• TOP
  • 受験情報
  • 「進路が決まらない」高校生に親ができることは?焦りを安心に変え、自発的な選択を促すための「親の伴走術」

「進路が決まらない」高校生に親ができることは?焦りを安心に変え、自発的な選択を促すための「親の伴走術」

「進路が決まらない」高校生に親ができることは?焦りを安心に変え、自発的な選択を促すための「親の伴走術」

「もう高3なのに、やりたいことが何もないと言っている」

「志望校が決まらず、勉強に身が入っていないようで焦る」

「親がアドバイスしても、うるさがられて会話にならない」

受験を控えたお子さまを持つ保護者様にとって、お子さまの「進路が決まらない」という状況は、自分のこと以上に胃が痛くなるような悩みかもしれません。周りのお友達が次々と志望校を決め、オープンキャンパスに足を運んでいる話を聞けば、焦燥感は募る一方でしょう。

しかし、まずお伝えしたいのは、「進路が決まらない」ということは、決してお子さまが怠慢であるわけではないということです。むしろ、自分の将来という「正解のない問い」に対して、ごまかさずに立ち止まり、真剣に悩んでいる証拠でもあります。

現代は、ひと昔前のように「有名な大学に入って大企業に就職すれば一生安泰」という単純な正解が通用しない時代です。選択肢が無限に広がり、社会が激しく変化する中で、10代の若者が自分の進むべき道を一つに絞り込むのは、私たちが想像する以上に勇気とエネルギーを要する作業なのです。

本記事では、最新の教育動向や心理学的知見を踏まえ、保護者様がお子さまの「焦り」を「納得感」へと変え、自発的な一歩を引き出すための具体的な関わり方について深く掘り下げていきます。

なぜ今、高校生は「進路」を決められないのか

お子さまへの接し方を考える前に、まずは「なぜ今の高校生が進路選択にこれほどまで悩むのか」という背景を理解しておく必要があります。

心理的要因:失敗を恐れる「タイパ」重視の世代

現代の高校生は、デジタルネイティブとして常に膨大な情報に触れています。SNSを通じて他者の成功や失敗を可視化しやすい環境にいるため、「最短ルートで正解に辿り着きたい」という欲求が強く、逆に「失敗して時間を無駄にしたくない(タイムパフォーマンスの悪化)」という恐怖を抱きやすい傾向があります。

「一度学部を決めたら、もう別の道には行けないのではないか」「もし選んだ道が自分に合っていなかったら、人生が台無しになるのではないか」という過度なプレッシャーが、決断を先延ばしにさせる要因となっています。

環境的要因:AIの台頭と「10年後の正解」が見えない社会

文部科学省が推進する「Society 5.0」や、昨今の生成AIの急速な普及により、既存の職業の多くが数年後には姿を変えると言われています。保護者世代が知っている「安定した職業」の定義が崩れつつある中で、お子さまたちは「何を学べば生き残れるのか」という不安の中にいます。

入試制度の変化:問われる「主体性」と年内入試の一般化

令和以降の大学入試改革により、かつての「一般入試一辺倒」から、「総合型選抜(旧AO入試)」や「学校推薦型選抜」の枠が大幅に拡大しています。令和5年度の文部科学省「学校基本調査」等のデータによれば、私立大学のみならず、大学入学者の半数以上がこれらの選抜方法を利用して入学しています。

これらの入試では、「なぜこの大学で学びたいのか」「将来どう社会に貢献したいのか」という強い動機(主体性)が問われます。この「自分自身の物語」を作らなければならないという要請が、まだ自己が確立していない高校生にとって大きな壁となっているのです。

【保護者向け】ついやってしまいがちな「逆効果」な接し方

お子さまの将来を想うがゆえの言動が、皮肉にもお子さまの思考を停止させてしまうことがあります。以下のような接し方に心当たりはありませんか?

「早く決めなさい」という催促

保護者様の焦りからくるこの言葉は、お子さまにとっては「早く私を安心させて」というプレッシャーにしか聞こえません。追い詰められたお子さまは、深く考えずに「とりあえず名前を知っている大学」や「今の成績で入れる学部」を選んでしまうことがあります。これは、大学入学後のミスマッチや中退のリスクを高める「後悔の選択」に繋がります

成功体験の押し付け

「お父さんの時はこうだった」「先生の言う通りにしていれば間違いない」といった、過去の成功モデルを基準にしたアドバイスは、現代の複雑な社会状況にはそぐわない場合が多いです。お子さまは「自分の悩みは理解されていない」と感じ、心のシャッターを閉ざしてしまいます。

「あなたの成績じゃ無理」という否定

現実的な学力との乖離を指摘したくなる気持ちはわかりますが、可能性を頭から否定することは、お子さまの「探索意欲」を根こそぎ奪います。進路選択において最も重要なのは「自分がどうなりたいか」というエネルギーです。学力の壁は、目標が決まった後の「戦略」の段階で考えるべき課題です。

令和時代の進路トレンドと、親が知っておくべき「新常識」

進路指導の現場は今、大きな転換期を迎えています。保護者様が持つ「常識」をアップデートすることで、お子さまへの視線が少し優しくなるかもしれません。

「学歴」から「学習歴」へ

今の社会で重視され始めているのは、「どこの大学を出たか(学歴)」よりも「大学で何を学び、どのようなスキルを身につけ、どう行動したか(学習歴)」です。文部科学省の「中央教育審議会」の答申でも、大学教育の質の転換が強調されています。

つまり、第一志望の大学に落ちたとしても、あるいは少し遠回りをしたとしても、そこで何に打ち込むかによってキャリアはいくらでも切り拓ける時代になっています。この「リカバリー可能である」という視点を持つことが、親子双方の安心感に繋がります。

「やりたいこと」は自発的なアクションの先に現れる

「やりたいことがない」と悩むお子さまに対し、「無理に今見つけなくてもいい」と言ってあげる勇気を持ってください。実際、社会で活躍している大人の多くも、最初から今の仕事を志していたわけではありません。

ここで重要なのが、スタンフォード大学のクランボルツ教授が提唱した「計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)」という考え方です。

この理論では、キャリアの8割は偶然の出来事によって決定されるとされています。しかし、それは単に「棚からぼた餅」を待つことではありません。自分から積極的に「新しいことに取り組む」「場所に足を運ぶ」といったアクションを起こすことで、より良い偶然を引き寄せやすくするというスタンスが重要です。

今興味がある小さな「点(アクション)」を自ら作りに行くことで、それらが大学生活や社会人経験を通じて繋がり、後から「やりたいこと」という「線」になっていく。まずは小さな一歩を踏み出すことを、親子で肯定してみましょう。

お子さまの本音を引き出す「親子の対話」5つのルール

進路が決まらない時期の親子コミュニケーションにおいて、最も重要なのは「何を言うか」ではなく「どう聞くか」です。

「聴く」が8割、アドバイスは求められた時だけ

心理学で言われる「アクティブ・リスニング(積極的傾聴)」を意識しましょう。お子さまが「何となく不安なんだよね」と言ったら、「何が不安なの?」と聞き返すのではなく、「そっか、不安なんだね」とそのまま受け止める(オウム返し)。これだけで、お子さまは「ここは否定されない安全な場所だ」と感じ、本音を話し始めます。

オープン・クエスチョンを活用する

「大学へ行くの?」といった「はい/いいえ」で答えられる質問(クローズド・クエスチョン)は、尋問のような印象を与えます。「最近、どんなニュースが気になった?」「今の勉強の中で、まだマシだなと思える科目は何?」といった、答えに幅がある質問(オープン・クエスチョン)を投げかけることで、お子さまの思考を優しく刺激します。

情報の「運び屋」に徹する

保護者様が直接説得するのではなく、外部の情報をお子さまの目に入りやすい場所に「置いておく」のが効果的です。

「この大学、あなたの好きなプログラミングの設備がすごいらしいよ」といった情報を、押し付けがましくなく伝えます。SNSで受験生向けに発信している情報を共有するのも、現代のお子さまには馴染みやすい方法です。

進路決定をサポートする「具体的なアクションプラン」

焦りを解消するためには、小さな「行動(アクション)」を積み重ね、良い偶然を招く土壌を作ることが一番の薬です。

興味の種を「自発的な行動」に変える

お子さまが「ゲームが好き」なら、ただプレイするだけでなく「ゲーム制作の体験ワークショップに申し込んでみる」「ゲーム業界の裏側を解説する本を読んでみる」といった、一歩踏み込んだ行動を促してみましょう。このアクション自体が、将来の進路を決定づける「良い偶然」を招くきっかけになります。

オープンキャンパスを「視察旅行」にする

「進路を決めるために行く」と意気込むと重荷になります。「ちょっと学食を食べに行ってみよう」「きれいな図書館を見に行こう」といった軽い気持ちで足を運ぶ機会を作ってください。実際のキャンパスの空気感を感じることは、偏差値表を眺めるより100倍の情報量があり、お子さまの心に変化を生む可能性があります。

資金面の情報をオープンにする

意外と多いのが、「親に経済的な負担をかけたくないから、本当に行きたいところを言えない」という優しいお子さまです。

「国立でも私立でも、ここまでは応援できる」「奨学金という選択肢もある」という家計の方針を、ある程度の段階で伝えておくことは、お子さまが安心して選択肢を広げるための土台となります。

まとめ:保護者の心のゆとりが、お子さまの背中を押す

「進路が決まらない」という状況は、お子さまの人生における「根っこ」を伸ばしている時期です。地上に芽が出ていないからといって、無理に引っ張り上げても逆効果です。

保護者様にできる最大のサポートは、「あなたがどんな道を選んでも、私たちはあなたの味方である」という揺るぎない安心感を与えることです。その安心感があってこそ、お子さまは初めて「失敗するかもしれないけれど、アクションを起こしてみよう」という勇気を持つことができます。

進路決定は、たった一度の正解を選ぶイベントではありません。選んだ道を、自らの行動で「正解にしていく」力のほうが、これからの時代は重要です。

どうか、お子さまと一緒に未来を不安がるのではなく、どれだけ面白い未来を「自分たちで引き寄せられるか」を一緒に面白がる、そんな伴走者でいてあげてください。

個別指導塾の専門性を活用した進路サポート

記事をお読みいただき、ありがとうございます。お子さまの進路について「家庭内だけでは限界がある」と感じられた際は、ぜひ一度、プロの視点に頼ってみてください。

個別指導の現場では、単に勉強を教えるだけでなく、以下のようなサポートを通じてお子さまの「進路決定」に伴走しています。

  • 1対1の対話によるアクションの促進: 講師との会話から興味の種を見つけ、それを「調べてみる」「見に行ってみる」といった具体的な行動に繋げられるよう背中を押します。
  • 最新の入試データに基づく戦略提案: 半数以上が利用する推薦・総合型選抜から一般入試まで、全体像を捉えた最適な戦略を提案します。
  • メンタル面のバックアップ: 親子間では感情的になりがちな進路の話も、専門家が介在することで冷静かつ前向きに整理できます。

「まだ何も決まっていない」という段階でのご相談こそ、お子さまの可能性を広げるチャンスです。

まずは「無料進路カウンセリング」で、お子さまの未来の種を一緒に探してみませんか?

出典参照:

  1. 文部科学省「令和5年度学校基本調査」
  2. 文部科学省 中央教育審議会 答申
  3. J.D.クランボルツ「Planned Happenstance Theory」