「発達障がいがあっても中学受験はできる?」
「子どもに合う学校はどう選べばいい?」
発達障がいの子どもを持つ保護者の中には、中学受験をすべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
進学先の環境が子どもの特性に合わないと、自己肯定感や自信の低下につながることがあるため、学校選びは慎重に行うことが大切です。
本記事では、発達障がいのある子どもが中学受験に挑戦するメリットや、特性ごとの学校選びのポイント、親ができるサポートを解説します。
子どもが前向きな気持ちで通える中学校を選び、受験に向けて計画的に準備を進めたい方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
発達障がいでも中学受験はできる!適切なサポートと学校選びで子どもを支えよう

発達障がいのある子どもでも、中学受験に挑戦することは十分に可能です。
しかし、子どもが安心して中学校に通い続けるためには、発達障がいの特性に合った環境を整える必要があります。
発達障がいの特性がある子どもの中には、小学校での集団生活になじめず、孤独感を味わった人もいるでしょう。そのため、中学受験に挑戦する際は、子どもの特性や強みを理解してくれる学校を選ぶことが大切です。
保護者の方は、子どもの学習を支えるのはもちろん、環境面や精神面でも適切なサポートを行いましょう。
発達障がいの子どもが中学受験に挑戦する3つのメリット

発達障がいのある子どもにとって、中学受験は自分に合った学校や学び方を見つけられる有効な手段です。
ここでは、発達障がいの子どもが中学受験に挑戦するメリットを3つ解説します。
- 子どもの特性に合った環境を選べる
- 入試の際に「合理的配慮」を受けられる
- 中高一貫校では高校受験の必要がなくなる
以下、それぞれのメリットを順に解説していきます。
1. 子どもの特性に合った環境を選べる
発達障がいの子どもが中学受験に挑戦する大きなメリットは、子どもの特性に合った学習環境を選べることです。
発達障がいのある子どもは、その特性によって学習面・生活面でさまざまな困難を抱える傾向にあります。
しかし、私立中学校では、発達障がいの特性に合った柔軟な指導を受けられるため、無理のないペースで学習に取り組むことが可能です。
| ADHD(注意欠如・多動性障がい) | ・短時間で区切って授業を進める ・集中しやすい座席配置を工夫する |
| ASD(自閉症スペクトラム) | ・一日の流れやルールを明示する |
| SLD/LD(限局性学習障がい/学習障がい) | ・音声教材を使って学習を補助する |
なお、中学受験を検討する際は、子ども自身がどのような学校に通いたいのかを事前に確認しましょう。
子どもが主体的に中学校を選ぶことで、勉強に対するモチベーションが高まり、「志望校合格」という体験を通じて自己肯定感の向上にもつなげることができます。
2. 入試の際に「合理的配慮」を受けられる
合理的配慮とは、障がいのある人が社会生活を送る上で障壁となるものを、教育機関などが負担とならない範囲で取り除くために行う対応のことです。
2024年4月の法改正により、私立学校を含む民間事業者にも合理的配慮の提供が義務づけられました。文部科学省も、障がいを理由とする差別の解消に関する対応指針を示しています。
これにより、発達障がいのある子どもは、入試の際に以下のような合理的配慮を受けられます。
- 試験時間の延長や途中休憩
- 別室受験
- 試験会場の事前見学
- 文字拡大やルビの付与
安心して問題に取り組める環境が整えば、子どもも本来の実力を発揮しやすくなり、合格の可能性を高められるでしょう。
合理的配慮の申請方法
合理的配慮を受けるためには、基本的に本人や保護者からの申し出が必要です。
医師の診断書取得は、より適切な配慮を受けるために推奨されますが、法的に必須ではありません。ただし、学校での支援実績がない場合は、診断書が配慮申請の根拠として重要な役割を果たします。
一般的な申請方法は、以下のとおりです。
- 医師の診断書を取得:医療機関を受診し、特性や必要な支援内容が記載された診断書を取得する
- 志望校へ相談:出願前に志望校へ連絡し、どのような配慮に対応できるのか確認する
合理的配慮の申請時に、小学校で受けていた支援内容や、担任教師による記録、支援計画書などを添えると状況が伝わりやすくなります。
また、合理的配慮は入学後も継続して受けることができます。入学後に困りごとが出てきた場合でも対応を検討してもらえるため、早めに志望校へ相談してみましょう。
3. 中高一貫校では高校受験の必要がなくなる
中高一貫校に進学する場合、高校受験の必要がなくなる点も大きなメリットです。
一般的に、公立中学校から高校受験をする場合、学力試験の結果だけでなく、中学校での成績を示す「内申点」も合否に関わってきます。
内申点には提出物や授業態度、忘れ物の有無なども反映されるため、発達障がいのある子どもは、受験で不利になるかもしれません。
一方、中高一貫校に進学すれば、高校受験をせずにそのまま高校へ進めるケースが多く見られます。そのため、6年間を通して自分のペースで学習や学校生活に取り組みやすくなる点がメリットです。
高校受験を意識せずに済むため、精神的な負担を減らしながら、のびのびと学習に取り組めます。
【タイプ別】発達障がいの特性に合った中学校の選び方

発達障がいのタイプによって、最適な学習環境は大きく異なるため、中学受験の際は、子どもの特性に合う学校かどうかを見極めることが大切です。
ここでは、発達障がいの特性に合った中学校の選び方をタイプ別に紹介します。
- ADHD(注意欠如・多動性障がい)|興味を生かせるカリキュラムがあるか
- ASD(自閉症スペクトラム)|明確なルール・少人数の環境で学べるか
- SLD/LD(限局性学習障がい/学習障がい)|学び方に柔軟性はあるか
それぞれのポイントを押さえ、安心して通い続けられる学校を見つけましょう。
ADHD(注意欠如・多動性障がい)|興味を活かせるカリキュラムがあるか
ADHD傾向のある子どもは、興味のあることには高い集中力を発揮しやすい一方で、講義中心の授業では注意力散漫になりやすい傾向があります。そのため、子どもの興味や得意分野を生かせる学校かどうかが重要なポイントです。
たとえば、ICTを活用した双方向型授業はADHDの学習支援に有効とされており、体験型学習や探究学習についても、主体的な学習参加を促す点でADHDの特性に配慮した教育形態として考えられます。
受け身で話を聞くだけでなく、自分で考えたり手を動かしたりできる授業のほうが、集中しやすい子どももいるでしょう。
【学校見学で確認するポイント】
- 授業に体験や対話の要素が含まれているか
- 興味に応じて選べる選択科目があるか
- 1クラスの生徒数は多すぎないか
- 個別対応はどの程度受けられるか
授業の中に体験的な活動や対話が含まれているか、どのくらい個別で対応してくれるかを確認することが大切です。
自分と似た興味を持つ生徒が多い環境であれば、子どもが居場所を見つけやすく、人間関係のストレスやいじめのリスクを減らせる可能性があります。
パンフレットだけで判断せず、実際に学校へ足を運んで授業や生徒の様子を確認し、子どもが楽しく通えそうかをチェックしましょう。
ASD(自閉症スペクトラム)|明確なルール・少人数の環境で学べるか
ASDの傾向がある子どもの学校選びでは、見通しの立つ環境であること、感覚的な負担が少ないことが重要です。
曖昧な指示や急な予定変更が続くと不安を感じやすいため、ルールが明確で、指導方針に一貫性のある学校が向いています。
【学校見学で確認するポイント】
- 時間割や行事予定が事前に共有されているか
- 1クラスの人数が多すぎないか
- 休み時間の廊下や食堂がどのくらい混雑するか
- 自習室など静かに過ごせるスペースがあるか
- スクールカウンセラーに相談しやすい体制が整っているか
感覚過敏がある場合は、教室の照明の明るさや校内放送の音量、昼食時のにぎやかさなども確認しておくと安心です。実際に校舎を歩きながら、子ども自身が落ち着いて過ごせそうか確認しましょう。
また、少人数授業を取り入れている学校を選べば、適切な社会技能訓練と組み合わせることで、対人関係のスキル向上が期待できます。
SLD/LD(限局性学習障がい/学習障がい)|学び方に柔軟性はあるか
SLD/LD傾向のある子どもは、得意なことと苦手なことの差が大きく、全員が同じ方法で学ぶ環境では負担を感じやすくなります。そのため、学校選びでは「苦手な部分を補う工夫があるか」を重視することが大切です。
たとえば、音声教材やタブレットを活用できる学校、試験時間の延長や問題用紙の拡大などの合理的配慮に対応している学校が選択肢になります。
また、「個別の教育支援計画を作成しているか」「見る・聞く・書く・触るなど、複数の感覚を活用した学習方法に対応しているか」も確認しておきましょう。
トライのオンライン個別指導塾では「受験のプロ」である教育プランナーがお子さまに合った進学先を提案

参照:発達特性に寄り添う指導|《公式》トライのオンライン個別指導塾
トライのオンライン個別指導塾では、正社員の教育プランナーが、お子さま一人ひとりの特性や得意・不得意、学習状況を丁寧にヒアリングした上で学習カリキュラムを作成し、最適な進路選びをサポートします。
また、志望校選びだけでなく、受験までの学習計画や苦手分野の克服方法、家庭でのサポートの仕方まで、一貫して相談できる点も特徴です。
発達障がいがある子どもの中学受験で親ができるサポート

親が子どもの特性を理解し、安心して受験に向き合える環境を整えることで、子どもは自分の力を発揮しやすくなります。
ここでは、発達障がいのある子どもの中学受験で保護者ができるサポートを紹介します。
- 本人の「行きたい」という気持ちを最優先に考える
- 子どもの特性や学習スタイルに合った教材を選ぶ
- 集中力が続かない場合は短時間の学習を積み重ねる
- 発達障がいに詳しい個別指導塾・家庭教師を活用する
受験勉強が自信の低下や心身の不調につながらないよう、子どもに合うスタイルを見つけましょう。
本人の「行きたい」という気持ちを最優先に考える
中学校を選ぶ際は、「この学校に行ってみたい」という子どもの気持ちを重視しながら、学校の教育方針、進学実績、通学時間、支援体制などを総合的に判断することが大切です。
保護者の熱意が先行すると、子どもにとって勉強が「やらされるもの」になりやすく、心身に負担がかかることもあります。
受験するかどうかを考えるときは、結論を急がず、日頃の会話の中で子どもの気持ちを丁寧に確かめることが大切です。
たとえば、「どんな学校なら楽しそう?」「どんな中学校なら通いやすそう?」といった聞き方をすると、子どもの本音を引き出しやすくなります。
本人の気持ちがはっきりしない場合や迷いがある場合は、家庭だけで判断せず、担任の教師や主治医、支援者などの意見も参考にしながら話し合うことが大切です。
子どもが自分の意思で挑戦した経験は、たとえ結果が思い通りでなかったとしても、自信や自己肯定感の向上につながるでしょう。
子どもの特性や学習スタイルに合った教材を選ぶ
子どもに合った教材を使うことで、学習への取り組みやすさが大きく変わります。「わからない」という経験が続いている場合は、勉強のやり方だけでなく、教材そのものを見直してみることも大切です。
たとえば、ASDの傾向がある子どもは、図表やイラストが多く、情報が視覚的に整理された教材が向いています。毎日同じ流れで進められる構成であれば、見通しを持ちやすく、安心して学習を続けやすくなるでしょう。
ADHDの傾向がある子どもは、1回分の学習量が短く区切られたスモールステップ型の教材がおすすめです。紙面がシンプルで、少しずつ達成感を積み重ねられるものを選ぶと、集中しやすくなります。
LDの傾向がある子どもは、読み書きの負担が大きいと学習そのものへの意欲を失いやすくなります。音声や動画つきの教材を活用し、聞いて理解できる方法を確保することが重要です。
また、ゲーム感覚で学べる教材や、体験しながら学べる教材は、多くの子どもに取り入れやすい傾向があります。「できた」という実感を積み重ねることが、学習を続ける力につながります。
集中力が続かない場合は短時間の学習を積み重ねる
子どもの集中力が続かない場合は、10〜15分ごとの短時間学習を繰り返す方法を試してみましょう。長時間机に向かわせるよりも、集中できる時間に合わせて区切ったほうが、無理なく学習に取り組みやすくなります。
短時間で学習を終えたら、5分ほど休憩を入れて次の学習に切り替えましょう。休憩中にストレッチをしたり、好きな音楽を聞いたりすると、多くの子どもにとって気持ちを切り替えやすくなります。
また、「何時から何時まで勉強して、そのあと何分休む」といった流れをホワイトボードや紙に書いておくと、子どもが見通しを持ちやすくなります。終わりがわかることで、子どもは不安や抵抗感を減らしやすくなるでしょう。
子どものやる気を高める方法としては、1単元終えるごとにポイントを貯め、スタンプなどの目に見えるご褒美と交換できる仕組みを作るのが効果的です。
ただし、物質的な報酬が中心にならないよう注意しましょう。あくまで達成感を味わうことを重視し、「頑張ったね」と努力を褒めることで、内発的動機づけが育ちやすくなります。
発達障がいに詳しい個別指導塾・家庭教師を活用する
発達障がいの特性に詳しい個別指導塾・家庭教師を活用するのもおすすめです。
集団塾は教室内の人数が多く、周囲の話し声や掲示物など、複数の刺激が存在します。発達障がいのある子どもは、必要な情報と不要な情報を区別する「選択的注意」が難しい傾向があり、刺激が多いほど授業に集中しにくくなるでしょう。
また、集団塾は授業のペースが決まっているため、一度つまずくと、ついていけなくなってしまうこともあります。「わからないまま授業が進む」という経験が続くと自信を失い、勉強そのものが嫌になってしまうかもしれません。
一方、マンツーマン指導であれば、子どもの理解度に合わせて説明を調整したり、集中が切れたタイミングで休憩を入れたりと、柔軟に対応しやすくなります。
指導者を選ぶ際は、発達障がいに関する知識があるか、個別の困難や心理的課題への対応経験があるかも確認しておくと安心です。
家庭教師のトライでは発達障がいに詳しい教師の完全マンツーマン授業で中学受験を徹底サポート

家庭教師のトライでは、発達障がいのあるお子さまへの指導実績がある教師が、完全マンツーマンで授業を行います。
一人ひとりの得意・不得意や理解のスピードに合わせた専用カリキュラムを作成するため、無理のないペースで学習を進められます。
また、教師との相性が合わない場合は無料で交代ができ、個別教室版では何度でも対応が可能です。お子さまが安心して学べる教師を見つけやすく、より効率的に受験勉強を進めることができます。
よくある質問

最後に、発達障がいのある子どもの中学受験に関してよくある質問に回答します。
- 発達障がいであることを中学校に伝えるべきですか?
- 発達障がいで不登校でも中学受験はできますか?
以下、順に見ていきましょう。
発達障がいであることを中学校に伝えるべきですか?
法律上、子どもが発達障がいであることを志望校へ伝える義務はありません。
ただし、入試や入学後に合理的配慮や支援を希望する場合は、子どもの特性について事前に共有しておくことが大切です。
中学校への相談は、出願前の個別相談を活用すると良いでしょう。その際、以下の資料を持参すると、子どもの状況が伝わりやすくなります。
- 医師の診断書や心理検査の結果
- 小学校の支援記録や個別の教育支援計画
- 通知表など日常の様子がわかる資料
たとえば「長時間座っているのが難しい」「読み書きに時間がかかる」など、困りごとや必要な配慮を具体的に伝えることで、学校側も対応しやすくなります。
発達障がいで不登校でも中学受験はできますか?
発達障がいの子どもが不登校であっても、中学受験は可能です。私立中学校の多くは学力試験を重視し、小学校の調査書は参考程度にとどまります。
調査書の提出が必要な学校であっても、不登校になった背景や家庭学習の状況、現在の様子などを個別相談で丁寧に伝えることで、柔軟に対応してもらえる場合もあります。
志望校を選ぶ際は、スクールカウンセラーが常駐しているか、個別対応の体制があるか、困ったときに相談しやすい雰囲気かなども確認しておくことが大切です。
まとめ

発達障がいのある子どもでも、特性に合った学校選びや学習方法を取り入れれば、中学受験に挑戦することは可能です。子どもの特性に合う中学校を選ぶことで、入学後も安心して通いやすくなります。
発達障がいのある子どもの中学受験のポイントは、以下の3つです。
- 学校選びでは少人数制や個別対応、合理的配慮の有無などを確認する
- 実際に学校へ足を運び、授業の進め方や校内の雰囲気を確認する
- 子どもの特性に合った教材や学習方法を選ぶ
子どもに合った学習法を見極めながら、無理のないペースで受験対策を進めていきましょう。