「発達障がいがあると、大学受験は難しいのだろうか」そう不安を感じている生徒や保護者の方は少なくありません。
しかし、発達障がいがあっても大学進学は十分に目指すことができます。
2024年4月の障害者差別解消法改正により、国公立・私立を問わず、すべての大学に対して合理的配慮の提供が義務化され、特性に合ったサポートを受けながら受験・学習に臨める環境が整いました。日本学生支援機構の2024(令和6)年の調査でも、障がいのある学生が全国の大学・短大などに55,510人在籍していることが明らかになっています。
大切なのは、特性を正しく理解した上で、自分に合った大学・入試形式・勉強法を選ぶことです。本記事では、発達障がいのある生徒が大学受験で受けられる合理的配慮や大学選びのポイント・種類別のおすすめ勉強法・保護者にできるサポートまでを解説します。
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この記事の目次
発達障がいがある生徒の大学受験は必ずしも難しいわけではない

発達障がいがあっても、大学受験は乗り越えられない壁ではありません。
日本学生支援機構(JASSO)が公表している「令和6年度 障害のある学生の修学支援に関する実態調査」によれば、全国の大学・短期大学・高等専門学校に在籍する障がいのある学生は55,510人にのぼり、全学生数の1.71%を占めています。
発達障がいのある学生もこの中に含まれており、日本学生支援機構の公表資料によると、11,923人です。すでに多くの発達障がいの学生が、大学などで学位取得を目指している実態があります。
環境面の整備も着実に進んでおり、2024年4月に障害者差別解消法改正が施行され、大学を含む民間事業者に対しても「合理的配慮」の提供が義務化されました。
試験時間の延長や別室受験、口頭による指示の文書化など、特性に応じた配慮を大学側に求められることが法律上明確になったのは大きな前進です。入学後の学習支援体制も整いつつあり、以前と比べて安心して大学進学を目指せる状況になってきています。
また、発達障がいがあること自体が、受験の成否を決めるわけではありません。自分の特性に合った受験戦略を立て、必要な配慮を適切に活用することが、合格への近道です。
参照:令和6年度(2024年度)障害のある学生の修学支援に関する実態調査 | JASSO
発達障がいのある生徒が大学受験で受けられる「合理的配慮」

発達障がいがあっても、受験当日は特性に合わせたサポートを受けながら試験に臨むことができます。2024年4月の障害者差別解消法改正により、国公立・私立を問わず「合理的配慮」の提供が法的に義務化されたためです。
これにより、別室での受験や試験時間の延長など、個々の困りごとに応じた環境調整を大学側に求められるようになりました。配慮は受験当日だけにとどまらず、入学後も継続して受けることができます。
どのような配慮を得られるのか、受験前に把握しておきましょう。
大学受験時の合理的配慮
発達障がいのある受験生は、受験当日には特性に合わせた配慮を受けながら試験に臨めます。大学入学共通テストでは「発達障害」区分の配慮事項として、別室での受験や試験時間の延長(1.3倍または1.5倍)などを申請できます。
申請には、受験上の配慮申請書と医師が記入した診断書(発達障がい関係)、高等学校などでの配慮実績を記載した「状況報告書(発達障がい関係)」の提出が必要です。
大学入学共通テストでは第1期・第2期の申請期間が設けられています。なお、令和8年度大学入学共通テストでは、第1期が7月1日から8月29日、第2期が9月1日から10月3日です。
各大学の個別入試に対しても合理的配慮を申請できますが、対象となる配慮の内容や申請期限、提出書類は大学によって異なります。志望校が決まったら、募集要項の「障がいのある受験生への配慮」欄を確認するか、入試担当窓口に直接問い合わせておくことが大切です。
参照:令和8年度 受験上の配慮案内(PDF形式) | 独立行政法人 大学入試センター
参照:高等学校の入学試験における発達障害のある生徒への配慮の事例|文部科学省
大学入学後の合理的配慮
入学後も、合理的配慮を受けながら学生生活を送ることができます。国公立・私立を問わず、2024年4月の法改正によって配慮の提供が義務化されたため、大学側に申請すれば特性に応じたサポートを受けられます。
具体的には、試験時間の延長や別室受験・授業の録音許可・座席の位置指定などです。大学によっては、学習支援室や障がい学生支援センターを設置し、専任スタッフへの相談体制を整えているところもあります。
とはいえ、どのような配慮をどこまで受けられるかは大学によって異なります。志望校を絞り込む前に、大学の公式サイトで「障がい学生支援」に関するページを確認しておくと安心です。オープンキャンパスや学校説明会では、担当スタッフに直接質問できる機会もあるため、積極的に活用しましょう。
参照:合理的配慮の調整 | 筑波大学アクセシビリティ筑波大学アクセシビリティ
発達障がいの生徒が大学選びで押さえておくべき5つのポイント

合理的配慮の義務化により、発達障がいのある生徒が大学に進学しやすい環境が整ってきました。ただし、支援の充実度や入試形式、カリキュラムの内容は大学によって大きく異なります。
どの大学でも同様のサポートを受けられるわけではないため、学校選びを誤ると入学後に想定外の壁にぶつかってしまうかもしれません。入学してから後悔しないために、事前に押さえておくべき5つのポイントを確認しておきましょう。
- 将来の目標や学びたいことに合っているか
- 得意を活かせる入試形式になっているか
- 大学入学後に必要な支援を受けられるか
- 卒業要件を満たすハードルは高くないか
- 大学が離れている場合は一人暮らしできるか
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
1.将来の目標や学びたいことに合っているか
支援体制の充実度も大切な確認事項ですが、それ以上に「何を学ぶか」「卒業後にどう生きるか」という検討の軸を持つことが、大学を選ぶ上で重要です。
発達障がいのある生徒は、特定の分野に人一倍強い関心を持つケースが少なくありません。自分が本当に学びたいことに向き合える大学を選べば、授業の難しさや人間関係の壁に直面しても、この特性を活かして粘り強く前に進むことができます。
志望校を決める前に「何のために大学へ行くのか」を一度整理しておくことで、入学後のモチベーションが大きく変わってくるのです。
2.得意を活かせる入試形式になっているか
発達障がいのある生徒は、得意分野では高いパフォーマンスを発揮できる一方、苦手科目が大きく足を引っ張ってしまう傾向があります。そのため、全科目でバランス良く得点することが求められる入試では、思うような結果を得られないケースも少なくありません。
ただし、大学・入試形式によっては、受験科目を絞れる場合や、特定科目の配点比率が高い場合もあります。得意分野で勝負できる入試形式を選ぶことが、合格への現実的な近道です。志望校を検討する段階から、入試科目や配点の内訳まで確認する習慣をつけておきましょう。
3.大学入学後に必要な支援を受けられるか
合理的配慮の提供はすべての大学に対して義務化されていますが、支援の充実度は学校によって大きく異なります。入学後に安心して学び続けるためには、受験前に支援体制を確認しておくことが大切です。
確認しておきたいポイントとしては、日常の講義での配慮(録音許可・座席指定など)、定期試験時の別室受験や時間延長、障がいのある学生専用の相談窓口の有無、学習面や生活面をサポートする専任スタッフの配置などが挙げられます。
オープンキャンパスや学校説明会などで担当者に直接質問できる機会があれば、積極的に活用しましょう。支援が手厚い大学を選ぶほど、卒業までのハードルが下がります。
4.卒業要件を満たすハードルは高くないか
大学は入学がゴールではなく、卒業して初めて学位を得られます。入学後に「思っていたよりも必修科目が多い」「グループワーク中心のカリキュラムで苦しい」と気づいても、途中で軌道修正するのは簡単ではありません。
発達障がいの特性によっては、コミュニケーションを多く求められる授業や、短期間に課題が集中するスケジュールが大きな負担になることがあります。大学選びの段階で、必修科目の多さ、卒業に必要な単位数、グループワークの割合、履修の自由度などを確認しておくことが重要です。
長期履修制度を設けている大学であれば、通常より時間をかけて卒業を目指すこともできます。自分の特性に合ったペースで学べるかどうかは、入学前にしっかり見極めておきたいポイントです。
5.大学が離れている場合は一人暮らしできるか
志望校が実家から離れている場合、一人暮らしができるかどうかも大切なポイントです。
発達障がいの特性によっては、食事・睡眠・金銭管理といった日常生活の自己管理に難しさを感じるケースがあります。実家から通学できる大学を優先する選択も、決して消極的な判断ではありません。
一方、現時点で一人暮らしに不安があっても、支援機関を活用して早めにトレーニングを始めれば、大学入学までに基本的な生活スキルを身につけられる可能性があります。
地域の発達障がい支援センターや就労移行支援事業所などでは、日常生活の自己管理を練習できるプログラムを提供している場合があります。通学か一人暮らしかを決める前に、現在の生活力を客観的に把握しておきましょう。
【種類別】発達障がいの特性に合った大学受験の勉強法

発達障がいのある生徒が受験勉強で壁にぶつかる原因の多くは、「努力が足りない」のではなく、「自分の特性に合わない勉強法を続けている」ことにあります。
- ADHD(注意欠如・多動症)におすすめの勉強法
- ASD(自閉スペクトラム症)におすすめの勉強法
- SLD/LD(限局性学習症/学習障がい)におすすめの勉強法
特性に合った方法を選ぶことで、勉強の効率は大きく変わります。種類別におすすめの勉強法を確認してみましょう。
ADHD(注意欠如・多動症)におすすめの勉強法
ADHDの特性として挙げられるのが、集中力維持の困難さと衝動性です。長時間机に向かう勉強スタイルは合わないケースが多いため、「25分勉強・5分休憩」を繰り返す「ポモドーロ・テクニック」のように、短いサイクルで区切る方法が効果的です。
単語の暗記では、声に出しながら歩き回るなど、体を動かす方法が定着しやすい傾向があります。また、やるべき勉強をリスト化して視覚的に管理すると優先順位がつけやすく、スマートフォンなどの気が散る原因を物理的に遠ざけることも集中力の維持に効果的です。
ASD(自閉スペクトラム症)におすすめの勉強法
ASDの特性として、予定外の変化や曖昧な状況に強いストレスを感じやすい点が挙げられます。
勉強においては、毎日同じ時間・同じ場所で学習するルーティンを作ることで、余計な不安を減らして集中しやすくなります。学習計画は紙に書いて目に見える場所に貼っておくと、その日にやるべきことが明確になり、取り組みやすくなるのも特徴です。
また、興味のある科目から学習を始めると集中力が高まりやすいため、得意分野を起点にして苦手科目に橋渡しするなど、学習順序を工夫するのもおすすめです。ルールや体系が明確な科目は、深く掘り下げることで高得点につながりやすい傾向があります。
SLD/LD(限局性学習症/学習障がい)におすすめの勉強法
SLD/LDは「書く」「読む」「計算する」のいずれかに特有の困難が生じる特性で、知的な遅れとは異なる障がいです。デジタル教材や補助ツールをうまく活用して負担を減らすことが、効率的な受験対策につながります。特性ごとに合った方法を選びましょう。
書字障がい(文字を書くことが難しい)の場合は、ノートを取る代わりにタブレットやパソコンに入力する方法が有効です。テキストの音声読み上げアプリを活用すると、書く負担を減らしながらインプットできます。
識字障がい(文字を読むことが難しい)の場合は、耳からの情報を取り込む学習スタイル、たとえば授業の録音や講義動画の活用が効果的です。また、テキストを音声化するアプリの使用や、行間を広くとった見やすい表示への変更も助けになります。
算数障がい(数の概念や計算が難しい)の場合は、数式を図やグラフで視覚化するツールの活用がおすすめです。計算そのものよりも考え方の理解を優先し、電卓など補助ツールを使いながら概念をつかむ学習から始めると負担が軽減されます。
家庭教師のトライでは発達障がいの特性に詳しい教師が完全マンツーマン授業で大学受験を徹底サポート

発達障がいのある生徒の受験対策は、集団授業よりも個別のサポートのほうが向いているケースがほとんどです。家庭教師のトライでは、発達障がいの特性に詳しい講師が完全マンツーマンで指導を行うため、苦手な科目や学習上の困難に合わせてアプローチを柔軟に変えながら学習を進められます。授業のペースや進め方を生徒一人ひとりに合わせて調整できるため、「集団の授業についていけない」「自分のペースで学びたい」というお子さまも、無理なく受験勉強に取り組めます。
ADHDやASD、SLD/LDなど、特性の異なる生徒それぞれに対応した指導を受けられるのも、マンツーマン授業ならではの強みです。大学受験に向けて、お子さまの特性を理解した上での二人三脚のサポートを受けたい方は、ぜひトライにご相談ください。
参照:家庭教師のトライ – 満足度No.1約33万人教師からあなたに最適な家庭教師をご紹介
大学受験を目指す発達障がいの子どもに保護者ができるサポート

発達障がいのある子どもの大学受験は、本人だけでなく保護者の方にとっても不安や悩みが尽きないものです。それでも、抱え込みすぎず、できることに一つずつ取り組むことが結果的に子どもの支えになります。保護者の方にできるサポートは、大きく2つあります。
- 子どもの特性に合った学習環境を整える
- 高校の教師や専門機関を積極的に頼る
できることから少しずつ取り組む姿勢を持ち、お子さまの挑戦を後押ししていきましょう。
子どもの特性に合った学習環境を整える
発達障がいのある子どもは、騒音や光の刺激に対する感覚過敏が集中を妨げる場合や、長時間同じ姿勢での学習に苦痛を感じる場合があります。そのため、まず取り組みたいのが学習環境の整備です。
静かで刺激の少ない勉強スペースを確保する、照明の明るさや椅子の座り心地を調整するなど、小さな工夫が勉強の継続しやすさに直結します。完璧な環境を一気に整えようとせず、子どもの「困りごと」を一つずつ丁寧に解消していく視点が大切です。
高校の教師や専門機関を積極的に頼る
保護者が「うちの子は他の子と違う」という意識を強く持ち続けると、その意識は言葉にしなくても子どもに伝わります。子どもの自己肯定感や自信を育むためにも、保護者自身が抱え込みすぎないことが大切です。
具体的には、高校の担任や進路担当の教師、地域の発達障がい支援センターなど、使える相談窓口は積極的に活用することが重要です。一人で解決しようとせず周囲を頼ることが、子どもへの余裕のあるサポートにつながります。
受験勉強の進め方や志望校選びに悩んだ場合は、発達障がいへの理解がある学習塾や家庭教師に相談するのも一つの手です。家庭教師のトライでは、お子さまの特性を踏まえた上で受験対策を丁寧にサポートしています。まずは気軽にご相談ください。
トライのオンライン個別指導塾では正社員の教育プランナーが志望校選びや適切なサポートについて的確にアドバイス

「何から手をつければいいかわからない」「子どもに合った志望校をどう選べばいいのか」こういった保護者の方の悩みに、トライのオンライン個別指導塾では正社員の教育プランナーが丁寧に向き合います。
お子さまの特性や状況をしっかりヒアリングした上で、必要なサポートを整理し、保護者の方が自信を持って関われるよう、具体的なアドバイスを提供。教育プランナーは最新の受験情報にも精通しており、入試形式や支援体制など多角的な視点から、お子さまに合った志望校選びについても的確に提案できます。
「発達障がいのある子どもの受験をどう支えればいいのか」とお悩みの方は、まずトライにご相談ください。
まとめ

発達障がいがあっても、大学受験は十分に乗り越えることができます。合理的配慮の義務化や支援体制の整備が進み、特性に合った環境で受験・学習に臨める仕組みが整いつつあります。
志望校を決める前に、以下の5つを確認しておくことをおすすめします。
- 将来の目標や学びたいことに合っているか
- 得意を活かせる入試形式になっているか
- 大学入学後に必要な支援を受けられるか
- 卒業要件を満たすハードルは高くないか
- 大学が離れている場合は一人暮らしできるか
特性と向き合いながら、使える仕組みをしっかり活用することが大切です。