「授業についていけない様子がある」
「忘れ物やケアレスミスが目立つ」
「急な予定変更に不安が強く出る」
小学生の発達特性で、こうした兆しは珍しくありません。しかし、焦りや戸惑いは自然な反応です。まずは発達障害とは何かを正しくとらえましょう。
発達障害は、脳機能の発達の偏りにより日常や学習で困りごとが生じやすい状態を指します。
本記事は、以下について解説します。
- 発達障害の代表的な種類(ADHD・ASD・SLD/LD)と特徴
- 小学生期に出やすい発達障害サインのチェックリスト
- 発達障害に関する相談先
- 発達障害の特性がある小学生をサポートする3つの方法
お子さまの「苦手」を責めるのではなく、「どう支えるか」に目を向けるきっかけにしてみてください。
家庭教師のトライには、発達障害の小学生の指導経験を持つ教師が多数在籍しています。
一人ひとりの特性やペースに合わせて、学習のつまずきやすいポイントを丁寧にサポート。無料の学習相談も実施していますので、「うちの子に合った勉強法を知りたい」とお考えの方は、お気軽にご相談ください。
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この記事の目次
小学生の発達障害にはどういうものがあるの?代表的な種類を紹介

発達障害とは、先天的な脳の働きにより、コミュニケーション、対人関係、学習、行動、感覚処理などの面において特性が見られる状態を指します。特性は個人差が大きく、社会生活の中でさまざまな課題が生じることがあります。
文部科学省は、発達障害を大きく以下の3つに分類しています。
- ADHD(注意欠如・多動症)
- ASD(自閉スペクトラム症)
- SLD/LD(限局性学習症/学習障害)
これらについて、解説します。
ADHD(注意欠如・多動症)|注意が散りやすく、行動の切り替えが難しい
ADHD(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)は、集中力や行動のコントロールに関わる脳の働き方に特徴がある障害です。主に以下の3つの特性が見られます。
- 不注意:忘れ物やケアレスミスが多い・作業の手順を飛ばしてしまう
- 多動性:じっとしていられず、落ち着かない様子がある
- 衝動性:思いついた行動をすぐに実行してしまう・順番を待てない
小学生の場合、「話を最後まで聞けない」「宿題を途中でやめてしまう」などの形で現れやすく、意欲や性格の問題と誤解されやすい点が課題です。
ただし、集中しやすい環境づくりや課題の区切り方を工夫することで、落ち着いて取り組める時間を増やせます。
ASD(自閉スペクトラム症)|対人関係や変化への対応が苦手
ASD(Autism Spectrum Disorder)は、社会的なやり取りや感覚の受け取り方に独特の傾向が見られる発達障害です。特徴は次のような点です。
- 人の表情や言葉の裏の意味を読み取るのが難しい
- 予定や手順の変更に強いストレスを感じやすい
- 音や光、触感などに過敏さがある
- 特定の分野や興味に強い集中を示す
小学生の段階では、友だちとの関係づくりに苦労したり、集団生活のペースに合わせづらかったりといった困りごとが目立ちます。
一方で、好きな分野への集中力や記憶力に優れ、工夫次第で大きな力を発揮できるケースもあります。
SLD/LD(限局性学習症/学習障害)|特定の学習分野だけが極端に苦手
SLD(Specific Learning Disorder)は、知的発達に問題がないにも関わらず、読む・書く・計算するといった一部の学習分野で著しい困難が見られる障害です。
- 文章を読むのに時間がかかり、内容理解が追いつかない
- 書字が苦手で、文字が崩れる・マス目に収まらない
- 九九や計算の手順がなかなか定着しない
上記3つの特性は努力不足ではなく、情報を処理する脳の働き方に違いがあるためです。学習の方法を変えるだけで理解が進むことも多く、支援の仕方が大切になるでしょう。
【種類別】小学生に見られる発達障害の特徴

小学生の発達障害は、「性格の問題」と誤解されやすい一方で、周囲の理解や環境の工夫によって大きく改善するケースが少なくありません。
ここでは、代表的な3つのタイプごとに、小学生に見られやすい特徴を紹介します。
- ADHD(注意欠如・多動症)
- ASD(自閉スペクトラム症)
- SLD/LD(限局性学習症/学習障害)
該当する項目があっても、それだけで発達障害と判断できるわけではありません。「どんな場面で困りやすいか」を知ることが、支援の第一歩です。
ADHD(注意欠如・多動症)
ADHDのある子どもは、「集中の切り替え」や「衝動のコントロール」が難しい傾向があります。忘れ物やケアレスミスが多く、周囲から「だらしない」と誤解されてしまうことも少なくありません。
小学生によく見られるサインは以下です。
- 宿題や教科書などの忘れ物が多い
- 授業中に集中が続かず、ぼーっとしてしまう
- ノートが途中で終わってしまう・書き忘れが多い
- 話を最後まで聞けず、思いついたことをすぐ話す
- 集団行動で順番を待てない・立ち歩いてしまう
こうした行動は怠けではなく、注意の向け方にムラがあるために起こります。座席の位置や課題量を調整したり、短時間の休憩を入れたりすることで集中を保ちやすくなる場合もあります。
ASD(自閉スペクトラム症)
ASDのある子どもは、コミュニケーションや変化への対応に困りごとが出やすい傾向があります。自分なりのこだわりが強く、予定変更などで不安が高まることも考慮したいポイントです。
小学生によく見られるサインは以下です。
- 時間割の変更や行事の中止など、予定が変わると混乱する
- 道具の置き方・順番に強いこだわりがある
- 友だちとの会話で冗談やあいまいな言葉がわかりにくい
- 音・光・においなど特定の刺激をいやがる
- 指示があいまいだと、どう動けばいいかわからない
ASDの特性は、「見通しが立たないこと」に強い不安を感じる点にあります。行動予定を絵や文字で示す、声かけの前にスケジュール表で予告するなど、視覚的なサポートが効果的です。
SLD/LD(限局性学習症/学習障害)
SLD/LDのある子どもは、知的な遅れはないのに、特定の学習分野だけ極端に苦手な傾向があります。努力しても成果につながりにくく、「勉強が嫌い」「自分はできない」と感じてしまうこともあるでしょう。
小学生によく見られるサインは以下です。
- 耳で聞くと理解できるが、文字を読むと内容がつかめない
- 文章を読むのが遅い、または途中で読み飛ばしてしまう
- 字がうまく書けない(マス目からはみ出す・バランスが取れない)
- 九九や計算手順がなかなか覚えられない
- 宿題に長い時間をかけても終わらない
これらは、脳の情報処理の得意・不得意が関係しているために起こります。学習方法を変えたり、タブレット学習や音読支援ソフトなどを活用したりすることで理解が進むケースもあるでしょう。
子どもの発達障害が疑われるときの相談先

発達障害は早めに専門家へ相談し、子どもに合った環境や支援を整えることで、学校生活のつまずきを減らすことができます。
ここでは、初めて相談する方にもわかりやすい、主な相談先を紹介します。
- 児童精神科や発達外来などの医療機関
- 学校の担任やスクールカウンセラー
- 地域の発達障害者支援センター
- 発達障害に詳しい塾・家庭教師
複数の窓口を並行して利用しても問題ありません。連携を取ることで、支援がスムーズに進むケースもあります。
児童精神科や発達外来などの医療機関
発達障害の有無を医学的に評価・診断できるのは、医療機関です。児童精神科や発達外来では、子どもの行動や発達の状態を詳しく確認し、必要に応じて発達検査、知能検査などの検査を行います。
その結果を基に、家庭や学校での接し方・支援の方向性を一緒に考えてもらえる場所です。
「いきなり専門外来はハードルが高い」と感じる場合は、まずかかりつけの小児科に相談するのも良いでしょう。必要に応じて専門機関を紹介してもらえることがあります。
学校の担任やスクールカウンセラー
学校の教師やスクールカウンセラーは、集団の中での子どもの様子を日常的に見ています。家庭とは異なる視点から、学習や友人関係のつまずきに気付くことが多い存在です。
発達障害の特性が疑われる場合、以下のような支援を検討してもらえます。
- 通級による支援
- 特別支援学級の利用
- 授業や評価方法の個別配慮
実際、文部科学省の調査では、通常学級に在籍する児童生徒の約6.5%に発達障害の可能性があると報告されています。
地域の発達障害者支援センター
全国の都道府県・政令指定都市には、発達障害者支援センターが設置されています。ここでは、発達障害のある人やその家族に対して、幅広い支援を行っています。
- 相談対応
- 支援制度の案内
- 医療・教育・福祉機関との連携
「どこに相談すればいいかわからない」という段階でも構いません。最寄りの支援センターが、地域の相談窓口や専門機関を紹介してくれます。
発達障害に詳しい塾・家庭教師
学習面で困りごとが出ている場合は、発達障害への理解がある塾や家庭教師も有用な選択肢です。子どもの特性に合った勉強方法を提案してもらえる他、家庭学習の進め方や声かけの工夫など、日常に活かせるアドバイスも受けられます。
特に、1対1で丁寧に寄り添える個別指導は、特性に合わせたペースで進められるため、発達障害の子どもには特におすすめです。
家庭教師のトライでは発達障害に詳しい「教育プランナー」がお子さまへの適切な対応を提案

家庭教師のトライでは、授業を行う教師とは別に、発達障害に詳しい正社員の教育プランナーが在籍。保護者の悩みや子どもの特性を丁寧にヒアリングし、「どんな教え方が合うか」「どんな環境なら落ち着いて学べるか」を一緒に考えます。
授業を担当する教師にも情報を共有し、子どもの状態に合わせた無理のない学習計画を提案します。特性に寄り添ったサポート体制が整っているため、学習面の不安を感じる場合も安心してお任せください。
発達障害の特性がある小学生をサポートする3つの方法

発達障害のある子どもが安心して成長していくためには、日常の中で少しずつ環境を整える工夫が大切です。
ここでは、家庭や学校で取り入れやすい3つのサポート方法を紹介します。
- スモールステップで成功体験を重ねる
- 説明や指示は「短く」「視覚的に」伝える
- 安心して過ごせる環境を整える
その子らしさを生かしながら伸ばす視点を持つことが、何よりの支えになります。
1.スモールステップで成功体験を重ねる
発達障害の特性がある子どもは、学校で失敗を繰り返すうちに「自分はできない」と感じ、自信を失ってしまうことがあります。
そのため、小さな目標を設定して、一歩ずつ達成していくことがとても重要です。
- 宿題を「1ページ」ではなく「2問」ずつに分ける
- 朝の支度を「服を着る→ランドセルを用意→靴をはく」と順に区切る
- 「できたら終わり」ではなく、「できた自分を認める」声かけをする
このように、成功体験を見える形で積み上げる工夫が効果的です。
達成した時は「すごいね!」より、「ここまで集中して頑張れたね」「昨日より一人でできたね」と、過程に目を向けた言葉をかけてあげましょう。
成功体験が増えるほど、子どもは「やってみよう」という意欲を取り戻せるかもしれません。
2.説明や指示は「短く」「視覚的に」伝える
発達障害の特性がある子どもは、「集中が続きにくい」「抽象的な言葉を理解しにくい」といった特徴があります。
そのため、説明や指示はできるだけ短く・具体的に・視覚的に伝えるのがポイントです。
- 「片付けて」ではなく「鉛筆をペン立てに入れてね」と具体的に言う
- 口頭だけでなく、やることリストやチェックカードを一緒に作る
- 終わりの時間を伝える時は、「タイマーが鳴ったら終わり」と目でわかる形にする
視覚的な情報は、脳への負担を減らし、理解を助けてくれます。同じ指示でも、言葉より「見える工夫」があるだけで、行動のスムーズさが変わることも多いです。
トライのオンライン個別指導塾では発達障害の特性に合わせた完全マンツーマン授業で学習を徹底サポート

トライのオンライン個別指導塾では、お子さま一人ひとりの特性に合わせた完全マンツーマン授業を行っています。指導はすべて1対1で進むため、周囲を気にせず、自分のペースで学習に取り組むことができます。
また、トライでは教師との相性を大切にしており、お子さまに合う教師が見つかるまで何度でも無料で交代可能です。
理解のスピードや得意・苦手を踏まえて、「わかる」「できる」実感を積み重ねる授業を実現しています。
3.安心して過ごせる環境を整える
発達障害のある子どもにとって、安心できる環境は何より大切です。
音や光、周囲の人の動きといった刺激に敏感な子どもも多く、環境が合わないだけで集中が途切れたり、不安やイライラが強くなったりすることがあります。
家庭では、以下のような工夫で子どもの安心感を作りやすくなります。
- テレビの音量を下げる
- 勉強スペースを壁向きにする
- 翌日の予定をホワイトボードに書き出す
学校でも、担任の教師に「どんな時に落ち着かないか」を伝え、座席や課題量の調整、通級指導の利用などを検討すると良いでしょう。
環境が整うことで、子どもは「安心して挑戦できる」状態になり、少しずつ自信を取り戻していきます。
まとめ

小学生の発達障害には、主に以下の種類があります。
- ADHD(注意欠如・多動症)
- ASD(自閉スペクトラム症)
- SLD/LD(限局性学習症/学習障害)
これらは先天的な脳の働きにより、日常生活や学習などの面で特性が見られる状態を指します。
また、一人ひとりに得意・不得意のパターンがあり、同じ診断名でも特性の表れ方はさまざまです。
発達障害の特性を理解し、「どうすればできるようになるか」に目を向けることが、サポートの第一歩となるでしょう。
記事の要点は以下のとおりです。
- 発達障害は脳の発達の偏りによるもので、怠けや性格の問題ではない
- 小学生では「忘れ物が多い」「予定変更に弱い」「特定教科だけ極端に苦手」などのサインが見られる
- 相談は医療機関・学校・地域センター・家庭教師など複数ルートで行うのがおすすめ
- サポートの基本は「スモールステップ」「短く・視覚的な指示」「安心できる環境」
発達障害の特性は「できない理由」ではなく、「どう関われば力を発揮できるか」を教えてくれるサインでもあります。焦らず、子どものペースを尊重しながら、小さな「できた」を積み重ねていくことが、何よりの支援です。
一人で悩まず、周囲と連携を取りながら、お子さまの成長を一歩ずつ支えていきましょう。