「他の教科はできるのに、算数だけ極端に苦手」
「もしかして発達障害が関係しているのではないか」
発達障害の一つである算数障害(ディスカリキュア)が原因で、子どもが数字や計算の理解に強い困難を感じる場合があります。
そうはいっても、算数が一切できないわけではありません。つまずきやすいポイントを把握し、特性に合った方法でサポートすれば、学習への自信が育つ可能性があります。
本記事では、次の3つに沿って算数障害の特徴や対処法について解説します。
- 算数障害の主な特徴と困りやすい場面
- 家庭でできる算数障害のサポート方法
- 相談できる専門機関や支援先
子どもの算数のつまずきを正しく理解し、前向きに支えるためのヒントとしてお役立てください。
家庭教師のトライには、発達障害のお子さまへの指導経験を持つ教師が多数在籍しているため、一人ひとりの特性に合った指導やサポートを受けることができます。
無料学習相談も実施していますので、お子さまの学習をどのようにサポートするかお悩みの方は、家庭教師のトライにお気軽にご相談ください。
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この記事の目次
算数が苦手な子どもは「算数障害」の可能性も|特性を理解して適切にサポートしよう

国語や生活科など他の科目は問題なく学習できるのに、算数だけ極端に苦手。そのような場合は、算数障害(ディスカリキュア)という発達障害である可能性があります。
算数障害は、知的発達や日常生活に問題がなくても表れるため、「やる気がない」「努力不足」と誤解されやすい特性です。こうした見方は子どもに精神的な負担を与え、自己肯定感を下げる原因にもなります。
発達障害という言葉に不安を感じる保護者もいらっしゃるかもしれませんが、一番困っているのは子ども自身です。算数障害を正しく理解し、特性に合わせた学び方を工夫すれば、少しずつ苦手意識が和らぎ、自信を持って学習に向き合えるようになります。
保護者が特に意識したいのは、以下の2点です。
- 「なぜできないのか」という子どもの背景を理解する
- 特性に合った方法で継続的にサポートする
子どものつまずきを「怠け」と決めつけず、特性に合った関わりを心がけて学びの第一歩を踏み出しましょう。
算数障害(ディスカリキュア)とは?主な特徴や学習で困りやすい場面をチェック

算数障害は外見からはわかりにくく、困難の現れ方も子どもによってさまざまです。そのため周囲に理解されず、学習意欲や自己肯定感の低下につながるおそれもあります。まずは算数障害の基本的な特徴やつまずきやすい場面を正しく知ることが、子どもを支える第一歩です。
- 算数障害とは「学習障害(LD)」の一つ
- 算数障害の主な特徴
- 算数障害の子どもが学習で困りやすい場面
子どもが算数が苦手である背景を把握し、より適切なサポート方法を見つけましょう。
算数障害とは「学習障害(LD)」の一つ
算数障害(ディスカリキュア)は、発達障害の一つである学習障害(LD)に分類されます。学習障害とは、知的発達や感覚機能に大きな遅れがないにもかかわらず、特定の分野において学習上の困難が続く状態を指します。
学習障害には大きく3つのタイプがあります。
- 読字障害(ディスレクシア) :文字を読むことに困難がある
- 書字障害(ディスグラフィア):文字を書くことに困難がある
- 算数障害(ディスカリキュア):数や量の概念、計算処理、数的推論に困難がある
算数障害は、コミュニケーションや行動面には問題が見られないため、周囲からは気づかれにくい特性です。
また、同じ算数障害でも特性の現れ方は一人ひとり異なります。暗算ができない子どももいれば、計算はできても文章問題になると理解が難しくなる子どももいます。
そのため、サポートの際には「どの場面で、どのような困難が生じているのか」を丁寧に把握することが欠かせません。
算数障害の主な特徴
算数障害の子どもには、次のような特徴が見られます。
- 簡単な足し算や引き算を暗算できない
- 繰り上がり・繰り下がりのある計算が苦手
- 九九をなかなか覚えられない
- 数字の大小関係や順序を理解しにくい
- 文章問題の内容や質問の意図をつかみにくい
- 図形の位置関係や形の把握が難しい
- 時計の読み方や時間の計算が苦手
- お金の計算や単位の換算でつまずく
算数障害の子どもにこれらすべての特徴が当てはまるわけではありません。しかし、複数当てはまる場合は算数障害の可能性を考え、学び方の工夫を検討しましょう。
算数障害の子どもが学習で困りやすい場面
算数障害の子どもが特に困難を感じやすいのは、以下のような学習場面です。
- 筆算や暗算など、順序立てて計算を行う場面
- 文章問題を読んで、状況や条件を整理する場面
- 図やグラフの情報を読み取って答えを導く場面
- 時計やカレンダーを使った時間・日付の計算をする場面
- お金や単位の換算を必要とする計算を行う場面
行動面や他の科目では問題がないため、「サボっている」「努力していない」と誤解されやすく、時には友達にからかわれたり、教師から叱責されたりすることもあります。
こうした経験は子どもの自己肯定感を下げ、算数への苦手意識をさらに強めてしまうため、早い段階で理解しサポートを始めることが大切です。
算数障害がある子どもをサポートする4つの方法

算数障害を完全に克服することは難しいとされています。しかし、特性に合わせた適切な対応を行えば、算数に対する苦手意識を少しずつ和らげることができます。
- 物を数えて数字のイメージを持つ
- 表を作って視覚的に覚える
- 計算の順序は横に説明文を加える
- 文章問題は区切って一つずつ確認する
ここでは、家庭で保護者が実践できる4つのサポート方法を紹介します。
1.物を数えて数字のイメージを持つ
算数障害の子どもは、数の概念理解に困難を抱える場合が多くあります。まずは、日常生活の中で身近な物を数える習慣を取り入れましょう。
たとえば、お金の枚数やお菓子の数、スポーツの得点などを数えることで、「数字」と「物の量」が結びつきやすくなります。机上の計算だけでなく、実際に手で触れて数える経験を積んで数字のイメージを育てましょう。
2.表を作って視覚的に覚える
九九を覚える時など、数字を聞いて覚えたり理解したりすることもあるでしょう。しかし、算数障害の子どもは「聞く力」が弱い場合があり、意味を正しく理解できないことがあります。
この場合、数の増減や規則性を視覚的に示す表を使うのが有効です。九九表や数直線、色分けした表などを活用し、「2の段は2ずつ増える」などのパターンを目で見て理解できるようにしましょう。
視覚的な情報は、記憶の定着にも役立ちます。
3.計算の順序は横に説明文を加える
複数の工程を踏む計算では、数式だけを見せても「なぜその順番で計算するのか」が理解できず、途中でつまずく子どもも少なくありません。
そこで、計算の手順を示す際には、式の横に短い説明文を添えると効果的です。たとえば、「(1)かけ算を先にする→(2)その答えに足す」など、数式と意味を結びつけることで、正しい順序で答えを導けるようになります。
4.文章問題は区切って一つずつ確認する
「計算問題はできるのに、文章問題になると解けなくなる」という場面も、算数障害の子には多く見られます。これは、文章を読んで「どのような場面なのか」「何を問われているのか」を推測し、必要な情報を整理することに難しさがあるためです。
この場合は、問題文を単語や文節ごとに区切り、意味を一つずつ確認しながら進めましょう。
また、文章を図や絵に置き換えて具体的なイメージを持たせると、理解がスムーズになります。
子どものできたことに注目して頑張りを認める声掛けも大切
算数障害に限らず、発達障害のある子どもは学校や日常生活で叱責される場面が多く、自己肯定感が下がりやすい傾向にあります。
他の子どもと比べて極端に勉強ができないと、保護者としては焦りを感じるものですが、学びを前向きに続けるには「できなかったこと」より「できたこと」に注目する姿勢が大切です。
たとえ小さな進歩でも「よく頑張ったね」「前よりできるようになったね」と寄り添う声を掛け、努力を認めることで、子どもの自信とやる気を引き出せるでしょう。
家庭教師のトライでは算数障害の特性に合わせた完全マンツーマン授業で楽しく勉強に取り組める

家庭教師のトライでは、算数障害の特性を理解した教師が、1対1の完全マンツーマン授業で子ども一人ひとりに合わせた指導を行います。
授業前に学習状況や得意・苦手を丁寧に分析し、どの能力に特に困難があるのかを把握したうえで、最適な学び方をご提案。
そのため、算数に苦手意識が強い子どもでも、楽しみながら学習を続けることができます。
算数障害の子どもに関する相談先・専門機関

算数障害のある子どものサポートについては、家庭だけで抱え込まず、専門機関に相談することが大切です。適切な支援やアドバイスを受けることで、学習のつまずきを軽減し、子どもの自信を育てやすくなります。
- 児童精神科・小児神経科などの病院
- 学校の担任やスクールカウンセラー
- 発達障害者支援センター
- 児童相談所
- 発達障害に詳しい塾や家庭教師
ここでは、相談先として検討できる機関を紹介します。
児童精神科・小児神経科などの病院
算数が極端に苦手な状態が続く場合は、子どもが発達障害の診断を受けていなくても、児童精神科や小児神経科などの医療機関に相談することを考えましょう。
診断を受けることに不安を感じる保護者も少なくありませんが、反対に、診断があることで一人ひとりの特性に合わせた支援計画を立てられる大きなメリットがあります。
医師や専門スタッフの意見をもとに、学校や家庭でのサポート方法を具体的に検討できるようになるでしょう。
学校の担任やスクールカウンセラー
学校の担任は、子どもの授業中の様子や日常生活の様子を間近で見ています。算数のつまずきも、一緒に支援の方向性を考え、授業中の配慮や学習方法の工夫をしてもらえるでしょう。
ただし、担任が必ずしも算数障害に詳しいとは限りません。より専門的なアドバイスを受けたい場合は、スクールカウンセラーに相談するのも有効です。学校と家庭がしっかり連携することで、子どもが学びやすい環境を整えやすくなります。
発達障害者支援センター
発達障害者支援センターは、発達障害のある子どもや大人、その家族への総合的な支援を行う専門機関です。子どもの学習や生活に関する悩み相談だけでなく、保護者が安心して生活できるよう、福祉制度や支援サービスに関する情報提供も行っています。
必要に応じて、関係機関の紹介や中長期的な支援計画の作成にも対応してもらえます。地域ごとに設置されているため、居住地のセンターを調べてみましょう。
児童相談所
児童相談所は虐待被害や保健相談の窓口として知られていますが、発達障害に関する相談にも対応しています。
- 学校には相談しにくい
- 発達障害の診断を受けるべきか迷っている
- 発達障害の診断を受けるべきかわからない
上記のような状況に対して、児童福祉司や児童心理司といった専門資格を持つ職員が相談に応じます。子どもの発達や学習に関する困りごとについて、適切な対応のヒントを得られるでしょう。
発達障害に詳しい塾や家庭教師
発達障害に理解のある塾や家庭教師に相談すると、算数障害の特性に合った学習法を提案してもらえます。
同じ算数障害でも、特性の現れ方や困難の度合いは子どもによって異なるため、マンツーマンで対応してくれる個別指導塾や家庭教師を選ぶのがおすすめです。授業を通して特性に合ったアプローチを継続できれば、苦手意識を少しずつ和らげることができます。
個別教室のトライでは発達障害に詳しい正社員の教育プランナーが学習に関する悩みを解消

個別教室のトライでは、授業を担当する講師とは別に、専任の「教育プランナー」がつきます。
教育プランナーは正社員として在籍しており、定期的な面談で「算数障害に関すること」や「学習全般の悩み」など、幅広い相談に対応します。
子どもの特性や理解度に合わせて学習計画を調整でき、無理なく学びを続けられるためおすすめです。
まとめ

算数が極端に苦手な場合、その背景には算数障害(ディスカリキュア)と呼ばれる発達障害が関係していることがあります。
外見や行動には問題が見られないため誤解されやすい特性ですが、適切な理解とサポートがあれば、苦手意識を和らげ、少しずつ自信を持って学べるようになるでしょう。
本記事では、以下の内容について解説しました。
- 算数障害の基礎知識
- 算数障害は学習障害(LD)の一種で、数や計算の理解に特化した困難がある
- 現れ方が一人ひとり異なるため、困難が生じる場面を丁寧に把握することが重要
家庭でできるサポート方法は以下のとおりです。
- 物を数えて数字のイメージを持たせる
- 表や図を使って視覚的に理解させる
- 計算の順序を説明文つきで示す
- 文章問題は区切って意味を確認し、図や絵で具体化する
また、支援のポイントも押さえましょう。
- できたことに注目して自信を高める声掛けを行う
- 学校や専門機関と連携し、環境面からも支える
さらに、相談できる機関を頼ることも大切です。
- 医療機関(児童精神科・小児神経科など)
- 学校の担任やスクールカウンセラー
- 発達障害者支援センターや児童相談所
- 発達障害に詳しい塾や家庭教師
算数のつまずきは、努力不足ではなく特性によるものかもしれません。
子どもの苦手の背景を理解し、無理なく学びを続けられる環境を整えることが、未来への一歩です。保護者だけで抱え込まず、必要に応じて専門家や支援機関に相談しながら、子どもの成長を温かく見守っていきましょう。