2025/03/26
2025/04/01

総合型選抜入試の費用・料金完全ガイド|志望校合格までにかかる総額は?

総合型選抜は、受験対策や準備において多岐にわたる費用が発生します。塾や資格取得、課外活動に関わる費用など、特有の費用項目が存在し、それらを計画的に把握することが合格への重要なステップとなります。本記事では、総合型選抜に必要な費用を詳細に解説し、費用対効果を最大化するためのポイントをお伝えします。

総合型選抜での受験までにかかる費用

総合型選抜での受験には多岐にわたる費用が発生します。一般入試では必要とされない総合型選抜特有の項目もあります。以下が費用項目です。

  • 塾の費用
  • 志望学部に沿った専門分野の事前学習の費用
  • 受験出願料および関連費用
  • 模試の受験費用
  • オープンキャンパス参加費
  • オンライン塾の通信料や通塾交通費
  • 資格取得費
  • 課外活動参加費

これらの費用について、以下、大まかな目安となりますが各項目の内容と金額的な目安を解説します。

総合型選抜のために通う塾の費用

選ぶコースや塾の形態によって費用は大きく異なり、年間で約50〜150万円が相場となります。基本的に、高額になるほど指導内容は充実します。

一般的な料金体系は、大まかに以下の形式を把握しておきましょう。

月謝制

特徴:月額固定で定期的に指導を受ける形式。集団授業やグループ授業が多い。
費用:月額約5~7万円前後、年間約60~84万円。

コマ制

特徴:1回ごとの個別指導。小論文や志望理由書の添削、模擬面接が中心。
費用:1コマ(50~60分)あたり約1.5~2万円。必要な分だけ受講可能。

コース(パック)制

特徴:授業、添削、模擬面接がパッケージ化されたプラン。短期集中型や年間プランが選べる。
費用:短期集中コース約10~30万円、長期プラン約50~150万円。

総合型選抜の入試対策では、一般入試以上に「専門塾」の役割が強いと言えます。総合型選抜で合格を勝ち取るために必要な情報は、一般的にはあまり公開されておらず、その情報を最も蓄積しているのは専門塾・専門コースや予備校であるためです。

総合型選抜での合格を目指すのであれば、塾の利用は重要なウエイトを占めます。予算が最も気になるポイントとなるかと思いますが、長期的に心地良く利用できそうかについて見極めることも重要です。

志望学部に沿った専門分野の事前学習の費用

総合型選抜入試は、一般入試のような学力試験は課されないケースが多い一方で、志望学部の専門分野への適性や学習意欲を確認し、入学後の学びをスムーズに進めるために、専門分野の事前学習が事実上求められるケースがあります。

特に志望理由において、入学後にどのような専門研究を行いたいのかをアピールする必要があり、そのためには専門分野に関する一定以上の基礎知識は不可欠であるとも言えます。例えば、法学部であれば法学の基礎知識、経済学部であれば経済学の基礎知識が求められます。この傾向は難関大学になるほど顕著です。

専門分野の学習では、基礎知識を習得する市販の入門書(1冊約1,500~3,000円)に加え、志望大学の出版部門から出版されている書籍や、志望ゼミの教員の著作(1冊約2,000~5,000円)を中心に選定することが重要です。これは、専門分野では研究者や学会によって見解が異なることが多く、志望大学の教育方針に沿った学習を行うことで、面接時の齟齬を防ぐことができるためです。

なお、専門書は入手に時間がかかる場合があります。インターネット書店では絶版書も含めて多くの専門書が入手可能ですが、入試までの限られた時間を考慮すると、早めの準備が不可欠です。

また、併願校が多かったり、学部を横断して出願したりする場合は、さらに必要な専門書籍が増える傾向にあります。そのため、志望大学や学部の要求水準を事前に確認し、計画的に学習準備を進めることが重要です。

受験出願料および関連費用

受験の出願料は、国公立大学は約1万7,000円、私立大学では約3万~3万5,000円が平均的な金額となっています。

異なる複数の入試方式に出願する際は、原則としてその都度費用が発生します。ただし、中堅以下の大学を中心に、特別選抜間や特別選抜と一般選抜にまたがる形で割引制度を設けている場合があります。これらの割引は複数方式に同時出願する場合にのみ適用されることが多いため、出願前の確認が重要です。

例えば、慶應義塾大学の法学部のFIT入試A方式と、同じくFIT入試B方式の両方に出願する際は、合計で約7万円の出願料が必要になります。

【例】
慶應義塾大学法学部 FIT入試 A方式 → 3万5,000円
慶應義塾大学法学部 FIT入試 B方式 → 3万5,000円
合計で7万円の出願料

一方、名古屋外国語大学では、「総合型選抜Ⅰ 英語有資格型」「総合型選抜Ⅱ 国際社会志向型」など8つの試験区分を組み合わせても、割引制度により3万5,000円で出願できます。

【例】
名古屋外国語大学 ネット出願フリーパス
「総合型選抜Ⅰ 英語有資格型」「総合型選抜Ⅱ 国際社会志向型」など、8つの試験区分をどのように組み合わせても、割引制度により3万5,000円

また、平均的な金額ではない出願料の事例としては、音楽大学、医療系大学などが挙げられます。

【例】
国立音楽大学:4万3,000円
産業医科大学:6万円

受験料に加え、受験当日の交通費や宿泊費が必要になる場合もあります。特に遠方からの受験を予定している場合は、これらの費用を事前に把握し、計画的に準備することが重要です。

模試の費用

一般入試と比べると総合型選抜に特化した模試は少ないのが現状ですが、一部総合型選抜の模試が提供されており、提出書類と小論文の2科目で約5,000円、面接まで加わると約9,000円程度です。

その他は専門塾のカリキュラムの中で、検定日が近づいた段階で模擬面接や模擬の講義理解力テストなどの対策が行われる場合があります。カリキュラムの一環として実施される場合もありますが、別途、専門講座として提供される場合は追加の費用が必要になります。

オープンキャンパス参加費

オープンキャンパスへの参加は、総合型選抜入試対策として重要な役割を果たします。大学を訪れることで、カリキュラムや施設の特色を理解し、志望理由書や面接で具体的な志望動機を伝える材料を得ることができます。

また、現地での体験は面接時のエピソードとして活用でき、説得力を高めます。さらに、大学の理念や雰囲気を直接確認することで、自分の適性や希望との一致を判断する良い機会ともなります。

オープンキャンパス自体は基本的に無料で参加できますが、遠方の大学を訪れる際には交通費、宿泊費が発生します。特に遠方の大学へ訪れる際には、往復の交通費や宿泊費がかさむこともあるため、事前に費用の見積もりを立てておくことが大切です。

オンライン塾の通信料や通塾交通費

総合型選抜の対策を進める中で、オンライン塾の利用や塾への通学に伴う付帯費用も事前に把握しておくことが重要です。

■オンライン塾の通信料
多くの家庭では既にインターネット環境が整っているため、特別な費用は発生しない場合がほとんどです。ただし、頻繁にアクセスする場合、スマートフォンを利用する方が利便性が高いこともあります。特に動画や音声ファイルの視聴は通信容量を大きく消費するため、プランの見直しが必要になる場合もあります。

■通塾交通費
塾に通う場合、当然ながら交通費が必要になります。そこまで大きな出費ではありませんが、長期間の通学になるとある程度まとまった額になり、事前にその影響を把握しておくことが求められます。

これらの付帯費用は目立たないものの、長期のスパンで見ると意外に大きな負担となることがあります。オンライン塾と通いの塾のどちらを選ぶ場合でも、こうした費用を含めた全体的なコストの把握を行うことが重要です。

資格取得費

総合型選抜の対策として、資格を取得することは志望理由書や面接でのアピールのための材料として非常に有効です。特に、志望学部の分野に関連する資格を取得することで、大学側に強い熱意や適性を示すことができます。

以下、総合型選抜入試の受験生がよく利用する資格試験の受験料に関する情報を掲載します。(2025年2月段階)

■実用英語技能検定(英検®)(個人申込の場合)

1級 12,500円
準1級 10,500円
2級 9,100円
準2級 8,500円

■TOEIC Listening & Reading Test
7,810円

■IELTS(アイエルツ)
25,380円

■実用数学技能検定(数学検定)

1級 8,500円
準1級 7,300円
2級 6,500円
準2級 5,600円
3級 4,900円

■日本漢字能力検定(漢検)

1級 6,000円
準1級 5,500円
2級 4,500円
準2級 3,500円
3級 3,500円
4級 3,500円
5級 3,000円

資格試験に向けてテキストの購入や対策講座を受講する場合、別途費用が発生します。これらは独学で対応可能な場合もありますが、効率的に合格を目指すためには、講座や教材への投資が必要になることもあります。

資格取得のためのこれらの費用は一見少額に思えるかもしれませんが、複数の資格を取得する場合や、受験を繰り返す場合にはトータルの出費が大きくなることがあります。目指す資格を絞り込み、計画的に準備を進めることが大切です。

課外活動参加費

総合型選抜の対策として、課外活動への参加は志望理由書や面接で強力なアピールポイントとなります。特に、志望分野や大学での学びに関連する活動経験は、大学側にとって重要な評価材料です。ただし、これらの活動には以下のような費用がかかる場合があります。

■活動参加費
課外活動では現地までの交通費や参加費用が発生する場合があります。また、学会やワークショップ、短期研修プログラムに参加する際には、登録料や資料費が必要となる場合もあります。

■質の高いプログラムの活用
一部の塾や予備校では、サーティフィケット(修了証明書)が発行され、難関大学などでも正式な活動として認められるような質の高いプログラムが用意されています。こうしたプログラムに参加することで、活動の質を客観的に証明することが可能になりますが、通常は一定の参加費用がかかります。

■物品購入費
特定の活動に必要な道具やユニフォームなどを購入する場合もあります。例えば、環境保全活動では作業道具、音楽関連の活動では楽器や機材など、分野に応じた準備が必要になることがあります。

■宿泊費・交通費
遠方で行われる活動の場合、交通費や宿泊費が発生します。特に合宿形式の活動や地方でのイベントでは、ある程度のまとまった出費も予想されます。

課外活動への参加は、自身の経験やスキルを深めるとともに、志望大学や学部における適性を示すための絶好の機会です。ただし、こうした活動には一定の費用が伴うため、事前にどのような活動が必要かを見極め、計画的に取り組むことが求められます。

総合型選抜入試の費用・料金 まとめ

総合型選抜の受験では、一般入試とは異なる費用が発生しますが、一方で経済的なメリットもあります。一般入試と比べて併願校数を絞り込めること、早期に入学先が決まることで入学金等の二重払いを避けられること、さらには高校生のうちからアルバイトや大卒レベルの資格取得学習を始められることなど、直接的・間接的な費用節約の要因も存在します。

  • 塾費用:年間約50~150万円
  • 志望学部に沿った専門分野の事前学習費用:約2~9万円
  • 受験出願料および関連費用:国公立約1万7,000円、私立約3万~3万5,000円程度
  • 模試の費用:1回約5,000~9,000円
  • オープンキャンパス参加費:交通費や宿泊費
  • オンライン塾の通信料や通塾交通費:スマホプランの見直しや通学定期代など
  • 資格取得費:受験料や対策費
  • 課外活動費:交通費や参加費、物品購入費など

もちろん、志望する大学や学部、選択する対策方法によって異なるため、自身のケースに合った費用シミュレーションを実施することが重要です。

総合型選抜は費用面での負担が大きい反面、個性や意欲をアピールできる入試形式であり、しっかりと対策を行えば合格の可能性を大きく高めることができます。お伝えした費用・料金の事例を参考に、効率的な対策の実践に役立ててください。

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