中学受験を目指す上で、個別指導の活用を検討するご家庭は少なくありません。個別指導は、生徒一人ひとりの理解度や弱点に合わせた指導が可能であり、苦手克服や学習の定着に大きな効果を発揮します。一方で、費用が高いというイメージを持つ人も多いでしょう。
集団塾では、一斉授業の中で競争意識を高めながら学ぶことができる反面、個々のペースに合わせた指導は難しくなります。その点、個別指導は講師が生徒の学力や性格に応じたカリキュラムを組み、最適な学習環境を提供できる点が魅力です。
この記事では、中学受験における個別指導の相場や、どのようなお子さまに個別指導が向いているかについて詳しく解説します。無理のない形で中学受験を進めるためのご参考にしてください。
個別指導の料金相場
中学受験を視野に入れた個別指導の料金は、塾の規模や指導形態、地域によって大きく異なります。一般的に、個別指導は集団塾よりも費用が高くなる傾向がありますが、そのぶん生徒一人ひとりに最適化された学習プランが提供されます。
ここでは、大手個別指導塾の料金相場や指導形態による違い、地域による価格差について詳しく解説します。
大手個別指導塾の中学受験対策コース料金の相場
大手個別指導塾の料金は、1コマ(授業1回)あたりの単価で設定されることが多く、中学受験を目指す小学生の料金は、週1回で月額10,000円〜15,000円が相場です。学年が上がるごとに授業時間が長くなり、指導内容もより専門的になります。
たとえば、大手個別指導塾では以下のような料金感が一般的です。
学年 | 月額料金の目安 | 備考 |
---|---|---|
小4 | 約10,000~20,000円 | 基礎学力の強化中心。 時間は短め。 |
小5 | 約15,000~30,000円 | 志望校を意識した応用力の養成が加わる。 |
小6 | 約20,000~50,000円 | 志望校別対策が本格化。 授業時間・科目数が増える。 |
※週1回・月4回受講の場合の目安
さらに週に2〜3回受講する場合、月額費用は50,000円〜100,000円程度になるほか入会金(10,000~30,000円程度)や教材費、模試代、季節講習費用などが発生する点も考慮が必要です。
「高い」と感じるかもしれませんが、個別指導の最大の魅力は、お子さまの状況や志望校に合わせて無駄のない学習計画を立てられる点です。特に中学受験では、集団塾のフォローや志望校対策として個別指導を併用するご家庭も多く、ピンポイントでの活用によって費用対効果を高める工夫が可能です。
1対1、1対2など指導形態による料金の違い
中学受験対応の個別指導塾では、「1対1」や「1対2」など指導形態の違いによって料金や指導の濃さが大きく変わります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、お子さまの性格や学習状況に合わせて選ぶことが大切です。
1対1(完全マンツーマン指導)
講師が生徒一人だけを担当する形式で、最も指導の密度が高く、理解度や志望校の傾向に応じて完全にカスタマイズできるのが特徴です。授業中に他の生徒に気を取られることがなく、集中して取り組めるため、基礎から応用までじっくり学びたいお子さまに適しています。
【中学受験での相場】1回あたり 10,000〜20,000円
【特徴】志望校対策や苦手科目の克服に最適。講師の指導力が重要。
1対2
講師が2人の生徒を交互に指導する形式です。それぞれに個別の学習プランはありますが、講師の目が常に自分に向いているわけではないため、集中力が必要になります。ただし、料金は1対1よりも抑えられやすく、費用対効果のバランスを重視する保護者様に人気です。
【中学受験での相場】1回あたり 8,000〜16,000円
【特徴】完全なマンツーマンほどの密度はないが、質問はしやすい。
1対3以上
講師1人が3人以上の生徒を担当するスタイル。個別対応とはいえ、実質的には演習中心の時間が多く、理解が浅い単元では置いていかれるリスクも。中学受験のように出題傾向や記述対策が求められる分野では、やや不向きな場合もあります。
【中学受験での相場】1回あたり 4,000〜10,000円
【特徴】費用は抑えやすいが、フォロー力は指導者次第
中学受験では、「いかに子どもの学力と志望校に合った対策を取れるか」がカギです。そうした意味でも、1対1または1対2の形式が一般的にはおすすめです。とくに6年生になってからは、過去問演習や記述演習の時間が増えるため、集中して学べる環境づくりが結果に直結します。
中学受験における都市部と地方は料金に差がある?
個別指導の料金は、都市部か地方かによっても大きく異なるのが一般的です。中学受験対策に対応した塾を探す際も、地域ごとの価格帯や塾の選択肢には差があるため、あらかじめ傾向を知っておくと安心です。
たとえば、東京・神奈川・大阪といった中学受験の競争が激しいエリアでは、講師の人件費や教室の賃料が高いため、授業料も比較的高めに設定されていることが多くあります。特に、難関校対策に特化した個別指導では、月額で50,000円を超えるケースも珍しくありません。
一方、地方都市では中高一貫校自体が都市部より少ないこともあり、個別指導の選択肢が限られている場合があります。料金は都市部よりも抑えられている傾向がありますが、中学受験に対応していない塾も多いため、指導内容の質や専門性は事前に確認が必要です。
なぜ高い?中学受験の個別指導費用が上がる理由
「個別指導は高い」と言われることがありますが、その背景には明確な理由があります。特に中学受験に対応した個別指導では、指導の質や体制にこだわる塾が多く、それに見合った費用が発生します。
ここでは、主な3つの要因を詳しく見ていきましょう。
講師の人件費(プロ講師と学生講師の違い)
個別指導の料金を左右する最大の要因のひとつが、講師の人件費です。中学受験では、難関校ごとの出題傾向や対策法を熟知した“プロ講師”が求められるケースが多く、その分、指導報酬も高くなります。
大学生の学生講師に比べて、プロ講師は以下のような強みを持っています。
- 志望校別の過去問分析に基づいた指導ができる
- 生徒の性格や弱点に合わせたアプローチが可能
- 長期的な学習計画や併願校対策にも対応できる
この高い専門性が授業料に反映されている点を理解しておく必要があります。
カリキュラムのカスタマイズ費用
中学受験では、目指す学校によって求められる力が大きく異なります。そのため、個別指導では生徒の現状や志望校に応じて、完全にオーダーメイドのカリキュラムを作成します。
- 苦手単元の重点対策
- 志望校の出題傾向に合わせた演習
- 模試の結果を踏まえた戦略の見直し
こうした柔軟な設計には、講師側の準備や分析に時間と労力がかかるため、結果として費用も高くなりがちです。
教室の運営コストと教材費
塾の立地や設備、教材も費用に影響します。特に都市部の教室では、賃料や光熱費が高額になりやすく、それが授業料に反映されることがあります。
また、中学受験に特化した教材は、市販の問題集とは異なり、塾独自に開発・編集されたものも多いため、教材費も比較的高めになる傾向があります。
とはいえ、こうした教材は戦略的に使えば非常に効果的で、受験に必要な知識や解法を効率よく習得できる武器にもなります。
中学受験に対応した個別指導では、「プロ講師による指導」「カスタマイズされたカリキュラム」「受験対策に特化した教材」が組み合わさることで、一定のコストが発生します。
その一方で、これらはお子さま一人ひとりの合格力を高めるための“投資”でもあるという視点も大切です。
工夫次第!中学受験の個別指導費用を抑えるコツ
中学受験に向けて個別指導を検討する場合、「質の高い指導を受けさせたいけれど、家計への負担も気になる…」というご家庭は少なくありません。
実は、個別指導の費用は選び方や使い方次第でコントロールできます。ここでは、中学受験における費用を抑えるための具体的な工夫を3つ紹介します。
複数の塾を比較してトータルコストを見極める
個別指導塾の料金は、塾の規模や指導形態、地域、講師のレベル、教材の質によって大きく異なります。また、授業料とは別に「入会金・教材費・模試代・管理費」などが加算されるケースも多く、月額の授業料だけで判断すると実際の費用感と異なることもあるでしょう。 複数の塾を比較するときは、「月謝」だけでなく「年間の総費用」や「振替制度・キャンペーンの有無」もチェックしましょう。
集団塾と併用して個別は“ピンポイント”に活用
中学受験では、「集団塾+個別指導」の併用がとても効果的です。
- 集団塾で基本カリキュラムと競争環境を得る
- 個別指導で苦手科目や志望校対策を補強する
こうすることで、全科目を個別指導に頼るよりも費用を抑えつつ、学習の穴を埋めることができます。特に、算数や理科の記述問題など「自力ではなかなか理解が進まない単元」に絞って個別指導を受講すると、費用対効果が高くなります。
オンライン個別指導の活用でコスト削減
近年、中学受験に対応したオンライン個別指導塾が増加しており、通塾型に比べて費用が抑えられるケースが多いです。例えば、オンライン塾の授業料は月額3,000円から4,000円程度とされ、通塾型の月額10,000円から20,000円程度と比較して低価格な傾向があります。また、通学時間が不要で自宅で受講できるため、時間的なコストも削減できます。
ただし、オンライン指導の質やサポート体制は塾によって異なるため、事前に無料体験授業を受けるなどして、自分に合った塾を選ぶことが重要です。
すべてを個別指導に任せるのではなく、「必要な場面に絞って活用すること」が、費用を抑えながら成果を出すポイントとなります。
中学受験においてどんなお子さまが個別指導を選ぶべきか
個別指導は、お子さまの理解度や性格、志望校に合わせて柔軟に指導をカスタマイズできる点が最大の魅力です。中学受験においては、「集団塾だけでは伸び悩んでいる」「合格に向けてあと一歩届かない」と感じているご家庭にとって、個別指導は大きな助けになります。
特に、以下のようなタイプのお子さまには、個別指導の活用が効果的です。
成績が伸び悩んでいるお子さま
学習時間を確保しているのにテストの点数が伸びない場合、「勉強の仕方」や「理解の仕方」に課題がある可能性があります。
個別指導では、まずお子さまの弱点やつまずきポイントを丁寧に分析します。その上で、必要な単元だけに絞った指導や、理解度に応じた演習プランを提案するため、効率よく苦手を克服し、成績アップにつなげることが可能です。
集団塾のペースや雰囲気が合わないお子さま
中学受験対策の集団塾は、ハイペースで授業が進むことが多く、一度つまずくとそのまま置いていかれてしまうリスクがあります。
また、質問がしづらい雰囲気や、周囲の目を気にして発言できない性格のお子さまにとっては、学習の遅れが積み重なりがちです。
個別指導なら、授業の進度はお子さまに合わせて調整可能です。その場でわからない点を質問できる環境が整っており、理解を積み上げながら安心して学習に取り組むことができます。
志望校に特化した対策が必要なお子さま
難関中学や特色ある入試問題を出す学校を志望している場合、集団塾の一般的なカリキュラムだけでは対応しきれないことがあります。
個別指導では、志望校の出題傾向を分析し、過去問演習や傾向に合わせた演習・添削・記述対策などを重点的に行うことができます。志望校ごとに必要な力をピンポイントで鍛えられるのは、個別指導ならではの強みです。
このように、中学受験において個別指導は「あと一歩」の課題を埋めたり、「本人に合った方法」で理解を深めたりするための強力な選択肢となります。
まとめ
中学受験を目指すご家庭にとって、個別指導は非常に頼もしい選択肢です。生徒一人ひとりの理解度や志望校に合わせてカリキュラムを柔軟に組み立てられる点で、学習の効率と定着度を高めやすく、成績向上にも直結しやすい学習スタイルと言えるでしょう。
とはいえ、個別指導は集団塾に比べて費用が高くなる傾向があるため、使い方には工夫が必要です。料金相場を把握した上で、集団塾との併用や、苦手科目に絞った活用、オンライン個別指導の導入などを検討することで、費用を抑えながら効果を最大化することが可能です。
また、成績が伸び悩んでいるお子さまや、集団授業のスピードについていけないと感じているお子さま、志望校に特化した対策が求められるお子さまにとって、個別指導は特に有効な手段となります。わからない部分をその場で質問し、着実に理解を深めていくことができる環境は、精神的な安心にもつながります。
塾を選ぶ際には、料金だけでなく、講師の質やサポート体制、カリキュラムの柔軟性といった点も含めて検討することが大切です。お子さまにとって無理のない学習環境を整え、目標に向かって前向きに取り組めるよう、納得できる塾選びを進めていきましょう。
お子さまの学習状況に合わせた個別指導をお求めなら、トライも選択肢のひとつです。無料のご相談も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。