大学受験の方法は一般選抜(いわゆる一般入試)だけではありません。近年、多くの大学で「総合型選抜」「学校推薦型選抜」といった特別な入試方式が実施されており、学校推薦型選抜の中には「公募制推薦」と「指定校推薦」が含まれています。これらの入試方式は、学力試験の結果だけでなく、これまでの学業成績や課外活動、志望理由、適性などを総合的に評価する点が特徴です。
これらの入試方式を活用する最大のメリットは、一般選抜よりも早い段階で合格が決まる可能性があることです。特に「指定校推薦」は、条件を満たせば合格する見込みが非常に高いため、大学受験の負担を大幅に軽減できます。また、総合型選抜や学校推薦型選抜は、学力試験だけでは測れない個性や実績を評価してもらえるため、自分の強みを活かした受験が可能です。
しかし、それぞれの入試方式には特徴があり、適切な対策をしなければ十分な成果を得ることはできません。本記事では、「総合型選抜」「学校推薦型選抜」「指定校推薦」の違いを詳しく解説し、それぞれの対策方法について徹底的に紹介します。自分に合った入試方式を見つけ、受験を有利に進めましょう!
総合型選抜とは?
総合型選抜とはどのようなものなのか、まずは試験の概要について詳しくご紹介します。
総合型選抜の概要と特徴
総合型選抜(旧AO入試)は、学力試験だけでは測れない受験生の個性や適性、意欲を総合的に評価する入試方式で、近年多くの大学が導入しています。大学によっては学力試験を課す場合もありますが、基本的には面接や小論文、プレゼンテーション、活動実績の提出などが求められることが特徴です。学びへの意欲や将来のビジョンをどのように描いているかが評価されます。
一般選抜と比べて出願時期が早く、早めに始まる大学もあります。出願や選考のスケジュールは大学によって異なりますが、早期に動くケースが多いため、高2の終わり頃から志望理由の整理や自己分析を始めておくと安心です。
出願条件と求められる能力
総合型選抜の出願条件は大学によって異なりますが、一般的には課外活動の実績、志望理由書の提出などが求められますが、一部高校での学業成績(評定平均)も求められます。また、多くの大学では各種資格・検定試験の合格証明書も評価の対象となります。総合型選抜においては、高校での学業成績が評価の中心とは言い難い場合もあり、これらの資格証明が重要なアピールポイントになることがあります。
求められる能力としては、論理的思考力や表現力、問題解決能力などが挙げられます。特に大学の教育理念や学部の特色に合った志望動機を明確に示し、自分の経験や将来の目標と結びつけることが重要です。
評価のポイント
総合型選抜では、大学ごとに異なる評価方法が採用されます。学力試験を課す場合もありますが、面接や小論文、グループディスカッション、プレゼンテーションなどが主な選考方法です。また、高校時代の活動実績(部活動やボランティア活動、コンテストの受賞歴など)も評価対象となることが多く、「どのように学び、成長してきたか」を自分の言葉で伝える力も問われます。
さらに、大学の教育理念や学科の特徴と自分の将来像がどれだけ一致しているかも重視されるため、大学研究や学びたい分野の明確化が欠かせません。
書類や面接では「なぜその大学で学びたいのか」「入学後にどんな挑戦をしたいのか」を具体的に説明できるよう準備しておきましょう。自分の強みを実績だけでなく、思考力・表現力・探究心といった姿勢面でもアピールできることが、合格への鍵となります。
総合型選抜に向いている受験生のタイプ
総合型選抜に向いているのは、学力試験の成績だけでなく、自分の考えを持ち、主体的な行動力や表現力を持つ受験生です。例えば、特定の分野に強い関心を持ち、研究や活動を積極的に行ってきた人、自分の意見を論理的に伝えられる人、ボランティアや文化祭の企画などに積極的に参加し、自分なりの目的を持って取り組んできた人、将来の目標が明確で大学の教育方針と合致している人などが適しています。また、面接や小論文では自分の考えを論理的に説明する力が求められるため、日頃から文章にまとめたり、人前で話す経験を積んでいる人も強みを発揮しやすいです。
一方で、まだ将来の目標や学びたい分野がはっきりしていない場合でも、「なぜ学びたいのか」を考え、経験を振り返る姿勢があれば十分に準備できます。
総合型選抜は、単に学力だけでなく、意欲や表現力、思考力を評価する入試です。一般選抜よりも「自分らしさ」を評価されるため、自分の強みを活かせる受験生にとって有利な方式です。
学校推薦型選抜とは?
続いて、学校推薦型選抜とはどのようなものなのか、について解説します。
学校推薦型選抜の概要と特徴
学校推薦型選抜は、高校からの推薦を受けて出願する入試方式で、内申点(評定平均)や学校での活動実績が評価されるのが特徴です。一般選抜とは異なり、受験生のこれまでの学習態度や人物面も考慮されるため、総合的な能力が求められます。推薦枠には限りがあり、基本的には高校の成績が優秀で、学校生活を真面目に取り組んできたかが対象となります。また、合格後は「入学辞退不可」の場合が多く、事前に進路をしっかりと考えた上で受験することが重要です。
公募制と指定校推薦の違い
学校推薦型選抜には、「公募制推薦」と「指定校推薦」の2種類があります。公募制推薦は、特定の大学が全国の高校生を対象に募集を行い、高校の推薦を受けた上で出願する方式です。大学によっては評定平均や課外活動の実績、面接・小論文などが求められるため、志望理由や将来の目標をしっかりと伝える準備が必要です。一方、指定校推薦は、大学が特定の高校に対して推薦枠を設け、学校内で選考された生徒が出願できる方式です。評定平均の基準を満たし、学校から推薦を受けることができれば、基本的に合格の可能性が高い点が特徴です。
出願条件と求められる成績基準
学校推薦型選抜の出願条件には、一定の評定平均(例:3.5以上、4.0以上など)が設定されていることが多く、成績優秀な生徒が有利です。特に指定校推薦の場合、大学が各高校に対して評定平均の基準を示しており、その条件を満たしていなければ推薦を受けることができません。また、学業成績だけでなく、部活動や生徒会活動、ボランティア活動などの課外活動実績も評価の対象になることがあります。さらに、学校の推薦を受けるためには、校内での選考をクリアする必要があるため、普段の学校生活での態度や出席状況も重要な要素となります。
評価のポイント
学校推薦型選抜では、主に学校での学業成績(評定平均)や日頃の学習態度、そして次に面接・小論文・調査書の内容が評価されます。特に大学によっては、例えば「評定平均4.3以上」など明確な基準が定められており、出願条件を満たすことが第一歩となります。
面接では、志望理由や将来の目標、高校生活での取り組みなどを問われるため、事前にしっかりと準備することが必要です。特に指定校推薦では、大学側が求める人物像に合致しているかが重要視されます。小論文では、論理的思考力や表現力が問われ、大学の専門分野に関連したテーマが出題されることが多いため、過去の出題傾向を分析し、対策を行うことが望ましいです。また、調査書には高校での成績や活動実績、担任の先生の所見などが記載されるため、日頃の学校生活を大切にし、教員との良好な関係を築いておくことも重要なポイントとなります。
学校推薦型選抜は、「学力+人柄+意欲」を総合的に判断する入試方式です。推薦入試を考えるなら、高1・高2のうちから日々の授業態度や提出物にも意識を向けておくことが合格への近道となります。
指定校推薦とは?
最後に、指定校推薦とはどのような試験なのか、についてわかりやすく解説します。
指定校推薦の仕組みと特徴
指定校推薦は、大学が特定の高校に対して推薦枠を設け、その高校の生徒が推薦を受けて出願する入試方式です。高校の成績や人物評価が重視され、各大学が定める評定平均などの出願条件を満たすことが前提となります。各高校に与えられる枠の数は大学ごとに異なり、評定平均などの条件を満たした生徒が校内選考を経て推薦されます。
通常は校内選考の突破が最大の山場になります。基本的に合格率が非常に高いものの、大学における小論文や面接において不合格となることも全くあり得ない訳ではありません。大学によって実施形態は異なり、校内選考のみで決まり一度も大学に出向く必要がないものもあれば、小論文や面接といった独自試験が形式的に行われる場合や、真に合格者と不合格者をふるい分ける目的で課される場合もあるため注意が必要です。指定校推薦は「高校と大学の信頼関係のもとに成り立つ制度」であり、選ばれた生徒の責任感や態度も重要視されます。
ただし、指定校推薦は基本的に「専願制」で、合格後は必ずその大学に入学する必要があります。合格後の辞退は原則認められないため、慎重な進路選択が求められます。
指定校推薦を受けるための条件
指定校推薦を受けるには、まず大学が指定する評定平均の基準を満たす必要があります。一般的には3.5以上、難関大学では4.0以上が求められることが多いです。特に医学部医学科を中心に、4.3以上の高い基準が設けられる場合もあります。中には「学校長が責任をもって推薦できるレベルのみ」といった、より厳格な基準が要求されることもあるので注意が必要です。
また、学校内での選考が行われ、成績だけでなく、出席率や生活態度、部活動や委員会活動の実績も評価されます。推薦枠には限りがあるため、希望者が多い場合は校内選考で競争が発生し、より成績や実績が優れた生徒が選ばれる仕組みです。
指定校推薦のメリット・デメリット
指定校推薦の最大のメリットは、合格率が非常に高く、一般選抜のような厳しい競争を避けられる点です。ただし、学内選考は周囲の志願者の状況によっては厳しい競争になる可能性が高いことに注意が必要です。実質的に高校3年間にわたる勝負となるので、一概に厳しい戦いを避けられるとは言い難いでしょう。しかし、一般選抜と比べて一発勝負のリスクを回避できる点は大きな利点です。
また、早い時期に進路が決まるため、受験のストレスを軽減できるのも魅力です。一方で、デメリットとしては、合格後の辞退ができず、他の大学を受験できない点が挙げられます。
指定校推薦で失敗しないためのポイント
指定校推薦を活用する際は、まず志望大学の学びや校風が自分に合っているかを慎重に確認することが重要です。合格後の辞退ができないため、安易な選択は避けましょう。また、高校1年次の一学期から評定平均を意識し、学校生活全般において良い評価を得ることが大切です。校内選考では成績だけでなく、出席率や生活態度も考慮されるため、普段の振る舞いにも注意し、教員との信頼関係を築くこともポイントになります。
3つの入試方式の違いを比較
ここまで、総合選抜型、学校推薦型選抜、指定校推薦の3種類の入試方式について解説してきました。それぞれの特徴と、それぞれの試験がどのような方に向いているのか、ご紹介します。
「総合型選抜」「学校推薦型選抜(公募型推薦)」「指定校推薦」の違い
大学受験にはさまざまな方式がありますが、総合型選抜・学校推薦型選抜(公募型推薦)・指定校推薦は、一般選抜とは異なり、学力試験以外の要素も重視される点が特徴です。それぞれの入試方式の違いを以下の表にまとめました。
| 項目 | 総合型選抜 | 学校推薦型選抜(公募型推薦) | 指定校推薦 |
|---|---|---|---|
| 評価基準 | 志望理由、適性、活動実績、小論文、面接など | 成績(評定平均)、面接、小論文 | 成績(評定平均)、学校内選考、面接、小論文 |
| 出願条件 | 特になし(大学により異なる) | 高校の推薦が必要 | 高校の推薦が必要(指定校のみ) |
| 学力試験の有無 | なし、または簡易的な試験 | 大学によってはあり | ほぼなし |
| 合格率 | 競争率が高い | 一般選抜より高め | ほぼ確実(条件を満たせば) |
| 合格後の辞退 | 可能(ただし大学により制限あり) | 原則不可 | 原則不可 |
それぞれの方式で求められる要素が異なるため、自分の強みや受験スタイルに合った方法を選ぶことが重要です。
どの方式が受かりやすい?合格率の数字だけではわからない違い
上記の比較表で示したように、指定校推薦は校内選考を通過すれば合格率が非常に高く、一方で総合型選抜や公募制の学校推薦型は大学ごとの倍率に差があります。ただし、単純に「合格率が高い=受かりやすい」とは言い切れません。
指定校推薦はそもそも校内で限られた枠を得るまでの競争があり、評定平均や日頃の生活態度、活動実績などを総合的に見られます。
一方、総合型選抜は倍率が高いものの、出願書類や面接、小論文の完成度によって学力試験だけでは測れない強みを発揮できる入試です。つまり、「どの方式が受かりやすいか」は本人の得意分野や準備の早さによって変わります。
合格率の数字だけにとらわれず、自分の性格や強みをどの方式で最も活かせるかを軸に選ぶことが大切です。
どの方式が自分に合っているのかを見極めるポイント
自分に最適な入試方式を選ぶには、これまでの成績や得意分野、将来の目標を考慮する必要があります。
総合型選抜が向いている人
総合型選抜は、学力試験よりも意欲や表現力、探究心を重視する入試方式です。
高校での取り組みや課外活動をもとに、自分の個性や考え方をアピールできる人に向いています。
- 学力試験よりも面接や小論文で自分をアピールしたい
- 部活動やボランティア、研究活動などの実績がある
- 自分の適性や将来のビジョンを明確に伝えられる
自分の言葉で考えを発信できるタイプや、早期に進路を決めたい人におすすめです。
学校推薦型選抜が向いている人
学校推薦型選抜は、高校での努力や成績を正当に評価されたい人に向いています。評定平均や日頃の学習態度、出席状況が重視されるため、普段から計画的に学習している人におすすめです。
- 高校での成績が安定している(評定平均3.5以上が目安)
- 遅刻・早退・欠席がほぼないこと
- 面接や小論文の試験があっても問題なく対応できる
- 早めに進路を確定させたい
コツコツ努力を積み重ねるタイプや、一般入試よりも早期に合格を目指したい人に適しています。
指定校推薦が向いている人
指定校推薦は、高校での成績上位者や信頼の厚い生徒が選ばれる入試方式です。高校内での実績と評判が重視されるため、普段の授業態度や人柄も合否に影響します。
- 高校での成績が特に優秀(評定平均4.0以上が目安)
- 遅刻・早退・欠席がほぼないこと
- 確実に大学進学を決めたい
- 志望大学・学部が明確で、合格後の辞退ができなくても問題ない
志望校への意思が固い人や、安定して進路を決めたい人に最も向いています。
どの入試方式を選ぶかによって、受験勉強の方針やスケジュールが大きく変わります。自分の強みを活かせる方法を選び、早めに準備を進めることが成功への鍵となります。
出願から合格までのスケジュール比較
総合型選抜と学校推薦型・指定校推薦は、実施時期や準備期間に大きな違いがあります。それぞれの出願スケジュールを把握し、余裕を持った対策をしましょう。
総合型選抜は夏〜秋にかけて実施
総合型選抜(旧AO入試)は、最も早く始まる入試方式です。6〜7月ごろにエントリーが始まり、9〜11月にかけて面接や小論文、プレゼンなどの選考が行われます。
合格発表が早い大学では、11月中に進路が決まるケースも少なくありません。そのため、高3の春には志望校を固め、自己PR文や志望理由書の準備を早めに進めることが重要です。
学校推薦型・指定校推薦は秋以降が中心
学校推薦型選抜(公募制)は11月以降に実施される大学が多く、合格発表は12月上旬〜中旬に集中します。
指定校推薦は高校内での校内選考が夏〜秋に行われ、大学への正式出願・面接は11月前後というスケジュールが一般的です。
どちらの方式も「高校での推薦手続き」から動き出すため、学校内の募集要項が出たらすぐ確認することが大切です。
準備は高2春〜夏から始めるのが理想
推薦入試はいずれも高校での活動記録や成績が評価対象になるため、早い段階から意識して取り組むことが合格のカギになります。
特に総合型選抜では、探究活動やボランティアなどの実績をどう活かすかが重要です。高2の春〜夏には志望校の傾向を調べ、高3に入る前に準備を始めておくと安心です。早期に対策を始めることで、志望理由書や面接練習にも十分な時間を確保できるでしょう。
選抜方式ごとの対策方法
ここでは、選抜方式ごとの対策方法について解説します。
総合型選抜の対策
総合型選抜では、学力試験よりも自己PRや適性が重視されるため、自分の強みを伝える準備が重要です。自己PRでは、過去の経験や実績を整理し、「なぜその大学・学部を志望するのか」を明確に伝えられるようにしましょう。また、ポートフォリオ(活動実績をまとめた資料)を作成し、具体的な成果を示すことで説得力が増します。面接対策としては、想定質問を用意し、大学の教育方針に沿った回答ができるよう練習することが大切です。
学校推薦型選抜の対策
学校推薦型選抜では、一定の評定平均を満たすことが出願の前提条件となるため、日頃の成績管理が欠かせません。特に主要科目の成績を安定させることが重要ですが、実技科目(音楽、美術、体育など)も決して軽視してはいけません。全科目をバランスよく管理することが大切です。
志望理由書では、単に「行きたい」ではなく、「なぜその大学・学部で学びたいのか」を論理的に説明し、高校での経験と結びつけると説得力が増します。面接対策としては、志望動機や高校での取り組み、将来の目標について明確に話せるよう準備し、模擬面接を行うと効果的です。
指定校推薦の対策
指定校推薦では、校内選考を通過することが最大の関門となります。そのため、高校1年生の一学期から評定平均を意識し、安定した成績を維持することが大切です。また、推薦枠は限られており、希望者が多い場合は競争になるため、成績だけでなく、出席率や生活態度、課外活動の実績も評価の対象になります。普段の学校生活を大切にし、先生との信頼関係を築くことも重要です。早めに希望する大学の推薦枠を確認し、必要な条件を満たせるよう計画的に取り組みましょう。
推薦入試の注意点とよくある失敗例
ここまで、各試験の特徴について解説してきましたが、これらの推薦入試の注意点とよくある失敗例についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
推薦を狙う上で気をつけるべきこと
推薦入試を目指す際は、早い段階から出願条件や選考基準を確認し、計画的に準備を進めることが重要です。特に、評定平均の基準を満たさなければ出願できないため、定期テストの成績管理を怠らないようにしましょう。
また、欠席・遅刻・早退の多さも推薦選考ではマイナス要素になるため、日常の生活態度にも注意が必要です。高校内での信頼が推薦の前提になるため、授業態度や提出物、学校行事への取り組みも丁寧に行いましょう。
推薦を受ける場合は合格後の辞退や、入学後の転学部・転学科が原則認められないため、本当にその大学・学部で学びたいのかを慎重に考える必要があります。面接や小論文の対策を怠ると不合格の可能性もあるため、十分な準備を行いましょう。特に、近年の入試では「志望理由の一貫性」や「自己分析の深さ」も重視される傾向があり、早めの準備が合格率を左右します。
併願できる?専願ルールとの違いを確認
入試方式によっては、ほかの大学や方式と併願できない場合があります。それぞれのルールを理解していないと、思わぬトラブルにつながってしまいます。出願前に「併願」「専願」の違いをしっかり確認しておきましょう。
総合型・公募推薦は併願できる大学が多い
総合型選抜や学校推薦型(公募制)は、他大学との併願を認めている大学が多い方式です。そのため、一般選抜と並行して受験したり、複数の大学に出願したりすることも可能です。
ただし、総合型選抜の中には「専願制」を設ける大学もあります。専願制の場合、合格した時点で入学を確約する必要があるため、出願要項の「併願可否」欄を必ず確認しましょう。
また、併願できる場合でも、面接や小論文の日程が重なるケースがあります。出願前に各大学のスケジュールを照らし合わせ、受験計画を立てることが大切です。
指定校推薦は専願が原則!合格後は辞退できない
指定校推薦は、高校と大学との間で取り決められた「専願制」の入試です。
出願=「その大学に入学する」という確約を意味するため、合格後の辞退は原則として認められません。万一辞退した場合、翌年度以降にその高校が推薦枠を失うこともあり、学校全体に迷惑がかかります。
そのため、指定校推薦を希望する際は「本当にその大学に進みたいか」を慎重に考えることが必要です。志望度の高い大学でのみ利用しましょう。
スケジュール重複や辞退トラブルを防ぐポイント
総合型選抜と学校推薦型・指定校推薦は、秋〜冬にかけて時期が重なるため、併願する場合はスケジュール調整が重要になります。特に面接や発表時期が近いと、入学手続きの締切と重なるケースもあります。
トラブルを防ぐためには、下記のような準備が欠かせません。
- 各大学の出願・試験・発表の日程を一覧で整理しておく
- 「専願」「併願可」の条件を大学公式サイトで必ず確認する
- 不安がある場合は、高校の進路指導担当や塾に早めに相談する
入試方式の違いを正しく理解すれば、安心して出願計画を立てられます。複数方式を併願したい場合やスケジュール調整に不安がある場合は、学校や塾の講師に相談しながら、自分に合った受験プランを立てましょう。
推薦入試受験の注意点と失敗例
推薦入試で合格した後も油断は禁物です。合格発表から入学までの期間が比較的長いため、以下のような失敗例が少なからず存在します。
合格取り消しのリスク
推薦入試合格後に違法行為を行うと、合格が取り消しになる可能性があります。特に指定校推薦の場合は深刻で、高校の次年度以降の指定校枠そのものが廃止になることもあり、出身高校にも多大な迷惑をかけることになります。
また、推薦入試での不正行為や辞退、SNSでの不適切な投稿などが発覚すると、合格が取り消される可能性があります。特に指定校推薦では、辞退や不祥事が高校全体の推薦枠に影響する場合もあります。提出書類の虚偽記載や面接での虚偽発言なども対象となるため、合格後も誠実な行動を心がけましょう。
合格後も高校生としての自覚を持ち、責任ある行動を心がけましょう。推薦合格は「学校と大学の信頼」で成り立っている制度」であることを忘れず、入学までの期間も誠実に過ごすことが何より大切です。
学力低下のリスク
合格後に勉強をおろそかにすると、入学後に大きな困難に直面することがあります。大学の講義は高校とは異なり、より専門的な内容を扱います。合格後ほとんど勉強していなかったために、活字を読んだり講義を聞いたりするだけでも苦痛になり、大学1年の前期から留年の危機に陥るケースも少なくありません。
不合格になった場合のリスクと対応策
推薦入試に不合格になった場合、一般選抜への切り替えが必要になります。しかし、推薦入試の結果が出る頃には一般入試までの期間が短く、十分な学力対策ができていないと不利になる可能性があります。そのため、推薦を受ける場合でも一般選抜を視野に入れ、基礎学力を維持しておくことが大切です。
また、同一年度内に推薦入試で不合格になった大学・学部・学科に一般選抜で合格できるケースは非常に稀です。推薦入試で不合格になった場合は、一般選抜向けの模試も受験した上で、現実的な受験校選びをすることをおすすめします。学校推薦型選抜では他の大学への推薦出願が制限される場合があるため、不合格時の進路についても事前に確認し、柔軟な対応ができるよう準備しておきましょう。
まとめ
総合型選抜・学校推薦型選抜・指定校推薦は、一般選抜とは異なり、学力試験だけでなく、志望理由や高校での成績、活動実績などが重視される入試方式です。それぞれに特徴があり、自分の得意分野や将来の目標に合った方式を選ぶことが成功の鍵となります。
推薦入試を目指す場合は、評定平均の管理や面接・小論文の対策を早めに始めることが重要です。また、推薦での合格後は原則辞退ができないため、本当に志望する大学・学部なのかを慎重に考えましょう。万が一不合格になった場合に備えて、一般選抜の準備を並行して進めることも大切です。
自分に合った入試方式を見極め、計画的に対策を進めることで、志望校合格の可能性を高めることができます。すでに入試方式が定まっている場合は、専門塾に通うことも有効ですが、幅広い進路を考えている場合は、定期テスト対策・一般選抜対策・推薦対策がすべてオールインワンで実施できる塾を選ぶとよいでしょう。
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