「やりたいことが見つからないのに、どうやって志望校を選べばいいの?」
「周りは医学部や法学部と決めているのに、自分だけ取り残されている気がする……」
進路希望調査票を前にして、ため息をつく高校生は少なくありません。また、そんな我が子を見て「このままで受験を乗り切れるのだろうか」と不安に思う保護者様も多いでしょう。
現代のキャリア教育では、「早期の目標設定」が重要視されています。ただし、それは必ずしも「早くから将来の職業を一つに決めること」を意味しているわけではありません。
しかし実際には、「今のうちに夢や志望職業を決めなければならない」と受け止めてしまい、進路選択に悩む高校生も多く見られます。無理に答えを出そうとすることで、自分の適性や興味を十分に考えないまま進路を選んでしまうこともあります。
本記事では、「将来の夢がない」ことを前提とした、納得感のある大学選びの戦略をご紹介します。そして、迷いの中にある受験生にとって、どのような学習環境が「灯台」としての役割を果たせるのか、その選び方についても深く掘り下げていきます。
この記事の目次
1. なぜ「将来の夢がない」と大学選びが苦痛になるのか?

大学受験は、多くのエネルギーを必要とする長期戦です。そのエネルギー源として「将来の夢(目標)」が推奨されるため、それがない状態は「エンジンなしで走れ」と言われているように感じてしまうのです。
学校や社会からの「目標設定」というプレッシャー
昨今の教育現場では、文部科学省が推進する「キャリア教育」の重要性が高まっています。自分の生き方を考え、社会の中で自立していく力を養うことは素晴らしいことですが、一方で「早く夢を決めなければならない」という強迫観念を生徒に与えてしまう側面も否定できません。
- 「夢がある」=正しい、意欲的
- 「夢がない」=問題、無気力
という二元論に陥ってしまうと、夢がない生徒は自己肯定感を失い、受験勉強そのものへの意欲も低下してしまいます。しかし、実際には「大学に入ってからやりたいことを見つける」という順番でも全く遅くはないのです。
「偏差値至上主義」の罠:目標がないまま選ぶリスク
明確な目標がない場合、多くの受験生は「とりあえず行ける範囲で一番偏差値の高い大学」を選びがちです。もちろん、選択肢を広げるという意味で高い偏差値を目指すのは一つの戦略ですが、そこに「自分の興味の種」が全く介在していない場合、入学後のミスマッチが起こりやすくなります。
文部科学省の調査(令和3年度「学生の修学状況等に関する調査」)によれば、大学を中退する理由として「転学(別の大学へ入り直す)」や「学業不振・学校生活不適応」が上位に挙げられています。
これらは、入試を突破することだけが目的となり、入学後の学びや環境との相性を軽視してしまった結果とも言えるでしょう。
2. 「夢」を「興味・関心の種」に置き換える新しい進路の考え方
「将来の夢(職業名)」を決めようとするから苦しくなるのです。これからは、もっと手前にある「興味・関心の種」を基準にしてみませんか。
「職業」ではなく「学問ジャンル」や「スキル」で選ぶ
「弁護士になりたい」「エンジニアになりたい」という具体的な職業名ではなく、「考えることが好き」「人の役に立ちたい」「文章を書くのが苦ではない」「数字を扱うのが得意」といった、自分の「特性」に注目してみましょう。
- 「人と話すのが好き」 → 心理学、社会学、コミュニケーション学、観光学など
- 「仕組みを知るのが好き」 → 工学、理学、法学、経済学など
- 「なんとなく海外に興味がある」 → 外国語、国際関係学、文化人類学など
このように、自分の特性から「これなら4年間学んでも苦にならなさそうだ」という学問ジャンルを絞り込んでいくアプローチです。
大学での学びは「キャリアの通過点」に過ぎない

現代社会において、大学での専攻がそのまま職業に直結するケースは、医療系や一部の技術職を除いてそれほど多くありません。
例えば、文学部を出て金融機関で活躍する人もいれば、理学部を出てコンサルタントになる人もいます。大学は「特定の職業の訓練所」ではなく、「物事の考え方や問題解決のプロセスを学ぶ場所」です。文部科学省も、特定の専門知識だけでなく、汎用的な能力(ジェネリックスキル)の育成を重視しています。
「この学部を選んだら、一生この道で行かなければならない」という思い込みを捨てるだけで、大学選びの心理的ハードルはぐっと下がります。
3. 夢が決まっていない受験生こそ「個別指導」が向いている3つの理由
目標が明確で、志望校も決まっている生徒であれば、一律のカリキュラムで競い合う集団塾でも効率よく学習できるかもしれません。しかし、「進路に迷いがある」生徒にとっては、個別指導こそが最適な環境となり得ます。
理由1:対話を通じて「言葉にならない興味」を引き出せる
集団塾の授業は、講師から生徒への一方通行になりがちです。一方、個別指導は講師との「対話」が中心です。
「最近、どんな本を読んだ?」「ニュースで気になったことはある?」といった何気ない雑談の中から、生徒自身も気づいていなかった興味の対象が浮かび上がることがあります。
プロの個別指導の講師は、単に勉強を教えるだけでなく、生徒の価値観を引き出す「伴走者」でもあります。この対話の積み重ねが、納得感のある志望校選びのヒントになるのです。
理由2:目標が定まらなくても「今、必要な学習」を最適化できる
志望校が決まっていない時期に、全科目を集団塾のペースで完璧に理解しようとすると、パンクしてしまいます。個別指導であれば、志望校が固まるまでの間、「どの大学に行くにしても必要となる基礎科目(英語・数学など)」に重点を置きつつ、本人の得意を伸ばすという柔軟なカリキュラムを組むことができます。
「まだ決まっていないから、今はここを固めて選択肢を広げる」という戦略的な学習は、一人ひとりの進捗を把握している個別指導だからこそ可能です。
理由3:進路変更に柔軟。集団塾の「固定カリキュラム」との違い
集団塾の授業は、特定の大学群(例:早慶上理、GMARCHなど)に向けた固定カリキュラムに沿って進んでいきます。もし途中で「やっぱり理系から文系に変えたい」「芸術系の学部に興味が出てきた」となった場合、クラス変更が難しかったり、授業の内容が全く合わなくなったりするリスクがあります。
個別指導であれば、本人の心境の変化に合わせて、その日の授業から内容を調整することができます。迷いながら進む受験生にとって、この「機動力」は大きな安心材料となります。

4. 失敗しないための「消去法」と「選択肢を広げる」大学選び
具体的な目標がない場合に役立つ、実践的な大学選びのテクニックを紹介します。
学部選びのポイント:迷ったら「リベラルアーツ系」や「総合政策系」
「入学してから専門を決めたい」というニーズに応える学部が増えています。
- リベラルアーツ(教養学部など): 文理の枠を超えて幅広く学び、3年次から専攻を決める。
- 総合政策・人間科学など: 既存の学問の枠にとらわれず、社会課題に対して多角的にアプローチする。
こうした学部は、「やりたいことを探すための4年間」を肯定してくれる環境です。
環境で選ぶ:キャンパスの雰囲気と「人・支援」
学問内容以外にも注目してみましょう。
- キャンパスの雰囲気: オープンキャンパスに行き、「ここに毎日通っている自分」を想像できるか。
- 学生のカラー: 真面目な学生が多いのか、活動的な学生が多いのか。
- キャリア支援: 夢がない学生に対して、どのような就職支援プログラムがあるか。
「何を学ぶか」が決まらないときは、「どんな環境で過ごしたいか」を優先順位に置くのも、立派な戦略です。
5. 保護者ができる最高のサポートとは
お子さまが「夢がない」と悩んでいるとき、保護者様ができる最も大切なことは、「焦りを見せるのではなく、安心できる相談相手としてふるまうこと」です。
「早く決めなさい」が逆効果になる心理的背景
「早く目標を決めないと、間に合わないわよ」という言葉は、親心からのアドバイスであっても、子どもにとっては「今の自分はダメだ」という否定のメッセージとして受け取られかねません。
心理学では「心理的安全性」という言葉がありますが、家庭が「迷っていてもいい場所」であると感じられるとき、子どもは初めて外の世界(進路)に対して前向きな好奇心を持つことができます。
プロのアドバイザーを「第三者」として介在させるメリット
親子の間では、どうしても感情がぶつかりがちです。そこで、塾の講師という「第三者」の存在が重要になります。
親でも学校の先生でもない「斜めの関係」の大人である個別指導の講師は、客観的なデータ(模試の結果や大学情報)と、日々の授業で見せる生徒の適性を結びつけてアドバイスができます。
保護者様は、そのプロの知見を借りながら、家庭では「最近、勉強頑張ってるね」といった承認の言葉に徹するのが理想的です。

6. 最後は「お子さまの性格」に合った学習環境を選ぼう
これまで個別指導のメリットを中心にお伝えしてきましたが、最も大切なのは「お子さまの性格と現在の状況に合っているか」という視点です。
集団塾と個別指導、どちらが「今のわが子」に必要か?
塾選びに正解はありません。それぞれの特性を理解し、お子さまの「今」の心境に当てはめてみましょう。
| 特徴 | 集団塾が向いている子 | 個別指導が向いている子 |
| モチベーション | ライバルと競い合うことで燃える | 自分のペースで着実に進みたい |
| 学習の進め方 | 決まったカリキュラムに自分を合わせられる | 自分の弱点に合わせて柔軟に組んでほしい |
| 質問のしやすさ | 大人数の前でも、自分から積極的に行ける | 1対1でないと、遠慮して聞けない |
| 進路の決定度 | 志望校が決まっており、対策が明確 | 進路を模索中で、相談しながら進めたい |

もしお子さまが、目標が決まっていないことに不安を感じ、自分のペースでじっくり考えたいタイプであれば、個別指導の方が「精神的な安定」と「効率的な学習」を両立しやすいでしょう。
納得感のある選択が「後悔しない大学生活」の第一歩
「自分で選んだ」という感覚は、大学入学後の学習意欲に直結します。たとえ今は夢がなくても、「この塾の先生と相談して、今の自分が納得できる最善の道を選んだ」というプロセスがあれば、入学後にどんな困難があっても乗り越えていける強さになります。
集団塾で周りのペースに圧倒されて自信を失ってしまう前に、「自分だけの地図」を一緒に作ってくれる場所を探してみてはいかがでしょうか。
まとめ:将来の夢は、大学で見つければいい
「将来の夢がない」ことは、欠点ではありません。それは、あなたが多様な価値観に触れ、これから本当に大切にしたいものを選び取ろうとしている誠実さの表れでもあります。
大学選びに迷ったときは、以下の3点を思い出してください。
- 職業名ではなく、「興味の種」や「自分の特性」を大切にする。
- 迷いがある時期こそ、柔軟な個別指導で「選択肢を広げる勉強」をする。
- 「夢がない自分」を認め、伴走してくれる環境(塾や家庭)に身を置く。
納得のいく進路選択は、偏差値の数字だけでは測れません。一人ひとりの個性と向き合い、対話を通じて答えを探していく時間は、受験勉強と同じくらい価値のあるものです。
まずは、お子さまの「今の気持ち」をプロに話してみませんか?
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