的に勉強する単元を一緒に確認していきましょう。その上で、対策を考えていくことが大切です。
お子さまの苦手を把握する
まずは、模試などを利用して、お子さまの苦手を把握しましょう。算数は単元によって、得意不得意がはっきりする科目です。
苦手な単元、点数が取れない単元を洗い出し、重点的に勉強するところを絞っていきましょう。
学習計画を立てる
苦手な単元ばかりになってしまうと、得意な単元が疎かになってしまったり、モチベーションを保てなくなったりしてしまいます。得意な単元と苦手な単元を交互に勉強していけるよう、学習計画を立てましょう。
学習計画は、必ずお子さまと一緒に立ててください。お子さまと保護者様がどちらも納得した学習計画を立てられると、モチベーションの低下を防ぐことができます。
家庭だけで難しい場合は、専門家の力を借りることも選択肢に入れる
「苦手な単元と得意な単元の勉強の比率がわからない」「効率的に計画を立てたいけれど、これでいいのか不安が残る」というご家庭には、専門家の力を借りることもおすすめします。
個別指導であれば、お子さまの得意不得意に合わせて勉強を教えてくれます。専門家が立てた勉強計画であれば、保護者様も安心できるのではないでしょうか。
トライの中学受験|算数対策
トライの個別指導なら、お子さまに合わせたオーダーメイドのカリキュラムを作成して算数対策を行っています。図形問題や文章題などの苦手単元の克服から、思考力を問う応用問題への対応まで、お子さまに合わせた学習計画を立てることが可能です。
また、集団塾の授業についていくための補習や、志望校の出題傾向に合わせた過去問対策にも対応可能です。中学受験算数でつまずきやすいポイントを丁寧に解説し、実力がつくようにサポートします。ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
中学受験の算数は、ここ数年で確実に難化しています。思考力や文章題の読解力を求める問題が増え、昔の知識重視の受験勉強では対応しにくくなっています。試行錯誤型の問題を解くには、計算力や思考力を効率的に勉強していくことがポイントとなります。
算数に不安がある場合は、早めに専門家のサポートを取り入れることで、効率良く苦手を克服できます。トライでは、お子さまの理解度や志望校に合わせて、図形問題・文章題・思考力問題など中学受験算数に特化した対策を行います。1対1の個別指導でプロ講師が丁寧に寄り添い、チューターが学習計画をサポートしますので、難しい中学受験算数の壁を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

