通信制高校への進学や転入を検討する際、保護者様が最も直面する不安は「本当にうちの子が、自分一人で卒業まで辿り着けるだろうか」という点に集約されます。全日制高校のように「毎日登校すれば、自然と卒業が見えてくる」という仕組みではない通信制において、卒業という目標は、戦略的な学習管理と適切な周囲のサポートがあって初めて達成されるものです。
現在、文部科学省の統計でも通信制高校を選択する生徒数は右肩上がりに増加しており、教育の選択肢として一般的になりつつあります。しかし、その一方で「卒業率」の実態については、正しく理解されていない側面も多く存在します。
本記事では、通信制高校の卒業率にまつわるデータの裏側を解き明かし、卒業を阻む具体的な「壁」の正体を特定します。その上で、個別指導や家庭教師というプロの力を借りることで、どのようにお子さまの可能性を最大化し、確実に高卒資格を取得し、その先の大学進学や社会進出へと繋げていけるのかを、徹底的に解説します。
この記事の目次
通信制高校の「卒業率」の現状と全日制との違い
通信制高校の卒業率を語る上で、まず押さえておくべきは「公立」と「私立」の圧倒的な差、そして「3年での卒業」にこだわるか否かという視点です。
公的な統計データから見る現実
令和5年度の文部科学省「学校基本調査」によると、通信制高校の生徒数は約26万5千人を記録し、高校生全体の約12人に1人が通信制を選択している計算になります。しかし、卒業率(3年での卒業)を詳しく見ると、全日制が95%以上であるのに対し、通信制全体ではその数値は下がります。
特に顕著なのが設置主体別の差です。公立の通信制高校では、3年間の卒業率が40%〜50%程度に留まることも珍しくありません。
これは公立は「自律した学習」を前提としており、手厚いフォローアップよりも個人の裁量に任せる部分が大きいためです。一方で、私立の広域通信制高校(サポート校を併用する場合を含む)では、卒業率が90%を超える学校も多く存在します。
「卒業」の定義と単位制の柔軟性
通信制高校は「学年制」ではなく「単位制」です。全日制であれば、1年生で単位を落とせば「留年」となり、同じ学年をやり直すことになりますが、通信制には留年という概念がありません。
修得した単位は積み上げられ、合計74単位に達した時点で卒業となります。
このため、あえて3年にこだわらず、アルバイトや趣味、あるいは体調療養と並行しながら4年、5年かけて卒業する生徒もいます。統計上の「卒業率」が全日制より低く出るのは、こうした「自分のペースで学ぶ生徒」が存在するためであり、必ずしも「中退者が多い」というネガティブな理由だけではないことを知っておく必要があります。
卒業を阻む最大の要因は「学習の孤独」
通信制で中退を選んでしまう生徒の多くが口にするのは、「勉強が難しかった」という理由よりも、「何をすればいいかわからなくなった」「孤独に耐えられなかった」という精神的な障壁です。
全日制では、朝のHRがあり、チャイムが鳴れば授業が始まり、周りには同じ課題に取り組む友人がいます。しかし通信制は、朝起きてから寝るまで、いつ、どこで、どのレポートをやるかはすべて本人次第です。
この「過度な自由」が、自己管理が未発達な10代のお子さまにとって、時に重い足枷となってしまうのです。
なぜ通信制高校の卒業は「難しい」と言われるのか?3つの大きな壁

通信制高校の卒業要件は、大きく分けて「レポート(添削指導)」「スクーリング(面接指導)」「単位修得試験」の3つ、そして「特別活動(30時間以上)」です。
これらは決して高いハードルではありませんが、独力で進める場合には以下の3つの壁が立ちはだかります。
レポート(添削指導)の壁:溜まる課題と消える自信
レポートは、教科書の内容に沿った確認テストのような形式が一般的です。1科目につき年間数回から十数回の提出が求められます。
多くの生徒が陥るのが、「一度提出が遅れると、取り戻せなくなる」というスパイラルです。
- 基礎学力の不足: 中学校時代に不登校を経験した生徒の場合、高校の教科書を読んでも「そもそも言葉の意味がわからない」という状況が発生します。
- 記述式への抵抗: 自分の考えを述べる設問や、長文の解答を求めるレポートに対し、書き方がわからず手が止まってしまいます。
- 期限管理の不在: 夏休み最終日に宿題を慌ててやるのとは訳が違い、通信制のレポートは年間を通じて計画的に提出しなければ、スクーリングや試験の受験資格を失ってしまいます。
スクーリングと単位修得試験の壁:心理的ハードルと実力の乖離
スクーリングは、学校に直接登校して対面授業を受けるプロセスです。
- 対人不安: 集団の中に入ること自体に強いストレスを感じるお子さまにとって、慣れない校舎へ行くスクーリングは最大の難関となります。
- 試験への恐怖: レポートをなんとか提出できても、その内容が定着していなければ、単位修得試験(テスト)で合格点を取ることができません。不合格になれば、その単位を翌年以降に持ち越すことになり、卒業が遠のいてしまいます。
モチベーション維持の壁:生活リズムの乱れと「目的」の喪失
学校という場所との接点が希薄になると、昼夜逆転の生活に陥りやすくなります。
- 「明日やればいい」の積み重ね: 強制力がない環境では、ついつい楽しいこと(ゲーム、SNS、動画視聴)を優先してしまいます。
- アイデンティティの揺らぎ: 自分が「高校生である」という実感を持てなくなり、将来に対する希望を失ってしまうことが、学習意欲を減退させる根本的な要因となります。
卒業率を劇的に変える「個別指導・家庭教師」の活用メリット

これらの「壁」は、お子さま一人の力、あるいはご家族だけのサポートで乗り越えるには非常に高く、険しいものです。そこで重要になるのが、通信制高校の学習システムを熟知したプロによる個別指導です。
メリット1:生活リズムに合わせた「マイルストーン」の設置
個別指導の講師は、単に勉強を教えるだけではありません。お子さまの体調や気分を考慮しながら、「今週はこのレポートを2枚終わらせよう」「今日は教科書を5ページ読もう」という、手の届く範囲の小さな目標(スモールステップ)を設定します。
この「できた」という成功体験の積み重ねが、生活リズムを整え、学習を習慣化させる最強の薬となります。
メリット2:中学校レベルからの「遡り(さかのぼり)学習」の実施
通信制のレポートを自力で解けない原因の多くは、高校の内容そのものではなく、中学校までの基礎が抜けていることにあります。
個別指導であれば、プライドを傷つけることなく、「ここ、中2の数学でやった内容と繋がっているよ。少し復習してみようか」と、必要に応じて遡って指導できます。基礎が固まることでレポート作成のスピードは劇的に上がり、本人の負担感も軽減されます。
メリット3:レポート作成を「対話」に変える
一人で教科書を黙読するのは苦痛ですが、講師と対話しながら進める学習は「対人関係のトレーニング」にもなります。
「この問題はどう思う?」「著者はここで何を伝えたいのかな?」といった問いかけに対し、自分の言葉で答える練習を重ねることで、記述式のレポートもスラスラと書けるようになります。また、講師がレポートの「正解」だけでなく「解き方のプロセス」を褒めることで、お子さまの自己肯定感は着実に育まれます。
メリット4:スクーリングや試験への「予行演習」
スクーリングでどんな授業が行われるのか、試験ではどのような問題が出るのか。不安を抱えるお子さまに対し、講師が事前にシミュレーションを行います。
「試験ではこの範囲が出るから、ここを重点的に復習しよう」「スクーリングではこんな雰囲気の授業が行われるはずだよ」という具体的な見通しを与えることで、お子さまの心理的負担を最小限に抑え、欠席や不合格を防ぎます。
卒業の先にある「進路」―大学進学率は上昇傾向

通信制高校の卒業資格は、全日制高校の卒業資格と法的に全く同等です。近年、通信制から大学へ進学する道は、特別なことではなく「当たり前の選択肢」になりつつあります。
最新の進路統計とポテンシャル
文部科学省の令和5年度調査では、通信制高校卒業後の大学等進学率は約27%となっています。さらに、専門学校への進学(約24%)を合わせると、半数以上の生徒が卒業後に高等教育機関へ進学しています。
注目すべきは、令和6年度の共通テスト志願者数約49万人の中に、通信制高校出身者が数万人規模で含まれているという事実です。通信制は「学校に行けない子のための場所」から、「自分のやりたいことと学業を両立させるための場所」へと進化しています。
通信制の「時間」を武器に変える受験戦略
全日制の生徒は、平日の日中(約7〜8時間)を学校の授業に拘束されます。一方で、通信制の生徒はこの時間をすべて自分のために使えます。
- 効率的なダブルスクール: 午前中にレポートなどの卒業要件を最小限のエネルギーで終わらせ、午後のすべてを個別指導での大学受験対策に充てることができます。
- 特定科目の深掘り: 志望校に必要な科目(英語や国語など)だけに特化して学習を進めることが可能です。これは全日制では不可能な「特化型戦略」です。
総合型選抜(旧AO入試)での圧倒的な強み
近年の大学入試において、定員の約半数を占めるようになっているのが総合型選抜や学校推薦型選抜です。
通信制に通う生徒は、「なぜ通信制を選んだのか」「空いた時間で何に取り組んだのか」「挫折からどう立ち直ったのか」という独自のストーリーを持っています。
個別指導では、これらの経験を言語化し、志望理由書や面接でのアピール材料へと昇華させる「自己分析サポート」も行います。画一的な全日制の生徒にはない、強烈な個性を武器に難関大学への合格を勝ち取ることが可能です。
【保護者様へ】お子さまの「卒業」を支えるために家庭でできること
通信制高校での学びを成功させるためには、ご家庭の環境づくりが欠かせません。しかし、それは「親が勉強を教える」ということではありません。
- 「監視者」ではなく「応援団」になる: レポートの進み具合をチェックする際、「まだこれだけ?」と詰問するのではなく、「今日はここまで進んだんだね」と事実を認めてください。
- 生活環境の整備: 無理に早起きを強要するのではなく、まずは三食をしっかり摂る、決まった時間に講師と会う、といった「緩やかなルーチン」を大切にしてください。
- 第三者を介在させる勇気: 親子間での学習指導は、どうしても感情がぶつかりがちです。「勉強のことは先生に任せているから大丈夫」というスタンスを持つことで、親子の会話から刺々しさが消え、家庭が安らげる場所(安全基地)になります。
通信制高校は、新しい未来を作るための「滑走路」
通信制高校の卒業率は、決して「本人のやる気」だけで決まるものではありません。それは、お子さまという機体が飛び立つための「滑走路(サポート環境)」がいかに整備されているかで決まります。
レポート提出、スクーリング、試験対策、そして将来の進路選び。これら全てのプロセスにおいて、一人で悩む必要はありません。
個別指導や家庭教師という「教育のプロ」が隣に座ることで、卒業という目標は確実なものとなり、その先の大学進学や社会進出という広い空へと飛び立つことができるのです。
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引用・参考文献:
- 文部科学省「令和5年度学校基本調査」
- 文部科学省「令和6年度大学入学者選抜に係る志願者数等について」
- 文部科学省「通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議資料」
- 文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」