和差算は中学受験の算数でよく出題される特殊算と呼ばれる計算です。和差算の問題は仕組みを理解せず「なんとなく」で解けてしまうお子さまもいらっしゃいますが、応用問題や条件が変わると混乱してしまうケースも多いです。算数は中学受験では配点も大きいため、和差算でつまずくと大きな点差につながる可能性もあります。
この記事では、和差算の仕組みと解き方やご家庭での教え方、つまずきやすいポイントをわかりやすく紹介しています。お子さまの中学受験に向けた学習サポートにぜひお役立てください。
和差算とは?和(合計)と差で数量を求める計算式
和差算とは、2つの数量の「和(合計)」と「差」を基に答えの数量を求める計算式です。特殊算の1つとして中学受験でも多く出題されます。
中学受験で和差算が出題されるのは、基礎的な計算力と、与えられた情報を整理できる柔軟な考え方を見るためです。和差算の基本的な解き方を押さえておくと、中学受験で頻出の「割合」「比」「旅人算」など、数量関係を求める単元の学習理解もより深まります。
和差算の解き方2パターン
クラスの合計人数は40人です。
男子は女子より10人多いです。
男子と女子はそれぞれ何人でしょうか?
和差算の解き方は、線分図を書く方法と公式を当てはめる2つの方法があります。上記の例題を使用して、それぞれわかりやすく解説します。
1.和差算の線分図での解き方

まずは、数量の関係をわかりやすくするため線分図を書いてみましょう。長い線(大きい数)と短い線(小さい数)に合わせる2つの方法があります。どちらに合わせても答えは出せますが、問題を解く前に「どちらに合わせた方がより早く簡単か?」を意識して解くようにしましょう。
長い線に揃えるパターン

男子と女子の人数差は10なので、男子の長い線に揃えるために女子の短い線に10を足して、同じ長さにします。
クラスの合計人数は40人なので、
40+10=50が、男子の2倍の数字になります。
結果、
50÷2=25
となり、男子の人数は25人とわかります。
男子の人数がわかったので、合計人数から男子の人数を引くと、
40-25=15
となり、女子の人数は15人となります。
よって答えは、男子25人、女子15人です。
短い線に揃えるパターン

今度は短い線に揃えてみましょう。女子の短い線に揃えるために男子の長い線から10を引いて、同じ長さにします。
クラスの合計人数は40人なので、
40-10=30が、女子の2倍の数字になります。
結果、
30÷2=15
となり、女子の人数は15人とわかります。
女子の人数がわかったので、全体から女子の人数を引くと、
40-15=25
となり、長い線に揃えたときと同様に男子25人、女子15人となります。
2.和差算の公式を使う解き方
小さい方の数=(和-差)÷2
和差算は、公式を使用して解くことができます。先ほどの例題に当てはめて解いてみましょう。
男子の大きい方の数を当てはめると、
(40+10)÷2
=50÷2
=25
男子が25人と出ます。
女子の小さい方の数に当てはめると、
(40-10)÷2
=30÷2
=15
女子が15人と出ます。
ただし、公式の丸暗記はおすすめしません。応用問題が出た時に当てはめ方がわからず、手が止まってしまう可能性があるためです。まずは、線分図を書き仕組みをしっかりと理解した後に公式を覚えましょう。
また、答えが出たら問題の条件に合っているかも必ず確認します。例題は、「男子は女子より10人多い」と記載がありますので、男子25人、女子15人の答えが条件に当てはまります。例えば、差が10にならない、合計が40にならない場合は、答えが間違っている可能性が高いので注意が必要です。
ご家庭で教える際の教え方のコツ
ご家庭で和差算を教える際は、まずはお手本の線分図を書き、お子さまに真似をしてもらいましょう。線分図の書き方に慣れたら、合計や差の数字を変えながら同じタイプの問題を解きます。
さらに、「どちらの数字に合わせたら早く解けるかな?」など、声掛けをするとより効果的です。例えば、最初の例題では「男子と女子はそれぞれ何人でしょうか?」という問いでしたが、「男子は何人でしょうか?」という問題であれば、男子の人数がわかる大きい数に合わせた方が早く答えを出せます。
ご家庭で教えるのが難しい場合や、算数の苦手意識が消えないケースについては、こちらの記事もご参考ください。

和差算の出題パターン
和差算の基本問題と応用問題をご紹介します。
和差算の基本問題
基本問題は、一見難しそうに見えても、線分図を描いて情報を整理すればそれぞれの関係性がより理解しやすくなります。
長さ60cmのひもを切って、AとBの2本に分けます。
AはBより12cm長くなるようにします。
AとBの長さはそれぞれ何cmでしょうか。
A+B=60、A-B=12なので、
A=(60+12)÷2=36cm
B=(60-12)÷2=24cm
【答え】A:36cm、B:24cm
兄と弟の年齢の合計は30歳です。
兄は弟より6歳年上です。
兄と弟の年齢はそれぞれ何歳でしょうか。
兄+弟=30、兄-弟=6なので、
兄=(30+6)÷2=18歳
弟=(30-6)÷2=12歳
【答え】兄:18歳、弟:12歳
1日のうち昼の時間が夜より2時間長いとき、昼の長さは何時間ですか。
昼と夜の和は24時間ですので、
昼=(24+2)÷2=13時間となります。
【答え】13時間
和差算の応用問題
応用問題は、神奈川大学附属中学校や六甲学院中学校など、実際に中学受験で出題された類似問題です。和差算の知識に加えて「数列」や「場合の数」など、ほかの特殊算の考え方も必要となります。
ある4つの整数を小さい順にA、B、C、Dとします。
この4つの整数から2つを選んで足すと、次の6つの数になります。
28、31、37、38、44、47
BとCの差はいくつになるでしょうか。
A+B=28、A+C=31です。Aが共通なので、和の差がそのままBとCの差になります。
31-28=3となります。
【答え】3
重さの異なる4つのボールがあります。
この4つのボールから2つを選んで量ると、重さは次の6通りでした。
1.35kg、1.62kg、1.88kg、1.97kg、2.23kg、2.50kg
最も重いボールは、最も軽いボールより何kg重いでしょうか。
4つのボールの重さを小さい順にA<B<C<Dとします。
A+B=1.35、A+C=1.62、C+D=2.50になるので、AとDの差は、A+C=1.62、C+D=2.50となり、2.50-1.62=0.88となります。
【答え】0.88kg
7で割ると2余る整数を小さい順に並べると、
2、9、16、23、30、……
のようになります。この数列の隣り合う2つの数の和が165になりました。小さい方の整数は、前から数えて何番目でしょうか。
和(合計)は165、隣り合う2つの差は常に7ですので、
大きい方の数は、(165+7)÷2=86
小さい方の数は、(165-7)÷2=79
となり、小さい方の数が79 であることがわかります。
次に79が何番目かを求めます。整列は2から始まり、7ずつ増えているのでN番目の数は2+7×(N-1)で表せます。当てはめると、2+7×(N-1)=79、N-1は77÷7=11になるため、Nは12番目であることがわかります。
【答え】12番目
和差算でよくある気をつけるべきミス
和差算は足し算、引き算、掛け算、割り算の四則演算だけで完結するため一見、簡単と思われがちです。しかし、だからこそ油断して思わぬ計算ミスをしてしまう可能性があります。以下に3つの代表的なミスと対策をご紹介します。
和と差を逆にしてしまう
和差算でもっとも多いミスが、「和」と「差」を逆に使ってしまうケースです。問題文の和と差の数字だけを見て、問題を解こうとするとそのまま気づかずに間違えた答えを出してしまう可能性があります。問題文と答えを照らし合わせ、条件に合わない答えになっていないか確認する癖をつけましょう。
線分図を書かない
基本問題は暗算でも解けてしまうことが多いため、線分図を省略してしまいがちです。しかし条件が複雑になると、線分図が無いと混乱するケースが増えてきます。面倒に感じても、必ず線分図を書いてから式を考える手順を徹底しましょう。
公式だけ覚えて応用で崩れる
公式を丸暗記しているお子さまに多いのが、基本問題はスムーズに解けても、数量が3つ以上になるなどの応用問題で突然手が止まるケースです。公式はあくまで線分図の考え方を式にまとめたものです。「なぜこの計算になるのか?」を線分図で理解しておけば、条件が複雑になっても柔軟に対応できます。公式より先に、和差算の理解を優先させましょう。
トライの中学受験対策
お子さまの算数に不安がある、和差算を理解できていないなど、成績が伸び悩んでいる場合は、プロの個別指導がおすすめです。
トライの中学受験対策では、お子さまの学力と志望校に合わせた完全オーダーメイドのカリキュラムで、算数を苦手科目から得意科目にするお手伝いをします。「線分図がうまく書けない」「公式の丸暗記になってしまう」といったつまずきの原因をプロの講師が的確に分析し、理解できるまで徹底指導します。ぜひ、一度ご相談ください。
まとめ
和差算は「和」と「差」から数量を求める特殊算で、中学受験でよく出題される重要な単元です。解き方は線分図と公式の2つがあります。まずは線分図で数量の関係を正しく理解することを優先しましょう。
また、和と差の取り違えや線分図の省略、公式だけを丸暗記する学習方法は、ミスにつながるため注意が必要です。基礎から応用まで段階的に演習を重ねることで、確実に得点力を伸ばすことができます。
ご家庭でのご指導が難しい場合は、ぜひトライをご検討ください。お子さまの理解度や志望校に合わせた指導で、算数の苦手単元の克服をしっかりとサポートします。

